チェックポイントUTMの入れ替え時期なのに、1530か1535か1800か、価格と性能と将来性の線引きが曖昧なまま見積書だけ溜まっていないでしょうか。UTMは古いのかSASEに振るべきか、IPv6 IPoEやオンライン資格確認に本当に対応できるのか、カタログや日本語マニュアル、LEDランプ説明を眺めても「失敗しない条件」はほとんど書かれていません。そこを放置すると、推奨ユーザー数ぎりぎりのモデルにフル機能を載せてスループットが詰まる、IPv6トラフィックだけ素通しになる、FortiGateなど他メーカーとの違いが分からないまま価格だけで選ぶ、といった見えない損失が積み上がります。
本記事では、Check Point Quantum Sparkシリーズの1530 1535 1555 1800の違いと価格・ライセンス構造、日本の中小企業ネットワーク環境での要注意ポイント、UTMとSASEの現実的な住み分け、そして現場で実際に起きている構成ミスまでを一気通貫で整理します。読み終える頃には、自社に必要なモデルとサービス範囲が具体的に決まり、「どのUTMメーカーをどう組み合わせるか」を情シス兼任でも判断できる状態になります。カタログと設定ガイドだけでは絶対に埋まらない部分を補完したい方は、このまま先を読み進めてください。
- チェックポイントとutmとは何か?utmは本当に「古い」のかを先に整理しよう
- quantumsparkシリーズの全体像と1530・1535・1555・1800の違いを「現場感」で読み解く
- 価格だけで決めると危ない?チェックポイントとutmの価格とライセンスの読み解き方
- ipv6 ipoe・オンライン資格確認・テレワーク…日本の中小企業ネット環境とチェックポイントとutmの要注意ポイント
- fortigateなど他のutmメーカーと何が違う?utmメーカーシェアと「思想」の比較
- よくあるトラブルと「やってはいけない構成」──現場で本当に起きているチェックポイントとutmの失敗例
- 導入前に必ず確認したいチェックポイントとutm要件シート──情シス兼任でも迷わない判断軸
- カタログ・仕様・マニュアル・ランプ表示…「実務で困るポイント」を先回りで解消するリンクガイド
- digitalport視点で解説!なぜ「セキュリティ選定」が中小企業のデジタル戦略とseo施策に直結するのか
- この記事を書いた理由
チェックポイントとutmとは何か?utmは本当に「古い」のかを先に整理しよう
「そろそろ機器を入れ替えたいけれど、utmってもう時代遅れなのでは?」と感じた瞬間から、情シスの迷いが始まります。ここをサッと整理しておくと、1530にするか1800クラスにするかの判断が一気に楽になります。
utmとは何かを30秒でつかむ──統合脅威管理と次世代ファイアウォールの関係
utmは一言で言えば、中小企業のネットワークを守る「防犯セット」です。バラバラに導入すると大変な次の機能を、1台のアプライアンスに統合しています。
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ファイアウォール(不要な通信の遮断)
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IPS(侵入防御・脆弱性攻撃のブロック)
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アンチウイルス・アンチボット
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URLフィルタリング・アプリケーション制御
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VPN終端(拠点間・リモートアクセス)
次世代ファイアウォール(NGFW)は、この中でもアプリケーション単位の制御と高度な検査性能を強く打ち出したコンセプトです。実務では「NGFW機能を備えたutmアプライアンス」として、ほぼ同じ文脈で語られることが多いです。
チェックポイントとutmはどこの国の技術で、世界ではどう評価されているのか
Check Pointはイスラエル発祥のセキュリティ専業ベンダーで、ファイアウォール市場を長く牽引してきた老舗です。大企業向けのQuantumシリーズ、SMB向けのQuantum Sparkシリーズを軸に、NGFW・クラウドセキュリティ・エンドポイント保護(Harmony)までポートフォリオを広げています。
中小企業向けのutmアプライアンスを選ぶうえで重要なのは、「どの機能をどこまでハードウェアに載せているか」と「管理・運用がどれだけ現実的か」です。Check Pointは:
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IPSやアプリケーション制御など検査エンジンの精度
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Smartコンソール群による一元管理のしやすさ
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VPN機能とポリシー管理の細かさ
といった点で評価されることが多く、日本ではFortiGateや他社ほど名前は出ないものの、知っている人がピンポイントで指名するタイプの製品になりがちです。
「utmはもう古いですか?」に対する実務者の答えと、saseとのリアルな住み分け
SASEの登場で、utmは「レガシーっぽく」見えますが、現場でネットワークを組んでいる立場から言いますと、オンプレ拠点をどう守るかというテーマはまったく終わっていません。
まず、よく混同されるポイントを整理します。
| 役割 | utm/NGFW | SASE系サービス |
|---|---|---|
| 主な守備範囲 | 拠点のLAN〜インターネット境界 | ユーザーとクラウドサービス間 |
| 導入場所 | ルーターやスイッチの手前 | インターネット経由のクラウド |
| 得意なシーン | 拠点の一括防御、VPNハブ、DMZ構成 | テレワーク、モバイル、SaaS利用 |
現場でのリアルな住み分けは、次のようなパターンになります。
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拠点の出口はutmでガッチリ、その先のクラウドアクセスはSASE系で最適化
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オンライン資格確認端末やオンプレ基幹システムはutm配下に置き、外出先PCはSASEやゼロトラストで保護
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重要拠点はCheck PointのようなNGFW系utm、少人数の出張者やパートナー接続はクラウドセキュリティサービスでカバー
「全部SASEでいいのでは」と考えた結果、拠点のIPv6 IPoE回線が丸ごと無防備に近い状態で残ってしまうケースも見てきました。特に日本の中小企業では、
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既にあるONU・ひかり電話ルーター・L2スイッチの構成が複雑
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DS-LiteやMAP-EなどIPv6方式が混ざっている
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VPNやDMZ、社内サーバがまだまだ現役
という事情が重なり、拠点境界の防御を物理的なutmで押さえる価値は依然として高いのが実情です。
整理すると、今の判断軸は「utmかSASEか」ではなく、
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拠点の出口はどこまで機器で守るか
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社外からのアクセスはどこまでクラウド側で吸収するか
この2レイヤーを組み合わせて設計するかどうかです。ここを押さえておけば、Quantum Sparkシリーズの型番選びや価格レンジの比較も、単なるカタログスペックではなく、自社の働き方にフィットした投資判断に変わっていきます。
quantumsparkシリーズの全体像と1530・1535・1555・1800の違いを「現場感」で読み解く
中小企業の情シス兼任の方が一番悩むのが「この箱、どのクラスを選べば詰まらないか」です。カタログのGbpsや推奨ユーザー数だけでは、実際のネットワークの重さは見えてきません。ここでは、現場での失敗パターンを踏まえて、quantumsparkシリーズを選びやすい形に整理していきます。
smb向けquantumsparkとは?sparkとquantumの違いをザックリ整理
チェックポイントのapplianceは大きく「quantum」と「quantumspark」に分かれます。
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quantum
データセンターや大規模拠点向け。高スループット、冗長構成前提。
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quantumspark
SMB・支店・小規模オフィス向け。UTMとNGFWを1台にまとめた「全部入り」モデル。
イメージとしては、quantumが「トラック」、quantumsparkが「営業車」です。どちらもネットワークを運ぶ役目は同じですが、積載量と扱いやすさが違う、という感覚で見ると整理しやすくなります。
チェックポイントとutm1530・1535・1555の違いを「台数」「vpn」「sslインスペクション」で比べる
1530/1535/1555は、同じシリーズ内でも「どこまで負荷をかけられるか」が変わります。ポイントを実務寄りにまとめると次の通りです。
| モデル | 想定規模の目安 | VPN利用 | SSLインスペクション有効時の感覚 |
|---|---|---|---|
| 1530 | 10〜20名前後の小規模オフィス | 拠点間VPN少数 | Web会議が重くなりがち |
| 1535 | 20〜40名前後の本社/支店 | テレワークVPN併用 | 設定次第でまだ余裕あり |
| 1555 | 40〜70名前後の拠点 | 拠点間+リモートVPN本格利用 | 各種保護をONにしやすい |
同じ回線でも、「全トラフィックにIPSとアンチウイルス+https検査をかける」と一気にCPU負荷が跳ね上がります。私の視点で言いますと、SSLインスペクションを本気で使う場合、1530を選んでしまうとすぐに天井に当たるケースが多く、1535以上を前提に検討した方が安全です。
checkpoint1800クラスが必要になるのはどんな企業か──支店や事業所、テレワーク前提のケーススタディ
1800は「拠点用の上限」に近いポジションで、次のような環境で効果を発揮します。
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本社50〜100名+支店数拠点
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全社員の常時VPN接続(フルリモート/ハイブリッド勤務)
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Microsoft 365や各種SaaSへのトラフィックが常に多い
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複数のvlanやdmzを切って、サーバーや複合機もまとめて保護したい
実務では「支店は1535、本社だけ1800」という構成が収まりやすく、WAN側も複数回線を束ねるケースで選択されることが多くなります。逆に、単一拠点で30名程度、vpnも出張者がときどき使う程度であれば、1800まで上げるメリットは小さいケースがほとんどです。
「推奨ユーザー数」を鵜呑みにしてはいけない理由と、トラフィックの見積もり方
カタログの推奨ユーザー数は「軽い使い方+多くの保護機能オフ」の前提で書かれていることが少なくありません。現場でよくあるギャップは次の3点です。
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全員がWeb会議ツールとクラウドストレージを常用している
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フルメッシュのリモートアクセスvpnを24時間張りっぱなし
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https検査とipsを有効にして、ログも長期間保存したい
これらを踏まえると、推奨ユーザー数は最低でも1.5倍〜2倍の余裕を見ておくと安全です。具体的には、次のような手順で見積もることをおすすめします。
- 同時接続するPC台数と、常時起動しているクラウドサービス数を書き出す
- リモートアクセスvpnの最大同時接続数を洗い出す
- 「https検査を本気でやるか」「ログをどれだけ残すか」を決める
- カタログの推奨ユーザー数に対し、2〜3割上のモデルを候補にする
この一手間をかけるかどうかで、「導入直後から遅い箱」になるか、「数年使える安心な基盤」になるかが大きく分かれます。価格表だけを見て下位モデルに寄せる前に、トラフィックの中身をざっくり棚卸しすることが、情シス兼任の方にとって最大の防御策になります。
価格だけで決めると危ない?チェックポイントとutmの価格とライセンスの読み解き方
「いちばん安い箱をください」と言った瞬間に、3年後の自分の首を絞めているケースを現場で何度も見てきました。セキュリティ機器の価格は、家電のような“本体勝負”ではなく、本体+ライセンス+保守という三層セットで見ないと必ずズレます。
本体価格・ライセンス・保守の三層構造をざっくり掴む(checkpoint1530と1535の価格帯イメージ)
このシリーズは、どのモデルでも基本的なファイアウォール機能だけでなく、IPSやアンチウイルス、アプリケーション制御などの統合脅威対策をライセンスで開放する形になっています。
感覚をつかむために、中小企業でよく検討される1530と1535を構造だけ比較します。
| 層 | 1530クラス | 1535クラス |
|---|---|---|
| 本体価格 | 小規模オフィス向け。ルータ代わりに入れ替えやすいレンジ | 1530よりやや上。VPNやトラフィック余力を見たいときに選ばれやすい |
| セキュリティライセンス | NGFW、IPS、アンチウイルス、URLフィルタ、アプリ制御などをバンドルした年額/年数ライセンス | 中身はほぼ同等。違いは「載せるトラフィック量」に対する余裕 |
| 保守・サポート | ハード故障交換+ソフトウェアアップデート | 同様。長期の延長保守が前提になることが多い |
ポイントは、本体だけなら数万円単位の差でも、3年ライセンス+保守を足すと差がかなり縮むことです。なので、迷ったら「上位モデル+必要十分な期間ライセンス」が、スループットと安定性の面で後悔が少ない選び方になります。
utmメーカーごとの価格レンジと「安さ」だけに飛びついた時に起きがちなこと
同じクラスのUTMでも、メーカーによって価格レンジや思想がかなり違います。ざっくりイメージすると次のような軸で分かれます。
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ハードは安いが、フル機能ライセンスで一気に高くなるタイプ
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本体もライセンスも中庸で、数で勝負しているタイプ
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単価は高めだが、検査精度や運用ツールにコストをかけているタイプ
チェックポイント系は、セキュリティ機能と管理ソフトウェアにコストを振っている側です。FortiGateなどと比べたとき、「カタログ上の本体価格」だけを見ると高く感じても、ログ分析やポリシー管理のしやすさ、脅威インテリジェンス更新の頻度まで含めてみると、実際の運用コストは逆転することがあります。
安さだけで決めたときに現場で起きがちなパターンは次の通りです。
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SSLインスペクションやIPSを有効化した瞬間にスループットが足りなくなり、せっかくの機能をOFFに戻す
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VPNユーザー数が増えた途端、CPUが上限に張り付き、テレワークの接続が不安定になる
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レポート機能が弱く、インシデント後の原因分析に時間がかかる
私の視点で言いますと、「本体が安い=トータルでお得」ではなく、“やりたいセキュリティ対策をすべてONにした状態で、快適に動かせるか”を基準にモデルとメーカーを選ぶべきだと感じます。
3年・5年の総額で考える時に見落とされがちなポイント(更新ライセンスとサポート)
UTMは導入して終わりではなく、3年・5年という更新サイクルで資産計画を立てる機器です。ここでよく漏れるのが次の3点です。
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更新ライセンスの価格上昇
初回導入時のキャンペーン価格に慣れてしまい、次回更新時に「想定の1.3〜1.5倍」というケースが出ます。3年後に予算が確保できず、IPSやアンチウイルスだけ切ってしまい、単なるファイアウォールに格下げしてしまう企業もあります。 -
保守切れリスク
保守を切ると、ハード故障時に新品買い直し+再設定が必要になります。中小企業では情シス兼任が多いため、復旧にかかる自社工数もコストとして見込んでおかないと、事故のたびに本業が止まります。 -
増設時の整合性
拠点追加やVPNユーザー増加に合わせて同シリーズを追加する際、古いファームウェアのままにしておくと、ポリシー管理やログ連携に歪みが出ます。長期で見るなら、同じ期間でのライセンス更新とファーム統一も予算に含める必要があります。
中小企業で失敗しにくい考え方は、次のような順番です。
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5年間で必要なセキュリティ機能(IPS、アンチウイルス、アプリ制御、VPN、SSLインスペクション)を書き出す
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推奨ユーザー数ではなく、「最大同時VPN数+クラウド利用+テレワーク前提」で余裕を見たモデルを選ぶ
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本体+5年ライセンス+5年保守の総額を、回線費用やクラウド費用と同じ“固定費”として比較する
この順番で見積もりを見直すと、「少し上位モデル+しっかりライセンス」で組んだ方が、通信トラブルとセキュリティ事故のリスクを下げつつ、結果的にコスパがよくなることが多いはずです。価格表の数字だけでは見えない“5年後の安心感”まで含めて、冷静に比較してみてください。
ipv6 ipoe・オンライン資格確認・テレワーク…日本の中小企業ネット環境とチェックポイントとutmの要注意ポイント
「回線だけ速くしたのに、セキュリティも業務も崩壊した」――現場でよく見るパターンです。IPv4 PPPoE前提で組んだネットワークに、IPv6 IPoEやオンライン資格確認、テレワークを後付けすると、Check Pointを含むUTMが“いるのに守れていない”状態が簡単に生まれます。
ds-liteやmap-eなどのipv6 ipoe方式と、utm側の対応状況をどうチェックするか
DS-LiteやMAP-Eは、プロバイダ側でNATやトンネル処理を行う方式です。ここを誤解すると、IPv6側だけUTMを素通りする構成になります。業界人の目線で最低限押さえたいのは次の3点です。
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回線業者の提供方式(DS-Lite・MAP-E・IPv4 over IPv6のブランド名)
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ONUやホームゲートウェイでルータ機能を使うか、ブリッジにするか
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Check Pointアプライアンスをルータモードで置くか、ブリッジモードで置くか
特に、ホームゲートウェイがIPv6セッションを握り、UTMはIPv4だけを見ている構成が頻発します。私の視点で言いますと、ヒアリングシートだけではここが抜けがちなので、現物の型番と配線写真を必ずもらうくらいの徹底が安全です。
下記のように整理しておくと、見落としに気づきやすくなります。
| 項目 | 確認内容のポイント |
|---|---|
| 回線方式 | DS-Lite / MAP-E / 旧PPPoEどれか |
| CPE設定 | ルータモードかブリッジか |
| UTMの設置モード | ルータ / トランスペアレント / 片腕DMZなど |
| 監視しているIP層 | IPv4のみか、IPv6もUTMを通過しているか |
オンライン資格確認やオンライン請求にチェックポイントとutmを組み込む時の現場のチェック項目
オンライン資格確認端末は、「医療系クラウドへの専用線に近い扱い」を求められます。ここにUTMを入れる時のポイントは、セキュリティ強化と仕様順守のバランスです。
確認すべき主なポイントは次の通りです。
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指定ポート・プロトコルをNGFWやIPSでブロックしていないか
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プロキシ機能やアプリケーション制御で、認証サーバへの通信を誤検知していないか
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オンライン請求端末と一般業務PCを同一VLANに置いていないか
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レポート機能で、医療系クラウドへの通信ログを月次で確認できるか
現場で多いのは、「とりあえず全許可でつないだまま放置」か、逆に厳しくしすぎて更新に失敗するケースです。ベストは、最初は要件通りに通信を通し、安定稼働後にIPSやアンチウイルスのシグネチャを段階的に有効化していく手順です。
リモートアクセスvpnとテレワーク環境で、smb向けチェックポイントとutmに本当に求められる条件とは
テレワーク前提になると、アプライアンス選定で「推奨ユーザー数」だけを見るのは危険です。SMB向けモデルでも、SSL VPNやIPsec VPNを多用した瞬間にスループットが一気に落ちるためです。
テレワーク用途で重視したい条件を整理すると、次のようになります。
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同時VPN接続数と、フル機能有効時の実効スループット
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クライアントPC側のソフトウェア(Check Pointクライアント)配布と管理のしやすさ
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クラウドサービス(Microsoft 365や各種SaaS)へのアクセスをセンター経由にするか、分岐させるかのポリシー設計
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レポート機能で、どの拠点・どのユーザーがどれだけ帯域を使っているか可視化できるか
特に、「本社の1GbE回線に全部のテレワーカーを収容」する設計は、Web会議が増えた瞬間に破綻します。拠点別にUTMとSASEを組み合わせ、Web会議やクラウドはローカルブレイクアウトさせつつ、重要システムだけVPN経由にする、といったハイブリッド構成が中小企業には現実的です。
この章を足がかりに、自社の回線方式・医療系要件・テレワーク人数を一度メモに書き出してみてください。UTMの機種選定や設定ガイドを読む前にここを整理しておくと、「なぜこのモデルが必要なのか」が一気にクリアになります。
fortigateなど他のutmメーカーと何が違う?utmメーカーシェアと「思想」の比較
「どの箱が速いか」より「どの思想が自社に合うか」で選ばないと、3年後に必ず後悔します。ここでは、現場での入れ替え相談が多い視点から、メーカーごとの考え方を整理します。
utmメーカー一覧とシェア感──なぜチェックポイントは日本で「穴場」ポジションになりやすいのか
ざっくりイメージを掴みたい方のために、代表的な統合脅威管理アプライアンスのポジション感をまとめます。
| メーカー例 | イメージされやすい強み | 日本での立ち位置の傾向 |
|---|---|---|
| FortiGate系 | コスパ・カタログ性能・箱のラインナップ | 中小〜大企業まで広く浸透 |
| Check Point系 | NGFWとしての検査精度・ポリシー管理 | グローバル実績に比べ日本SMBは少数派 |
| Sophos系 | エンドポイントと連携した一体運用 | 情シス少人数の企業で一定人気 |
| SonicWallなど | 中小向け価格帯とシンプルさ | 事務所・SOHOで採用されやすい層 |
日本の中小企業では「UTMメーカー シェア」の情報から、まずFortiGate系で見積もりを取るケースが多い一方で、グローバルではCheck Point系がNGFW分野で長く採用されてきました。このギャップのおかげで、機能の割に競合見積もりが少なく、価格交渉やモデル選択の自由度が高い“穴場”になりやすいのが実情です。
fortigateのutm機能との比較で見えてくる、チェックポイントとutmの得意・不得意
現場でFortiGateから乗り換えを検討する際、よく整理する軸をまとめます。
| 観点 | FortiGate系がハマりやすいケース | Check Point系がハマりやすいケース |
|---|---|---|
| 運用画面 | 1台ごとに直感的に触りたい | 複数拠点を一元管理・統合ポリシーで管理したい |
| 性能の出し方 | UTM機能を控えめにしてスループット重視 | IPSやアプリ制御をしっかり効かせたい |
| 設計思想 | 「箱ごと」に考える | 「ポリシーと脅威対策のプラットフォーム」として考える |
| ルール管理 | 小規模ネットワークでシンプルに | ルールが肥大化してもしっかり管理したい |
FortiGateと比べると、Check Point系はアプリケーション単位での制御や、SSL検査を前提にした設計が得意です。一方で、UTM機能を全部オンにすると推奨ユーザー数を超えやすいため、モデル選定とスループット見積もりがシビアになります。
私の視点で言いますと、「UTMは全部入りだからお得」と考えて、推奨ユーザー上限ギリギリのモデルにフル機能を盛り込むと、Check Point系は特にパフォーマンスが詰まりやすい印象があります。逆に、要件に合わせてIPSやアプリ制御の優先度を決めておけば、FortiGateからのリプレースでも満足度は高くなりやすいです。
中小企業が「有名ブランドかどうか」よりも優先すべき、3つの選定基準
中小企業やSOHOオフィスで、メーカー名より確実に確認してほしいのが次の3点です。
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実ネットワークと回線方式をどこまで見てくれるか
DS-LiteやMAP-EのIPv6 IPoE、複数WAN、DMZの有無などをヒアリングだけで済ませず、配線図や実機を見たうえで構成を提案してくれるかが重要です。ここが曖昧な販売だけは避けた方が安全です。 -
SSLインスペクションとVPNを有効にした時のスループット説明があるか
推奨ユーザー数やGbEの理論値だけでなく、- フル検査時のおおよそのMbps
- 同時VPN接続数とその時の体感
まで説明してくれるかを確認すると、モデル選びの失敗が激減します。
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運用フェーズのサポートと日本語情報の充実度
マニュアルや設定ガイド、日本語のレポート・ログ解説がどこまで揃っているか、さらに販売会社やMSPが- ポリシー変更の相談
- ライセンス更新や終了製品の乗り換え提案
まで踏み込んでくれるかが、3〜5年後の安心感を大きく左右します。
ブランド名やシェアだけで判断すると、「導入時は安くて速いが、テレワーク拡大やクラウド利用が進んだ瞬間に限界が来る」ケースが多く見られます。自社の働き方とネットワークの将来像を起点に、どのUTM思想が合うのかを見極めることが、結果として一番コスパの良い選び方になります。
よくあるトラブルと「やってはいけない構成」──現場で本当に起きているチェックポイントとutmの失敗例
中小企業のネットワークは、図面上はシンプルなのに、フタを開けると「迷路」になっていることが珍しくありません。ここでは、現場で本当に見てきた典型トラブルを、原因と対策まで一気に整理します。
ヒアリングシートは完璧だったのに…現地でネットワーク構成が違っていて起きたトラブル
ヒアリングでは「本社1拠点・ルータ1台・PC30台」と聞いていたのに、現地に行くと次のような構成になっているケースがあります。
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光回線が2本(本社用とオンライン資格確認用)
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いつの間にか設置されたWi-Fiルータが2〜3台
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謎のスイッチハブや小型ルータで二重NAT
この状態でアプライアンスを入れると、VPNが張れない・特定クラウドサービスだけ遅いといったトラブルが頻発します。
私の視点で言いますと、ヒアリングシートは「仮説」でしかないと割り切り、最低でも次のチェックを現地で行うことが重要です。
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ルータ・スイッチ・無線APの台数とメーカーを実物確認
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どのポートがどのフロアや機器に伸びているか配線トレース
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既存のファイアウォールやNGFWの有無
この現地確認を前提にしておくと、「想定外の機器」が原因のトラブルをかなり減らせます。
ipv6トラフィックだけutmを素通りしていたケースと、ファームウェア・モード設定の落とし穴
日本特有の落とし穴が、IPv6 IPoEです。DS-LiteやMAP-Eで契約しているのに、アプライアンス側はIPv4ルーティングだけを意識して設定してしまい、結果としてIPv6トラフィックだけが保護されないバイパス経路になるケースがあります。
代表的な原因は次の通りです。
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ブリッジモードで設置し、IPv6側は回線終端装置とPCが直接通信
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ファームウェアが古く、特定のIPv6方式に未対応
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IPv6フィルタリングやIPSを無効のまま運用開始
回線方式別に、事前に次のポイントを確認しておくと安全です。
| チェック項目 | 具体的に見るポイント |
|---|---|
| 回線方式 | DS-Lite / MAP-E / PPPoE のどれか |
| モード | ルータモードかブリッジモードか |
| IPv6機能 | IPv6ファイアウォール・IPS・ログ取得の有無 |
| ファーム | 利用中の回線方式への対応可否 |
「IPv4は止まるのに、IPv6経由だと危険サイトにアクセスできてしまう」という状態を避けるには、テスト時にIPv6対応の確認サイトでアクセス試験を行うことが欠かせません。
推奨台数ギリギリの下位モデル+フル機能onで、スループットが詰まった実例パターン
価格を抑えたい中小企業で本当に多いのが、「推奨ユーザー数30名クラスのモデルに、VPNとSSLインスペクションとIPSを全部オン」という構成です。カタログ上のスループットを鵜呑みにすると、次のような現象が起きます。
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昼休みと定時直後だけ、インターネットが極端に遅い
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テレワーク用VPNが数人増えた瞬間に体感速度が半減
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クラウド型グループウェアだけタイムアウト連発
原因は、フル機能時の実効スループットを見ずに、素のファイアウォール性能だけでモデルを決めてしまうことです。少しでも安全側に倒すなら、次のような考え方がおすすめです。
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推奨ユーザー数は「今の人数×1.5倍」をターゲットにする
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常時VPNユーザー数をカタログのVPN性能と照合する
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SSLインスペクションを本格運用するなら、1クラス上のモデルを検討する
「安い機種+フル機能オン」は、短期的に予算を守れても、長期的には業務効率の低下という形でコストを跳ね返してきます。
販売店側の都合で「安全側にオフ」にされがちな機能と、その見抜き方
現場の空気感として、販売店やMSPは、サポート工数を恐れて高機能をあえてオフのまま引き渡すことがあります。特に影響が大きいのは次の領域です。
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HTTPSのSSLインスペクション
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アプリケーション制御の細かなポリシー
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詳細ログやレポート機能
これらをオンにすると、誤検知や業務アプリのブロック対応で問い合わせが増えるため、「まずは基本フィルタだけで様子見しましょう」と提案されがちです。
導入側として見抜くポイントは、次のような質問を投げることです。
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現状、有効になっているセキュリティプロファイルはどれか
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SSLインスペクションを本格運用する場合、どんな影響や手順があるか
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レポートから、誰がどのクラウドサービスを使っているか把握できる状態か
この3点を聞いたときに説明があいまいであれば、「守れるはずの脅威対策が眠ったまま」の可能性が高くなります。機能を全部オンにする必要はありませんが、どこまでオンにしていて、どこからがオフなのかを、情シス側で把握しておくことが、失敗しない導入の第一歩になります。
導入前に必ず確認したいチェックポイントとutm要件シート──情シス兼任でも迷わない判断軸
「とりあえず推奨ユーザー数で1530を選んだら、VPNを有効化した瞬間に社内から悲鳴が上がった」
現場では、このレベルの悲劇が本当に起きています。ここからは、導入前に最低限そろえておくべき“生々しい要件シート”をまとめます。
まずはここから:回線方式・拠点数・vpnユーザー数・クラウド利用状況の棚卸しチェックリスト
最初にやるべきは製品選びではなく、現状ネットワークの棚卸しです。UTMの性能評価は、型番よりトラフィック量と機能の組み合わせで決まります。
私の視点で言いますと、次の表の項目がブランクだらけの状態で型番だけ決めに来るケースが、中小企業では圧倒的に多いです。
| 項目 | 押さえるべきポイント | ありがちな落とし穴 |
|---|---|---|
| 回線方式 | IPv4 PPPoEかIPv6 IPoEか DS-LiteかMAP-Eか | IPv6側だけUTM非通過で素通り |
| 拠点数 | 本社 支店 事業所 倉庫を全て洗い出し | 一部拠点だけ既存ルータ残置でVPN設計が破綻 |
| VPNユーザー数 | 同時接続数とピーク時利用(在宅 テレワーク) | 推奨ユーザー数だけ見てSSL VPNを有効化しスループット枯渇 |
| クラウド利用 | Microsoft 365 Google Workspace Salesforceなど | クラウド向け通信を全部フル検査して帯域を食いつぶす |
| 重要システム | オンライン資格確認 基幹システム リモートデスクトップ | ポート開放とIPS設定が後付けになりトラブル連発 |
棚卸しのコツは「機器単位」ではなく通信の流れ単位で書き出すことです。
例として「拠点PC→UTM→インターネット→クラウドSaaS」「本社UTM→VPN→支店」など、線で描いていくと、必要なポート数やGbEインターフェース数も見えてきます。
saseとチェックポイントとutmを組み合わせる時の、拠点別・ユーザー別の考え方
SASEが話題になる中で、よくある失敗が「全部SASEに寄せるか、全部オンプレで守るか」の二択思考です。中小企業の現場では、次のようなハイブリッド構成が現実解になります。
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本社・拠点
- UTMでファイアウォール IPS アンチウイルスを集中管理
- インターネットブレイクアウトするトラフィックをローカルで可視化
-
在宅・フルリモート社員
- SASEやクラウド型セキュリティでPC単位を保護
- 本社VPNに入れるのは基幹システム利用者だけに絞る
拠点別に整理すると、判断が一気に楽になります。
| ユーザー/場所 | 現実的な構成イメージ |
|---|---|
| 本社 常駐社員 | UTMでNGFWと統合脅威対策を有効化 ネットワーク単位で制御 |
| 小規模支店 | Sparkシリーズの小型モデルかSASE直収かを回線品質で選択 |
| 在宅勤務 | VPN接続は「基幹システム利用者のみ」それ以外はSASE経由でインターネット |
| 出張先 ノートPC | VPNクライアントとクラウド型エンドポイントをセットで運用 |
ポイントは、VPN同時接続数とSASE同時利用数を足し合わせてから、どこに負荷を寄せるか決めることです。ここを曖昧にしたまま1535や1555のモデルを選ぶと、SSLインスペクションをONにした瞬間にスループットが足りなくなります。
カタログやcheckpoint日本語マニュアルでどこまで分かるか、どこからプロに相談すべきか
カタログと日本語マニュアルは強力な武器ですが、「どこまで自力で追うか」を決めておかないと、時間だけ溶けていきます。役割分担は次のイメージが現場ではちょうど良いバランスです。
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自社で確認すべき範囲
- 製品カタログのファイアウォールスループット UTMスループット VPNスループット
- 物理ポート数 GbE WAN LAN DMZの構成
- ライセンス年数別の価格帯と保守内容
- マニュアルの「クイックスタート」「LEDランプ説明」「基本ポリシー設定」章
-
プロに相談した方が早い範囲
- IPv6 IPoE DS-Lite MAP-Eと機器モードの対応表確認
- オンライン資格確認端末のセグメント設計とIPS例外設定
- 既存FortiGateなどからの移行時に、ポリシー変換とNATルールをどう整理するか
特に、IPv6トラフィックがUTMを通過しているかどうかは、マニュアルを読んだだけでは判断しづらいポイントです。インターフェースモードやブリッジ構成を誤ると、表示上は守られているのに実際は素通りというケースが起きます。
カタログとマニュアルでスペック感と機能一覧まではしっかり押さえつつ、回線方式が複雑だったり、支店やテレワークを絡めたVPN設計が必要な場合は、早い段階で販売会社やネットワークの専門家と要件シートを一緒に埋めていく方が、結果的にコストもトラブルも抑えやすくなります。
カタログ・仕様・マニュアル・ランプ表示…「実務で困るポイント」を先回りで解消するリンクガイド
情シス兼任の方がつまずくのは、高度な攻撃ではなく「どのPDFをどこまで読めばいいのか分からない」という泥臭いポイントです。ここを押さえるだけで、導入からトラブル対応までのストレスが一気に減ります。
checkpoint1530・1535・1555・1800のカタログと仕様をどう読み解くか
カタログは端から端まで読む必要はありません。重要なのは、次の4項目です。
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ファイアウォールスループット
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脅威対策/UTMスループット
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同時セッション数
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VPNトンネル数とVPNスループット
特に「脅威対策/UTMスループット」は、IPSやアンチウイルス、アプリケーション制御を全部オンにしたときの実力を示す数字です。推奨ユーザー数だけを見て選ぶと、SSL検査を有効化した瞬間に通信が詰まるケースが現場では頻発します。
カタログを開いたら、まずは次のようにチェックすると判断が早くなります。
| 見る欄 | 意味 | 現場での使い方 |
|---|---|---|
| UTMスループット | フル機能時の実効性能 | 社員数×同時利用率×1〜2倍で余裕を確認 |
| VPNスループット | 拠点間・リモートVPNの性能 | テレワーク人数と拠点数から逆算 |
| 同時セッション数 | 同時接続できる通信の上限 | SaaS多用なら多めに見積もる |
| ポート構成/GbE数 | 物理的な接続口の数 | VLAN設計やDMZ有無と合わせて検討 |
私の視点で言いますと、1530/1535クラスは「単一拠点の小規模オフィス」、1555は「SaaS多用+VPNありの中小企業本社」、1800は「支店複数+テレワーク常用」が一つの目安になりやすいです。
checkpointマニュアル日本語版・設定ガイド・ledランプ一覧の探し方と、読むべき箇所だけ抜き出すコツ
マニュアル探しは、メーカーサイト内検索で製品名と「admin guide」「日本語」で絞り込むのが近道です。バージョン番号(例: R8x.x)も一緒に控えておくと、ファームウェアとマニュアルの食い違いを避けやすくなります。
分厚い管理ガイドをすべて読む必要はなく、次の章だけ拾い読みで十分です。
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初期セットアップとウィザード
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ネットワークインターフェースとゾーン(LAN/WAN/DMZ)
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VPN設定(拠点間とリモートアクセス)
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セキュリティポリシー(ファイアウォールとアプリケーション制御)
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ログ/レポートの見方
LEDランプ一覧は、設置現場で一番頼りになる「一次診断ツール」です。電源ランプ・ステータスランプ・各ポートのリンク/アクティビティランプについて、
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点灯/点滅/消灯の意味
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オレンジ/赤のときの想定原因
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電源投入直後の自己診断パターン
だけは事前にスクショや印刷で手元に置き、障害時にすぐ確認できるようにしておくと復旧スピードが段違いになります。
utmチェックポイントの設定が分からないときに、販売店とmspにどう質問すれば早く解決するか
「つながりません」「遅いです」だけを伝えても、サポート側は原因を絞り込めません。問い合わせ前に、次の情報を整理しておくと回答の精度とスピードが一気に上がります。
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いつから発生しているか(設定変更やファーム更新の有無)
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影響範囲(全社か特定部署か、特定サイトのみか)
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回線情報(IPv4 PPPoEかIPv6 IPoEか、DS-Lite/MAP-Eか)
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問題のある端末のIPアドレスと接続先(URLやIP)
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本体のモデル名、OSバージョン、ライセンス状況
問い合わせ文の書き方の例としては、
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どの機能を有効化したときに問題が出たのか(IPS、アプリ制御、SSL検査など)
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どこまで試したか(再起動、別ポート、別PC、UTMをバイパスしての疎通確認)
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どのポリシー/オブジェクトを触ったか(スクリーンショットがあれば添付)
を具体的に書くのがポイントです。
MSPに運用を任せている場合は、「どこまで自社で触ってよいか」「どこから先はMSP側で対応すべきか」という責任分界も最初に確認しておくと、トラブル時に余計な遠慮や二度手間を減らせます。ここまで準備できている情シスはまだ少ないので、これだけで一歩先を行く導入担当になれます。
digitalport視点で解説!なぜ「セキュリティ選定」が中小企業のデジタル戦略とseo施策に直結するのか
広告費をかけても問い合わせが伸びない会社を見ていると、「集客の穴」ではなく「ネットワークの穴」が原因というケースがかなり多いです。セキュリティ機器はコストではなく、Web集客とテレワークのための売上インフラとして設計した方が成果が出ます。
私の視点で言いますと、マーケティング支援の現場で数字が伸びる会社は、例外なくネットワークとセキュリティに一度は腰を据えて向き合っています。
web集客とテレワークを前提にすると、チェックポイントとutmでどのレイヤーまで守るべきか
中小企業が守るべきは「社内LAN」だけではありません。今の集客と働き方を前提にすると、少なくとも次の4レイヤーを意識する必要があります。
| レイヤー | 主な対象 | utmでの守り方のポイント |
|---|---|---|
| 1. 回線・拠点 | 拠点間VPN、インターネット接続 | IPS、ファイアウォール、IPv4/IPv6の両方を検査できるか |
| 2. 社内端末 | PC、Wi-Fi、プリンタ | アンチウイルス、Webフィルタ、アプリケーション制御 |
| 3. クラウド・SaaS | CMS、MA、チャットツール | URLフィルタ、SSLインスペクション、ログ可視化 |
| 4. テレワーク | 自宅・カフェからのVPN接続 | リモートアクセスVPN、端末認証、帯域設計 |
特にSEOや広告経由で多くのアクセスを集めるサイトは、CMS管理画面や社内PCが乗っ取られると検索評価ごと吹き飛ぶリスクがあります。utm側でIPSとアプリケーション制御をきちんと有効化し、WordPressやCMSの管理画面への不審アクセスを止められるかどうかが、実はSEOの「土台作り」になってきます。
情シス不在の中小企業が、マーケティング予算とセキュリティ投資を両立させるための優先順位の付け方
「広告費は毎月50万円出せるのに、セキュリティはできれば安く…」という相談はよくあります。ここでやってはいけないのが、推奨ユーザー数ぎりぎりの下位モデルを選び、IPS・アンチウイルス・SSLインスペクションを全部ONにしてしまう構成です。スループットが詰まり、Web会議も広告のランディングページ表示も遅くなり、売上に直結して悪影響が出ます。
優先順位は次の順で考えるとバランスが取りやすくなります。
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1段階目:回線方式と拠点数に合ったモデル選定(IPv6 IPoEか、支店の数はいくつか)
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2段階目:VPNユーザー数とテレワーク前提のパフォーマンス確保
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3段階目:IPS・アンチウイルス・アプリケーション制御など、統合脅威管理の有効範囲
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4段階目:レポート機能やログ保管など、運用を楽にする機能
マーケティング予算との兼ね合いでは、「広告費の5〜10%をネットワークとセキュリティの維持費に回す」と決め打ちしてしまうと、3年・5年の総額設計がしやすくなります。更新ライセンスや保守費用を含めて、キャンペーンを止めずに済むラインで計画するのがコツです。
digitalportが重視している「機能説明より前にやるべき整理」とは何か
多くの企業でつまずくのは、「どの機能を有効化するか」より前の段階です。現場で見るトラブルの大半は、ヒアリングシートと実ネットワーク構成がかみ合っていないところから始まっています。
digitalportが整理の最初に必ず確認したいポイントは、次のような項目です。
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どの回線を使っているか(フレッツ、光コラボ、IPv6 IPoEの方式はDS-LiteかMAP-Eか)
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社外から社内に入る経路が何種類あるか(VPN、リモートデスクトップ、クラウド経由など)
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壊れてはいけない業務システムはどれか(オンライン資格確認、基幹システム、ECサイト)
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今後2〜3年で増えそうな拠点数とテレワーカー数
この棚卸しをせずにモデル選定だけ進めると、「IPv6の通信だけがutmを素通りしていた」「VPNを増やした瞬間にCPU使用率が張り付いた」といった典型的な失敗パターンに直結します。
機能カタログや日本語マニュアルを読むのは、その後です。まず自社の回線・拠点・ユーザー・クラウド利用の全体像を1枚のメモに書き出し、それに対してどの機能をどこまで使うかをマッピングする。このひと手間が、デジタル戦略とSEO施策を止めないセキュリティ選定への近道になります。
この記事を書いた理由
著者 – 平井 悠介
チェックポイントのUTMは、名前だけ聞いたことがある程度で「FortiGateよりマイナー」「UTM自体が古いのでは」と誤解されがちです。実際、ここ3年ほどで相談を受けた中小企業のうち、約30社が1530や1800クラスの見積書を複数抱えたまま、誰も違いを説明できない状態でした。
印象に残っているのは、推奨ユーザー数ぎりぎりの下位モデルにフル機能を載せてしまい、オンライン資格確認の時間帯だけ通信が極端に重くなった医療法人のケースです。販売店からは「設定は問題なし」と言われましたが、実際にはIPv6 IPoEのトラフィック設計とライセンスの切り方に無理がありました。
私自身、社内拠点のUTM入れ替えで1530と1800を比較検証した際、カタログでは判断できないボトルネックに何度も突き当たりました。その過程で整理した「台数・VPN・IPv6・SASEとの住み分け」の考え方を、情シス兼任の方でもそのまま使える形で共有したいと思い、本記事を書いています。カタログでは埋まらない“選定の決め手”を、できるだけ具体的に言語化しました。


