会社サイトを「CMSを無料で」立ち上げて数年。更新は滞りがち、担当は片手間、セキュリティも本当に大丈夫か分からない。この状態を放置すると、問い合わせの急減や、移行コストの爆発というかたちで、静かに現金が流出します。
多くの中小企業がやっているのは、検索で「cms 無料」と調べ、WordPress・Wix・Jimdoなど名前を知っているサービスからなんとなく選ぶことです。機能一覧やテンプレート、無料プランの制限は丁寧に比較するのに、実際の運用やセキュリティ、将来のリニューアルにかかる手間と費用はほとんど検討されていません。その結果、
- プラグイン更新が止まり、サイト改ざんから「危険なサイト」表示へ
- EC機能だけ無料プラグインで継ぎ足し、決済周りが詰んで緊急リプレイス
- 担当者退職と同時に、誰も触れないブラックボックスCMS化
といった、無料CMSあるあるのトラブルに直撃します。ここで痛いのは、トラブルそのものより、「本来売上や集客に回せたはずの時間と予算」が消えていくことです。
この記事は、CMSの定義やメリット・デメリットをおさらいするものではありません。すでに「CMS 無料」「WordPress 無料 テンプレート」などで一通り情報収集を終えた、Web専任ではない広報・総務担当が、次の一手を間違えないための現場マニュアルです。
- 世界シェアで見ると圧倒的なWordPressが、日本の中小企業サイトに本当に向くケース/向かないケース
- baserCMSなどの国産CMSやBlueMonkey、microCMS、HubSpot CMSといったクラウド型CMSを、業種・規模・社内スキルでどう振り分けるか
- 無料CMSからの移行で揉めるポイント、セキュリティ対策やバックアップ・メンテナンスに潜む見えない運用コスト
- Wix / Jimdo / microCMSなど「直感的」なツールの、本当の評価軸と限界
- コンテンツ制作とマーケティング・CRM連携を分けて考えたとき、どこから有料CMSやHubSpot CMSを検討すべきか
を、実際に現場で起きているケースをもとに整理します。
この記事を読み終える頃には、「無料CMSでここまでなら安全」「この条件なら最初から有料やクラウドCMSに振り切った方が得」と、自社サイトをどのレールに乗せるかを数字とリスクで判断できる状態になります。
以下に、本文で得られる実利をまとめます。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 前半(無料CMSの勘違い〜国産・クラウドCMS比較、運用・セキュリティ) | 自社の規模・体制に合うCMSタイプと、避けるべき選択肢が判別できるチェックポイント | 「なんとなく有名だから」「無料だから」で選び、数年後に運用・セキュリティ・移行で詰む構造的なリスク |
| 後半(トラブル事例〜マーケ・CRM連携、社内体制と相談先設計) | 無料CMSの限界ラインと、リプレイスを見据えた社内体制・予算設計の具体像 | サイト公開後に担当者任せとなり、集客も問い合わせも伸びないまま、誰も責任を持てない状態 |
「今のCMSのまま、3年後も戦えるか」を冷静に確認したいなら、このまま読み進めてください。無料か有料かではなく、自社が損をしないCMSの選び方を、ここで一度整理します。
- 「CMSを無料で」の落とし穴からスタートしないために──最初に整理しておきたい3つの勘違い
- 世界シェアvs日本ビジネス──WordPress一強市場で、あえて他のCMSを検討する価値
- 国産CMS・baserCMS・BlueMonkey・microCMS…「日本の現場」で本当に使われている選択肢
- 無料CMS一覧だけでは絶対に見えない、「運用コスト」と「セキュリティリスク」の真相
- ケースで学ぶ:無料CMSで実際に起きているトラブルと、プロ現場の対処パターン
- 「無料CMSでここまでならOK」のラインと、「最初から有料を検討すべき」ライン
- Wix / Jimdo / microCMS / ヘッドレスCMS…“操作が直感的”なツールの本当の評価軸
- CMSとマーケティング・CRM連携──無料から始めて「成果が頭打ちになる」パターン
- どのCMSを選ぶかよりも先に決めるべき、「社内体制」と「相談先」の設計図
- 執筆者紹介
「CMSを無料で」の落とし穴からスタートしないために──最初に整理しておきたい3つの勘違い
「とりあえず無料CMSで会社サイトを作ろう」は、予算を守る合言葉に見えて、数年後の自社サイトを詰ませる呪文にもなり得ます。
最初に、現場で何度も見てきた“危ない思い込み”を3つだけ潰しておきます。
無料CMS=“0円で安心”という幻想が生まれる理由
無料CMSを検討する担当者の頭の中は、だいたい次の計算式になっています。
-
初期費用をゼロにしたい
-
社内に専任エンジニアはいない
-
とりあえず会社情報とブログが出せればOK
ここで見落とされやすいのが「0円なのはライセンスだけ」という事実です。実際のコスト構造はこう変わります。
| 項目 | 見えるコスト | 見えないコスト(発生しやすい部分) |
|---|---|---|
| CMS本体 | 無料 | ー |
| プラグイン拡張 | 無料~低額 | 動作検証・不具合対応の工数 |
| セキュリティ対策 | 無料プラグイン | 脆弱性チェック、攻撃時の復旧 |
| 運用・更新 | 社内対応 | 担当者の時間、属人化リスク |
| トラブル時対応 | その都度相談 | 緊急対応のスポット費用 |
「無料だから安心」ではなく、料金表に載っていない部分にどれだけ手間とリスクが積み上がるかが本質です。
WordPress・Wix・Jimdo…名前だけで選ぶと何が起きるか
検索でよく見るCMS名を、そのまま「順番待ちのレストラン」の感覚で選ぶケースが多くあります。人気店に行けば外れない、という発想です。ところがCMSは料理ではなく“厨房設備”に近い存在です。
| CMS名 | よくある選び方 | 現場で起きがちなギャップ |
|---|---|---|
| WordPress | 世界シェアが高いから | プラグイン依存でセキュリティ対策が追いつかない |
| Wix | 直感操作で簡単そう | デザインは作れるが、細かいSEO・構造変更で限界 |
| Jimdo | 無料でサクッと作れそう | 事業成長後に機能面で頭打ちになりリニューアル必須 |
| microCMS | ヘッドレスでかっこいい | JS知識がないと更新フローが逆に複雑化 |
名前で選ぶと、「そのCMSが得意な領域」と「自社ビジネスの目的」が噛み合っているかを検証しないまま走り出すことになります。結果として、数年後に移行プロジェクトで予算も時間も再投入、というパターンが頻発します。
「とりあえず無料CMS」は、なぜ中小企業サイトでトラブルの温床になりやすいのか
中小企業の広報・総務担当が一番追い詰められるのは、「サイトを作る時」ではなく「作った後に誰も面倒を見切れなくなる時」です。そこには3つの構造的な理由があります。
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担当者が兼務で時間がない
更新マニュアルを整える余裕がないまま、属人的な操作で回し始める。
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プラグイン任せの機能追加
問い合わせフォーム、EC、会員制ページを後付けし、アップデートの整合性チェックが追いつかない。
-
権限設計とバックアップが後回し
管理者アカウントが1つだけ、バックアップはサーバー任せ。担当者退職やプラグイン由来の障害で、一気にブラックボックス化する。
実際に、無料CMSで構築したサイトが脆弱性のあるプラグイン経由で改ざんされ、検索結果に警告表示が出た状態のまま数カ月放置されるケースも確認されています。この間、問い合わせ数や資料請求数は目に見えて落ち込みますが、「原因がCMSやプラグインにある」と気づくまでに時間がかかりがちです。
無料CMSを否定する必要はありません。ただし、「0円で作れるツール」ではなく「運用・セキュリティ・将来の移行まで含めて設計すべきインフラ」として見るかどうかで、その後数年間の“楽さ”が決まります。ここを押さえておくと、次の章以降で触れるWordPress・国産CMS・クラウドCMSの選び方も、一気にクリアに見えてきます。
世界シェアvs日本ビジネス──WordPress一強市場で、あえて他のCMSを検討する価値
「世界シェア1位だからWordPress一択でしょ?」と決め打ちすると、多くの中小企業サイトは数年後に身動きが取れなくなります。
ポイントは「世界の標準」ではなく、自社の体制・日本の制作会社との相性です。
世界シェアが高いCMSと、日本の国産CMSの“現場目線”な違い
世界シェア型(WordPressなど)と国産CMSは、発想の出発点が違います。
| 観点 | 世界シェアCMS(WordPress等) | 国産CMS(baserCMS等) |
|---|---|---|
| 想定ユーザー | 世界中の開発者・ブロガー | 日本の企業担当・制作会社 |
| 情報量 | 英語情報・フォーラムが膨大 | 日本語ドキュメントが中心 |
| 拡張性 | プラグインが豊富だが自己責任 | 必要機能は絞るが設計が素直 |
| サポート | コミュニティ頼み | 制作会社・ベンダーと連携しやすい |
現場で効いてくるのは「誰に助けを求められるか」です。
英語フォーラムを読み解ける人材がいない会社では、国産CMSや国産ベンダーと相性の良い製品の方が、結果的に運用コストとセキュリティリスクを抑えやすいケースが多くなります。
WordPressがベストマッチなケース/そうでないケース(EC・会員サイト・多言語サイト)
WordPressは強力ですが、向く場面と向かない場面がはっきりしています。
WordPressがハマりやすいケース
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ブログ・お知らせ中心のコーポレートサイト
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コンテンツマーケティングで記事量産したいWeb担当
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社内に最低1人、プラグイン更新とバックアップを継続できる担当がいる
相性が悪くなりやすいケース
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ECを無料プラグインで継ぎ足す計画(決済アップデートに追従できず、途中で有料サービスへ移行せざるを得なくなる例が多い)
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会員制サイトや複雑な権限管理が必要なケース(プラグイン組み合わせでブラックボックス化しやすい)
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多言語・多拠点で、更新担当が複数部署に分かれる会社(権限設計と運用ルールが破綻しやすい)
「無料でEC機能も入るからお得」と始めると、プラグインのサポート終了や仕様変更で改修費用が跳ね上がるパターンが目立ちます。
Drupal・Joomla・Geeklogなど海外CMSを日本の会社が選ぶときの注意点
DrupalやJoomlaは高機能なオープンソースCMSですが、日本の中小企業の現場ではハードルが高めです。
海外CMS選定時に必ず確認したいポイント
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国内で継続的に面倒を見てくれる制作会社・システム会社がいるか
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日本語ドキュメントとコミュニティが、運用レベルの質問に答えられる厚みか
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担当者が退職しても、別会社がメンテナンスを引き継げる技術者人口があるか
実際に、海外CMSで構築した企業サイトが、後継パートナーを見つけられず「事実上の放置サイト」になっているケースは珍しくありません。
無料ライセンスかどうかより、「5年後も日本でメンテナンスを頼めるCMSか」を基準に見ると、WordPress以外の選択肢を検討する価値がクリアになります。
国産CMS・baserCMS・BlueMonkey・microCMS…「日本の現場」で本当に使われている選択肢
「無料CMSでサイトを作るか」と悩む瞬間は、実は“ツール選び”より“日本の現場にハマるか”が勝負どころになる。名前の有名さではなく、「うちの会社の体制で、3年後もちゃんと回るか」を軸に見ていく。
baserCMSや国産CMSが選ばれやすい業種とサイト規模(Japan市場の文脈で見る)
国産CMSは、「日本語だから安心」という話で終わらない。日本の制作会社・自治体・中小企業のワークフローに最初から寄せてあるのがポイント。
代表的なフィットゾーンを整理すると次の通り。
| CMS/カテゴリ | 向きやすい業種・サイト | 規模感の目安 | 現場で刺さる理由 |
|---|---|---|---|
| baserCMS | 士業、製造業、医療、小売のコーポレートサイト | 〜数百ページ | 国産テンプレートと日本語管理画面、制作会社の引き継ぎがしやすい |
| 他国産CMS(SOY CMS等) | 地方自治体、学校、協会 | 数百〜数千ページ | 承認フローや多人数更新、アクセシビリティ要件を満たしやすい |
| WordPress(無料利用) | 1人〜少人数運営のブログ、オウンドメディア | 〜数千記事 | 情報は豊富だが、プラグイン設計を誤ると保守が破綻しやすい |
実務では、「担当者が交代しても、国内の制作会社が保守を引き継ぎやすいか」が重要になる。DrupalやJoomlaで作った中小企業サイトが、国内でメンテを受けられず事実上の放置サイトになっているケースは少なくない。国産CMSはこの“保守の受け皿”が比較的厚く、総務・広報が非エンジニアでも更新しやすいUIが多い。
BlueMonkey・HubSpot CMS・microCMSなどクラウド型の“サポートと連携”のリアル
「無料インストール型CMS」と違い、クラウド型はサーバー・アップデート・バックアップ込みで“管理システムごとレンタル”するイメージに近い。ここを理解していないと、プラン料金だけ見て判断を誤りやすい。
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BlueMonkey(クラウド型国産CMS)
- 向き: 中小〜中堅企業のコーポレートサイト
- 特徴: 制作・保守をセットで提供するベンダーが多く、「総務が画像とテキストを差し替えるだけ」設計に強い
- 強み: 電話・メールのサポート体制、国産テンプレート、問い合わせフォームや資料請求の標準機能
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HubSpot CMS
- 向き: BtoB企業、インサイドセールスを強化したい会社
- 特徴: CMSがCRM・MA(マーケティングオートメーション)とガチ連携している
- 強み: フォーム送信→メール配信→スコアリング→営業への引き渡しまで一気通貫
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microCMS(ヘッドレスCMS)
- 向き: フロント側をReact/Next.jsなどで開発できるチーム
- 特徴: 管理画面は直感的だが、公開側は“自前開発”が前提のヘッドレスCMS
- リスク: 社内にJavaScriptエンジニアがいないと、更新フローがWordPressより複雑になる逆転現象が起きやすい
クラウド型を検討する時に見るべきは、「無料プランの制限」ではなく「将来の連携」だ。EC、営業支援、メール配信、広告計測…このあたりと連携できないと、コンテンツを増やしても売上に直結しづらい。
自社で構築するか、クラウドCMSに任せるか──規模・スキル・費用の分かれ目
現場で判断軸になるのは、華やかな機能一覧よりも「誰がどこまで面倒を見るか」だ。
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自社構築型(WordPress, baserCMS, 他オープンソース)向きのケース
- 社内かパートナーに、サーバー・プラグイン・セキュリティを管理できる担当がいる
- デザインや機能を細かくカスタマイズしたい
- 長期的に見ると、月額固定費より“自前運用のほうが財布に優しい”と判断できる
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クラウドCMS(BlueMonkey, HubSpot CMS, microCMS等)向きのケース
- Web専任がいない、総務・広報が片手間で更新する
- セキュリティ対策やバックアップを自社で抱えたくない
- マーケティングやCRM連携を本気でやりたい(HubSpot CMSはまさにここ)
判断を迷ったら、「3年トータルの費用+トラブル時の対応力」で比較するのが現実的だ。初期0円の無料CMSでも、プラグインの不具合や改ざん対応に数十時間取られれば、その時点で有料クラウドの月額を軽く超える。
目先の無料より、「3年後に担当が変わっても、怖がらず触れるCMSかどうか」。ここを基準にすれば、選択を大きく外すことはない。
無料CMS一覧だけでは絶対に見えない、「運用コスト」と「セキュリティリスク」の真相
「0円で会社サイトが持てる」は甘い響きだが、現場でよく聞こえてくるのは「気づいたら“無料”どころか、高い授業料になった」という声だ。
原因は、初期費用ではなく“数年分の手間とリスク”を見ていないことに尽きる。
無料CMSは本体がオープンソースでも、プラグイン、バックアップ、権限設計、移行対応といった「裏方コスト」で一気に難易度が跳ね上がる。ここを整理しておくと、どこまで無料で攻めてよいかが一気にクリアになる。
無料CMSとプラグインの組み合わせで増幅するセキュリティリスク
無料CMSのセキュリティは、本体よりプラグインの選び方と更新頻度で決まる。
特にWordPressは、世界シェアの高さゆえに攻撃対象にもなりやすい。
代表的な危険パターンを整理すると、次の通り。
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「便利そうだから」と制作者任せでプラグインを大量導入
-
更新通知を無視し、1年以上放置
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制作者が退職・解散し、何を入れているかすら把握できない
-
ある日突然、検索結果に「このサイトは危険」と警告が表示され問い合わせが激減
無料CMS+プラグイン構成で起こりがちなリスクの見え方は、こう切り分けられる。
プラグイン構成とリスクの関係(例)
| 状態 | プラグイン数 | 更新状況 | 想定リスク |
|---|---|---|---|
| ミニマム構成 | 10以下 | 月1回確認 | 比較的抑えやすい |
| よくある中小企業サイト | 20〜40 | 半年放置 | 既知脆弱性からの侵入リスク増大 |
| ブラックボックス化 | 50以上 | 制作者のみ把握 | 改ざん後の復旧すら困難 |
「無料プラグインでEC対応」「お問い合わせフォームを高機能化」といった拡張も、セキュリティパッチが追えない瞬間に“地雷”へ変わる。
最低でも、どのプラグインが本当に必要か、運用担当が一覧を把握しておく体制が欲しい。
バックアップ・メンテナンス・アップデート…“見えない工数”が費用を逆転させる瞬間
無料CMSは「ライセンス費用0円」の代わりに、人の手間と“ヒヤッとする瞬間”を支払う設計になりがちだ。
定期的に必要な作業を整理すると、次のようなタスクが発生する。
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CMS本体とプラグインのアップデート確認
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事前バックアップの取得と復元テスト
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PHPやサーバーOSのバージョン追従
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権限の棚卸し(退職者アカウントの削除など)
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予期せぬ不具合時の切り戻し対応
ここで問題になるのが、「担当者の時間単価」を計算に入れていないこと。
たとえば、広報担当が月に3時間、トラブル時は半日つぶれるとすると、年間コストは一気に積み上がる。
無料CMSとクラウドCMSの“トータルコスト”イメージ
| 項目 | 無料CMS(自社サーバー) | クラウドCMS(有料プラン前提) |
|---|---|---|
| ライセンス費用 | 0円 | 月額〜数万円 |
| セキュリティ対策 | 自社で実施 | ベンダーが基本対応 |
| バックアップ | 自社設計 | 標準機能として提供が多い |
| アップデート | 自社判断で実施 | 自動/半自動が多い |
| 社内工数 | 高くなりがち | 相対的に低い |
「無料で始めたのに、結果として有料サービスより“財布から出ていく総額”が大きくなった」という逆転が起きるのは、まさにこの部分だ。
無料CMSから有料CMSや別サービスへ移行する時に必ず揉めるポイント
数年運用した無料CMSを、BlueMonkeyやHubSpot CMS、国産クラウドCMSへ移行したくなるタイミングは必ず訪れる。
そのとき、ほぼ毎回と言っていいほど揉めるポイントが3つある。
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デザインとテンプレートが移行できない
テーマやHTMLがCMS固有仕様に依存しており、「一部作り直し」ではなく「ほぼ全面リニューアル」になるケースが多い。
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プラグイン依存の機能が再現しづらい
無料プラグインに寄せてきたEC機能や会員管理を、SaaSや専用システムに分離するとき、要件定義からやり直しになる。
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データ構造の違いでコンテンツ移行が手作業になる
カスタムフィールドや独自投稿タイプを使い倒していると、「CSV書き出し→整形→インポート」だけでは済まず、地道なコピペ祭りになりがちだ。
移行時の“ハマりポイント”一覧
| 項目 | よくある状態 | 望ましい事前対策 |
|---|---|---|
| デザイン | テーマ任せで構造不明 | HTML/CSSの設計書を残す |
| 機能 | 無料プラグインに全面依存 | どこまでを外部サービス分担にするか整理 |
| データ | 投稿タイプが複雑化 | 「記事」「商品」「問い合わせ」など構造を明文化 |
無料CMSを選ぶ時点で、「3〜5年後に別サービスへ渡せる設計か?」をチェックしておくかどうかが、その後の自由度を決める。
ここを押さえておけば、「0円スタート」が数年後の“身動きが取れない牢屋”に変わるのを防ぎやすくなる。
ケースで学ぶ:無料CMSで実際に起きているトラブルと、プロ現場の対処パターン
「うちのサイト、昨日まで普通だったのに、今朝いきなり“危険なサイト”って出てるんですけど…」
無料CMSの相談は、たいてい火事が起きてから電話が鳴る。ここでは、実際に現場で多発している3パターンを“再現ドラマ”のように分解する。
会社サイトが突然「危険なサイト」扱いに…プラグイン起因のインシデントケース
無料CMS、とくにWordPressは本体よりプラグインがリスク源になりやすい。便利だからと追加し続けると、管理画面は“電源タップにタコ足配線”の状態になる。
よくある流れはこのパターンだ。
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数年前に制作会社が構築
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問い合わせフォームやSEO対策のプラグインを随時追加
-
更新通知は「よく分からないので放置」
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ある日、改ざん→検索結果に「このサイトは安全ではない可能性」
インシデント時に必要な初動を整理するとこうなる。
| トラブル内容 | 主な原因 | 早期の兆候 | 初動でやること |
|---|---|---|---|
| 危険サイト表示・改ざん | 脆弱なプラグインの放置、古いPHP | 管理画面が重い、海外IPからの大量アクセス | サーバー停止→バックアップ確認→専門会社かホスティングのセキュリティサポートへ連絡 |
ポイントは「プラグインを増やす前に、誰がアップデートを回すか」を決めておくこと。無料か有料かではなく、運用体制があるかどうかでリスクは激変する。
無料CMSでEC機能を足した結果、決済まわりで詰まるショップのケース
本格的なECプラットフォームではなく、会社サイトに無料プラグインでカートを継ぎ足しただけのケースも危うい。
典型的な詰まりポイントは次の3つ。
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決済まわりの仕様変更(クレジットカード会社のセキュリティ強化、3Dセキュア対応など)にプラグインが追従しない
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在庫・顧客管理がCMS内だけで完結し、外部の受注管理システムやCRMと連携できない
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売上が増えたタイミングで「このままじゃ怖い」となり、有料ECサービスへ緊急移行 → データ移行地獄
EC機能を“おまけ”で足すか、“基盤”として設計するかで選ぶべきツールは変わる。
| 観点 | 無料CMS+ECプラグイン | 専用EC・有料CMS |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い | 相対的に高い |
| 決済まわりのアップデート対応 | プラグイン頼み | ベンダーが責任を持つ |
| CRM・MA連携 | カスタマイズ前提 | 公式連携やアプリで対応可 |
| ビジネスインパクト大のときの安心感 | 低い | 高い |
「年商が増えた瞬間に怖くなるEC」は、最初の設計ミスが原因になりやすい。売上目標と連携したいシステムを、導入前に一度書き出しておくと判断しやすい。
担当者退職→誰も操作できないCMSに…権限設計とドキュメント不在が招く“サイトの孤立”
無料CMSで一番深刻なのは、実はセキュリティより“属人化”だ。
中小企業でよくあるのは、次のようなパターン。
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情報システムや広報担当が、独学でWordPressを構築
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パスワードやサーバー、ドメイン情報を個人管理
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社内マニュアルなし、権限もすべて管理者1ユーザー
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担当者が異動・退職した瞬間、誰もログインできない
その結果、こうなる。
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お知らせ更新が止まり、会社の信用がじわじわ落ちる
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リニューアルを依頼しようにも、サーバー情報が分からず作業が止まる
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ドメイン・サーバーの請求メールが行方不明になり、最悪の場合サイトが消える
これを防ぐには、技術より運用設計が重要になる。
最低限やっておきたいこと
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管理者アカウントを複数用意し、「編集者」「投稿者」など権限を分ける
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サーバー・ドメイン・CMSログイン情報を社内共有のパスワード管理ツールに保管
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更新・バックアップ・プラグイン追加のルールを、A4一枚レベルで文書化
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「制作会社かクラウドサービス、どこに何を任せるか」を事前に決める
無料CMSは、“0円のツール”というより“長期契約のインフラ”に近い。
トラブル事例を自社に当てはめてみると、「今の運用のどこがボトルネックになりそうか」がはっきり見えてくる。
「無料CMSでここまでならOK」のラインと、「最初から有料を検討すべき」ライン
「無料で始めたサイトが、気づいたら“高い授業料”になっていた」かどうかを分けるのは、センスではなく最初の線引きだけです。
無料CMSで十分なサイトの特徴(規模・目的・更新頻度・ビジネスインパクト)
無料CMSが“うまくハマる”のは、次の4条件がそろったときです。
-
更新頻度: 月1〜2回程度のニュース更新
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規模: ページ数30以内のコーポレートサイトや採用サイト
-
目的: 会社概要の掲載、問い合わせフォーム設置がメイン
-
ビジネスインパクト: 問い合わせがゼロでも致命傷にはならない
典型パターンは、WordPressやbaserCMSで作る小規模コーポレートサイトや、Wix無料プランで様子を見るステージです。
逆に言うと、1件の問い合わせの価値が高いBtoB企業は、このラインを超えやすいので要注意です。
| 項目 | 無料CMSでOKなケース | 危険信号になるケース |
|---|---|---|
| 更新頻度 | 月1回のニュース | 週2〜毎日のブログ運用 |
| ページ数 | 〜30ページ | 100ページ超を想定 |
| 役割 | 名刺代わり | 営業の主戦力 |
| 担当 | 兼務の総務1人 | 広報・営業が複数関与 |
有料CMS・BlueMonkey・HubSpot CMSを最初から視野に入れるべき会社の条件
次のどれかに当てはまるなら、最初から有料CMSやBlueMonkey、HubSpot CMSを検討した方が、トータルコストはむしろ安く済むことが多いです。
-
営業の大半をWeb経由の問い合わせに寄せていきたい
-
拠点や事業部ごとに更新担当が複数いる
-
見込み顧客にメルマガやMAツールで継続アプローチしたい
-
社内にプラグイン更新やバックアップを担える担当がいない
| 条件 | 向く選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 営業とCMSをガッツリ連携 | HubSpot CMS | CRM・MAと一体で管理 |
| 拠点が多く担当も多い | BlueMonkey | 権限管理やサポート体制 |
| ITスキルが薄い | 国産クラウドCMS | 日本語サポートと保守込み |
無料CMSでは、プラグイン更新やセキュリティ対策が“担当者の善意”に依存しがちです。担当者退職と同時にブラックボックス化し、数年後のリニューアルで移行費が跳ね上がるケースが目立ちます。
EC・会員制・多拠点サイト…構築前に押さえたい選定チェックリスト
EC、会員制、多拠点サイトは、最初の設計ミスがそのまま“負債”になる領域です。無料CMSだけで乗り切れるかを、次のチェックで見極めてください。
-
EC機能
- 決済は自社管理か、外部サービス任せか
- 将来、定期課金やサブスクをやる可能性はあるか
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会員サイト
- 会員情報をどこで管理するか(CMS内か、CRMか)
- パスワードリセットやメール配信の運用を誰が見るか
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多拠点・多部署
- 更新担当者は何人か
- 誰が最終承認し、誰がセキュリティを責任持つのか
無料CMSに無料プラグインを継ぎ足してECや会員制を実現すると、決済仕様変更への追従や、脆弱なプラグイン起因の改ざんリスクが一気に増えます。「今は小さくても、3年後にどうなっていたいか」を起点に、無料か有料かのラインを決める方が、財布へのダメージは確実に小さくなります。
Wix / Jimdo / microCMS / ヘッドレスCMS…“操作が直感的”なツールの本当の評価軸
「触ればわかる直感操作」に飛びつくと、数年後に“どうにも手を入れられない箱庭サイト”だけが残るケースが多い。無料CMSを選ぶときは、いま楽かどうかではなく「3年後に誰がどこまで触れるか」を評価軸に置くと失敗が激減する。
「直感的なビルダー」と「構築の自由度」はトレードオフになる
WixやJimdoのようなビルダー系CMSは、PowerPoint感覚でページ作成ができる代わりに、構造の自由度をかなりCMS側に預ける設計になっている。ここを理解しておかないと「あと一歩」が永遠に届かない。
| 評価軸 | Wix・Jimdo系ビルダー | WordPress等のオープンソースCMS |
|---|---|---|
| 操作感 | 直感的で非エンジニア向き | 管理画面は慣れが必要 |
| デザイン自由度 | テンプレ内での編集が中心 | テーマ・プラグインで大幅拡張 |
| SEO/構造制御 | 基本設定は用意されているが細かい制御は制限される場合が多い | メタ情報・構造化データなど細かく設計しやすい |
| 将来の拡張 | EC連携や会員機能は「提供プランの範囲」に縛られやすい | 外部サービスとのAPI連携で柔軟に拡張しやすい |
中小企業の広報・総務担当が「今期中に会社サイトを立ち上げたい」ならビルダー系は強い味方になるが、採用ページの高度なABテストや独自フォーム連携を後からやりたくなった瞬間に“プランの壁”にぶつかるパターンが多い。
microCMSなどヘッドレスCMSで失敗しがちな“JS依存”の落とし穴
ヘッドレスCMS(microCMSなど)は、「コンテンツ管理」と「表示」を完全に分離する設計のため、将来のマルチチャネル配信やSPA(シングルページアプリ)構築に強い。一方で、現場では次のようなつまずき方が目立つ。
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表示側がJavaScriptフレームワーク(NuxtやNextなど)前提になり、社内にJSエンジニアがいないと一行も直せない
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フロント実装会社に頼り切りになり、更新フローが「microCMSで原稿入力 → Git更新 → 本番反映」と3段階になって、WordPressより更新手順が重くなる
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API仕様変更やライブラリのメジャーアップデートが発生すると、誰も追随できず“更新が怖いサイト”に変わる
ヘッドレスCMSは「技術的な自由度」と引き換えに、“JSエンジニアの継続確保”という条件付きの自由を買っているという理解が重要になる。
低スキルチームでも回るCMS構成と、スキル前提の“玄人向け”構成の線引き
「無料CMSでどこまで攻めていいか」は、機能よりも社内スキルと体制で線を引いたほうが現実的だ。
| チーム条件 | 向くCMS構成 | 見落としがちなポイント |
|---|---|---|
| Web専任ゼロ・担当は総務兼任 | Wix / Jimdoの無料〜低価格プラン、国産クラウドCMSの入門プラン | テンプレ変更・プラン変更で対応できる範囲を事前に確認しておく |
| HTML少し読める人が1人 | WordPressのシンプル構成 + 最小限のプラグイン | バックアップとアップデート手順を「マニュアル化」して属人化を防ぐ |
| JSエンジニアが継続的に関与 | microCMS等ヘッドレス + フロント独自開発 | 退職・外注解消時の引き継ぎ方法を契約書レベルで明文化する |
無料CMS選定で失敗するパターンの多くは、ツールの機能比較に時間をかけすぎて、「誰が・どこまで・何年面倒を見るか」の設計が空白のまま進むところから始まる。
ツールはあくまで箱。自社のスキルと運用体制に合わない高機能CMSを選ぶくらいなら、あえてシンプルな無料CMSを選び、運用に予算と時間を残すほうが長期的な“手残り”は大きくなることが多い。
CMSとマーケティング・CRM連携──無料から始めて「成果が頭打ちになる」パターン
アクセスは増えたのに、問い合わせは増えない。無料CMSで一度は喜んだグラフが、ある日を境に「横ばいの壁」になる。この壁の正体が、コンテンツではなくマーケティング基盤の欠如にあるケースがかなり多い。
コンテンツだけ量産しても成果が出ない理由(CRM・MA連携の視点)
無料CMSだけで戦うと、次の一歩が打てなくなるポイントがはっきり見えてくる。
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誰がどのページを何回見たか、「人単位」で追えない
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お問い合わせフォームがただのメールフォームで、顧客情報が表計算に散らばる
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メルマガ配信、セミナー申込、資料請求が全部バラバラのツール
結果として、次のような“もったいない状態”が発生しがちだ。
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同じ人に、営業とメルマガ担当が別々にアプローチして印象が悪くなる
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見積もり直前まで来ていた見込み顧客を、行動履歴が追えず「ただの問い合わせ」として扱ってしまう
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「どの記事が売上につながったか」が分からず、コンテンツ投資が勘頼みになる
ここで効いてくるのが、CMSとCRM・MAの連携だ。顧客情報を「財布の厚さに近い順」に並べ替えるのがCRM/MAの役割だとすると、無料CMSだけで運用する状態は、名刺を段ボールに投げ込んでいるのとほぼ同じと考えた方が早い。
HubSpot CMSや他のマーケティング連携型CMSが生きるフェーズ
「最初から高機能CMSにすべきか」は、会社のフェーズで決まる。アクセスが少ないうちは無料CMSでも大きな問題は出ないが、問い合わせが月10〜20件を超えるあたりから、連携型CMSの強みが一気に見えてくる。
HubSpot CMSや国産クラウド型CMSが強いのは、次のような状態になったときだ。
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Web経由のリードが、営業全体の2〜3割を超え始めた
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「どのコンテンツから来た案件が一番利益が大きいか」を知りたくなってきた
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MAツール(メール配信、スコアリング、ステップ配信)の運用を検討し始めた
代表的な違いを整理すると、判断しやすくなる。
| 観点 | 無料CMS中心(WordPress+フォームプラグイン等) | マーケ連携型CMS(HubSpot CMS等) |
|---|---|---|
| 顧客データ | フォーム送信メールが受信箱と表計算に散在 | すべてCRMに自動登録 |
| 行動履歴 | ページ単位のアクセス解析が中心 | 人単位で閲覧履歴・メール開封を一元管理 |
| 施策スピード | 「プラグイン選定→設定→不具合検証」で鈍化 | CMS内でフォーム・LP・メールまで完結 |
| レポート | PVと問い合わせ件数が主 | 売上・商談化率まで紐付け可能 |
現場感で言うと、「アクセスレポートを見ても次の一手が出てこない」と感じた瞬間が、HubSpot CMSのような連携型に真剣に切り替えを検討すべきサインになる。
無料CMSからマーケティング基盤へ「段階的に移行する」現実的なステップ
とはいえ、最初からフルスタックのマーケティング基盤を入れるのは、多くの中小企業にとってオーバースペックだ。実務的には、次のような3ステップ移行が現場では現実的だと感じる。
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無料CMS+最低限の型づくり
- WordPressや国産CMSでサイトを構築
- フォーム項目を「会社名・部署・興味のあるサービス」レベルまで整理
- GA4やSearch Consoleで流入とCVポイントだけは確実に計測
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CRMの“外付け”連携から始める
- HubSpot無料CRMや国産SaaSをフォームと連携
- 問い合わせメールをそのまま放置せず、必ずCRMに登録
- 営業チームと共通の顧客リストを持ち、「どの案件がWeb経由か」を可視化
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CMSをマーケティング基盤側へ寄せていく
- LP(ランディングページ)や資料請求ページだけ、HubSpot CMSやMAツール側で作成
- 成約率の高い導線だけを先に移し替え、効果を確認
- 数年後のリニューアルタイミングで、「コーポレートサイト本体もどこまで寄せるか」を再設計
この順番を踏めば、「無料CMSを選んだせいで将来の選択肢が閉じる」という事態は避けられる。ポイントは、最初のフォーム設計と計測ポイントだけは“マーケ側の目線”で作っておくことだ。ここさえ押さえておけば、数年後にどのマーケティング基盤を選んでも、データ移行と連携が格段に楽になる。
どのCMSを選ぶかよりも先に決めるべき、「社内体制」と「相談先」の設計図
「CMSを選ぶ前に、更新する“人”を設計する」。ここを外すと、どんな高機能な無料CMSでも数年後には「誰も触れないブラックボックスサイト」になります。
CMS選定より重要な“社内の役割分担”と権限マネジメント
中小企業で実際にうまく回っている体制は、驚くほどシンプルです。ポイントは「人を減らす」のではなく「役割をはっきりさせる」ことです。
社内で押さえたい4つの役割
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戦略オーナー:サイトの目的とKPIを決める(経営層・事業責任者)
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編集責任者:コンテンツ方針と最終チェック(広報・マーケ担当)
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更新担当:ページ更新・ブログ投稿(総務・現場担当)
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技術窓口:トラブル時に外部と話す窓口(情報システム・詳しい社員)
権限マネジメントの失敗パターン
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管理者権限を1人に集中 → 退職と同時にログイン不可
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全員を管理者権限に → 誤操作でテーマやプラグインが壊れる
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権限ルールが口約束 → パスワードが共有スプレッドシートに放置
権限設計の実務的な目安
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管理者:2人まで(編集責任者+技術窓口)
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編集者:日常更新を担うメンバー
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投稿者:ブログを書く人(公開前に必ずレビュー)
CMSの機能より、この権限設計が甘い方が、改ざん被害や情報漏えいのリスクを一気に押し上げます。
制作会社・システム会社・クラウドサービス…誰にどこまで任せるか
無料CMSでも、「全部自社でやる」はコストゼロではありません。実際には、社内工数をどこまで使うかを決めるゲームです。
よくあるパートナー別の役割分担
| 種類 | 得意領域 | 任せやすい業務 |
|---|---|---|
| 制作会社 | デザイン、情報設計、CMS構築 | サイト制作、テンプレート設計、運用レクチャー |
| システム会社 | サーバー、セキュリティ、基幹システム連携 | インフラ設計、バックアップ、障害対応 |
| クラウドCMS提供企業 | 管理画面UI、サポート、機能追加 | CMS運用全般、プラン変更、機能拡張相談 |
無料CMSを選ぶ場合でも、次のラインを決めておくとトラブルが激減します。
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「24時間以内に復旧したい障害」→ 誰に連絡するか
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「月1回は見直したいセキュリティ設定」→ どこまで社内でやるか
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「年1回の大きなリニューアル」→ 制作会社とやるのか、乗り換えも視野に入れるのか
サポート体制が明確でないCMSは、問題発生時の連絡先が「検索エンジン」しかなくなり、復旧まで数週間かかるケースが実際に起きています。
無料CMSでスタートしても、数年後に困らないための“将来のリニューアル想定”
「今は無料でとにかく立ち上げたい」というニーズ自体は正しい判断です。ただし、“出口設計”がない無料CMS導入は、将来の移行費用を爆発させます。
リニューアルを前提にした初期設計のチェックポイント
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ドメインとサーバーの契約名義は必ず自社にする
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独自テンプレートやプラグインは、別途一覧リストを作成しておく
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画像・テキストは「元データ置き場」を社内共有ドライブに用意
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フォーム送信先のメールアドレスと設定手順をドキュメント化
数年後の“詰み”を防ぐための想定シナリオ
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「アクセスが増えたので、クラウドCMSに移行する可能性」
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「EC機能を本格化するので、専用のECプラットフォームへ切り出す可能性」
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「CRM連携が必須になり、HubSpot CMSのような連携前提の製品へ乗り換える可能性」
この3つのどれが起きても、コンテンツ構造が整理されていれば移行は現実的なコストで収まります。逆に、カテゴリもタグも場当たり的に増やした無料CMSは、データ移行だけで制作費と同じくらいの請求になるケースもあります。
CMS選びそのものより、「誰がどこまで責任を持つか」「数年後にどう出口を確保するか」を先に描ける会社ほど、無料CMSを武器として使い切れています。
執筆者紹介
主要領域は本記事が扱う「中小企業のWebサイト運用」と「CMS選定・移行・セキュリティ」です。無料CMSの一覧紹介ではなく、プラグイン更新・バックアップ・権限設計・担当者退職といった現場要素を軸に、運用とリスク、将来のリニューアルまでを数字と実利ベースで整理することを重視して執筆しています。※具体的な経歴・実績数値は、事実に基づき加筆してご利用ください。

