CMS導入でサイトが止まる会社と伸びる会社の分かれ目 現場目線の完全ガイド

スポンサーリンク

「次のリニューアルでCMSを導入するか、そのまま静的サイトを続けるか。」
今止まっているのは会社のサイトではなく、あなたの意思決定かもしれません。

中小企業のWeb担当がここで判断を誤ると、よくある未来はこうです。
CMS導入に数百万円かけたのに、ログインしているのはあなただけ。社内では「触ってはいけない黒い箱」と化し、結局ちょっとした文言修正すら制作会社への依頼と見積もり待ち。更新は遅れ、営業からは「サイトは当てにならない」と見切られ、採用にも効かない。
この状態まで進んでしまうと、次のリニューアルはほぼ「泣きの再構築」になります。

この損失は、CMSの種類や機能ではなく、「導入前の問い」と「運用設計」が欠けていたことから始まります。
多くの解説は、WordPressやHubSpot、国産CMS、オープンソースと商用パッケージの違いを並べます。しかし現場でサイトが止まる本当の原因は、プラグインやテンプレートよりも、

  • 何をどれくらいの更新頻度で発信するのか
  • 誰がどこまで管理画面を触るのか
  • 5年運用したときの総コストとセキュリティをどう担保するか

といった「運用とお金のリアル」にあります。

このガイドは、CMS導入の一般論を増やすためのものではありません。
あなたの会社にとって、

  • CMSを入れるべきか
  • 入れるなら何を優先して選ぶべきか
  • 予算300万円前後でどこまでやるのが妥当か
  • そもそも「入れない」という選択をすべきか

を、現場レベルの視点で切り分けるための実務マニュアルです。

記事の前半では、「とりあえずCMS」の危険性と、WordPressやSTUDIO、オープンソースCMSで現実に起きた失敗例を分解し、
後半では、中小企業向けのCMS選定マップ、制作会社とのメールの落とし穴、費用構造の読み解き方、セキュリティと連携、さらには「CMSを入れない」判断基準まで具体的に示します。
読み終える頃には、制作会社やベンダーに即座に投げられる質問テンプレと、自社の運用体制に合った現実的な選び方が手元に残ります。

この記事を読まずにCMS導入を進めることは、見積もりの一桁を間違えたまま稟議を書くのに近い行為です。
以下のマップをざっと眺めてから、必要な章だけでも読み進めてください。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
前半(ゴール設定〜失敗事例〜選定マップ〜メール再現) 自社サイトに本当にCMSが必要かを判断するチェックリスト、失敗パターンの早期察知ポイント、WordPressやHubSpot、国産CMSなどの向き不向きを見抜く選定基準、制作会社との具体的な質問文例 「何を基準にCMSを導入・選定すればいいか分からない」「ベンダー任せで後からトラブルに気づく」という意思決定の曖昧さ
後半(運用設計〜費用〜セキュリティ〜非導入〜質問テンプレ) 少人数で回せる運用フローのモデル、初期費用と月額費用を分解して比較できる視点、セキュリティとMA・CRM連携の現実的な線引き、CMSを入れないケースの判断軸、明日から使える質問テンプレとロードマップ 「導入後に社内で運用できない」「5年単位でのコストとリスクが読めない」「CMS導入そのものが目的化してしまう」といった長期的な失敗リスク

ここから先は、「どのCMSが流行っているか」ではなく、「あなたの会社のサイトを止めないために何を選ぶか」を整理していきます。

スポンサーリンク
  1. 「とりあえずCMS入れよう」は危険信号──導入前に必ず確認したいゴールとWeb戦略
    1. 会社のサイトに本当にCMSが必要かを見極める「更新頻度」と「ページ構造」のチェックシート
    2. 営業・採用・ブランド…CMS導入の目的をぼかすと、要件が迷走する理由
    3. コンテンツマーケティングで成果を出した企業が最初に決めていた“たった2つの軸”(検索とCVの設計)
  2. 「CMS導入で失敗しました」現場で実際に起きたトラブルと、その裏にある3つの共通原因
    1. 失敗ケース1:WordPressを選んだが、プラグイン地獄とアップデートトラブルで保守コストが膨れ上がった例
    2. 失敗ケース2:オープンソースから商用パッケージへ“泣きの再構築”になった会社の話
    3. 失敗ケース3:STUDIOやWiXで始めたサービスサイトが、EC連携・CRM連携で詰んだパターン
    4. プロが見る「3つの共通点」──目的不明・運用体制不在・セキュリティ軽視
  3. 中小企業のための「CMS選定マップ」──種類別の向き・不向きを、現場目線でぶった切る
    1. WordPress/microCMS/BlueMonkey/HubSpotなど、代表的CMSの“ラベルに惑わされない”見方
    2. オープンソース・商用・クラウド・ヘッドレス…ライセンスと保守のリアルな違い
    3. フルスクラッチ開発が許されるのはどんな会社か?汎用CMSとの比較ポイント
    4. 比較表だけでは見えない「サポート」「教育コスト」「運用効率」をどう見積もるか
  4. 現場のメールを再現:「このCMS、本当に社内で運用できますか?」制作会社とのやり取りに潜む落とし穴
    1. よくあるメール往復を分解:「更新は簡単にできますよ」その一文で説明されない“作業”の中身
    2. LINE風に見るRFP相談:要件に書かれていないけれど、プロが必ず確認する運用フローのポイント
    3. 研修・マニュアル・教育コストを曖昧にしたまま見積もりするとどうなるか
  5. 「更新スピード」と「運用体制」でCMSを選ぶ──少人数チームでも回せるサイト運用設計
    1. Web担当1人+各部署担当制でうまくいった会社の運用フロー図解
    2. 管理画面の“使い方”だけ教えても失敗する理由──運用マネジメントの視点
    3. 複数サイト・ポータルサイト・グループ会社サイトを1つのCMSで統一するときの現実的なルール作り
  6. 予算300万円前後でどこまでできる?CMS導入の費用構造と「値段の裏側」
    1. 初期費用/月額費用/ライセンス/サーバー/ドメイン…CMS導入の見積書を分解する
    2. 同じ「月額5万円」でもここまで違う──保守・サポート・追加開発の範囲を読み解く
    3. 無料CMSと有料CMS、5年運用したときの総コストをケース別にシミュレーション
  7. セキュリティと連携を甘く見ると痛い目を見る──CMS×マーケティングツールのリアルな接続事情
    1. MA・CRM・メルマガ・SNS…連携でつまずいたときに現場で起きる“責任の押し付け合い”
    2. 学内ポータルや金融機関サイトの事例に見る、セキュリティ要件のレベル感
    3. HubSpotや国産CMSを選んだ企業が重視した「セキュリティ運用」と「データ連携」のバランス
  8. 「CMSを入れない」という選択肢も冷静に検討する──あえて静的サイトやノーコードを選ぶべきケース
    1. 年1回しか更新しない会社案内サイトに、重厚なCMSが不要な理由
    2. 1〜3ページのLPだけなら、ノーコードツールやSTUDIOで十分なパターン
    3. 将来のリニューアル・移行を見据えた「引越ししやすい設計」とは何か
  9. 明日からCMS導入検討を進める人のための「質問テンプレ」──制作会社・ベンダーに必ず聞くべきこと
    1. RFPや打ち合わせで使える、具体的な質問リストと確認項目
    2. 相談メールの書き方ひとつで、提案の質が変わる理由
    3. CMS導入ステップをスモールスタートで始めるための、現実的なロードマップ
  10. 執筆者紹介

「とりあえずCMS入れよう」は危険信号──導入前に必ず確認したいゴールとWeb戦略

「CMSを入れた瞬間から、更新がラクになる」
そんな期待で走り出したプロジェクトが、現場ではしばしば「黒い箱」と化します。ログインするのは自分と制作会社だけ、社内は誰も触れない。ここにハマるか、サイト運用が加速するかの分かれ目は、導入前に“たった3つ”を言語化できるかどうかです。

  1. 本当にCMSが必要なサイトか
  2. 何のための導入か(営業・採用・ブランド)
  3. 検索とCV(コンバージョン)の設計があるか

この3つを外したCMS導入は、ほぼ確実に「高価な更新フォーム」に終わります。

会社のサイトに本当にCMSが必要かを見極める「更新頻度」と「ページ構造」のチェックシート

現場でまず確認するのは技術ではなく、更新頻度×ページ構造です。感覚ではなく、下のように棚卸しすると「CMS不要」がハッキリ出るケースも少なくありません。

【ステップ1:更新頻度チェック】

  • 月1回以上変わるページがどれだけあるか

  • 誰が、どのタイミングで、何の情報を更新したいのか

  • 「更新しないのにCMSで作りたがる」ページが紛れていないか

【ステップ2:ページ構造チェック】

  • 商品一覧・事例紹介・ブログのように「型が同じで数が増える」ページはあるか

  • PDF差し替えだけで済む情報(IR資料、カタログ)が多くないか

  • 固定ページ(会社概要・沿革・アクセス)が大半を占めていないか

よくある構成を、CMS向きかどうかで切り分けるとこうなります。

ページ種別 更新頻度の目安 CMS適性 コメント
お知らせ・ニュース 月1回以上 非常に高い 担当者更新前提でCMS必須級
事例・導入実績 月1~2件追加 高い 一覧・絞り込みを見越した設計が重要
採用情報 年数回~四半期 中~高 更新担当とフローがあればCMS有効
会社概要・沿革 年1回未満 低い 静的HTMLでも十分なことが多い
製品カタログDL PDF差し替えのみ CMSよりファイル運用設計が肝

更新頻度が低く、構造も単純なら、重厚なCMSは“運用コスト負け”します。
逆に、「同じ型のページが増え続けるサイト」はCMSの得意分野です。

営業・採用・ブランド…CMS導入の目的をぼかすと、要件が迷走する理由

中小企業のCMS導入で最も多いのが、目的を1つに絞り切れないプロジェクトです。

  • 営業の本音:問い合わせ数を増やしたい

  • 採用の本音:応募前の不安を減らしたい

  • 経営層の本音:ブランド感のあるデザインにしたい

この3つを全部「なんとなく良くしたい」とした瞬間、要件は次のように崩れます。

  • 営業:「製品ページにもっと技術情報を載せたい」

  • 採用:「社員インタビューを増やしたい」

  • 経営:「トップページを動画で派手にしたい」

結果、CMS要件としてはこうなりがちです。

  • 動画を大きく見せたい(デザイン寄りの要望)

  • 記事を量産したい(マーケティング寄りの要望)

  • 更新は簡単にしたい(運用寄りの要望)

すべてを最大公約数で満たそうとして、「どこにも最適化されないCMS構成」が出来上がる
現場でうまくいっている会社は、導入前に次のように言い切っています。

  • 「問い合わせ数を月10件→30件にするためのCMS」

  • 「採用のミスマッチを減らす“情報公開装置”としてのCMS」

目的を1文で言い切れない段階では、まだRFP(要件定義書)を書くべきではありません。
ここを曖昧にしたまま選定を進めると、「社長の好み」と「各部署の主導権争い」でCMS要件がねじ曲げられ、現場で使えない仕組みになります。

コンテンツマーケティングで成果を出した企業が最初に決めていた“たった2つの軸”(検索とCVの設計)

コンテンツマーケティングで成果を出している中小企業を見ると、必ず最初に決めている軸が2つあります。

  1. どんな検索キーワードで見つかりたいか(検索軸)
  2. 記事を読んだ人に最終的に何をしてほしいか(CV軸)

CMS導入前に、この2軸をサイト構造レベルに落とし込むのがプロの設計です。

【検索軸の決め方の例】

  • 「製品名」だけでなく、「課題キーワード+業界名(例:振動対策 BtoB 機械)」を狙う

  • ブログ・技術記事・事例ページを、SEOを意識したカテゴリで整理する

  • URL設計・パンくずリスト・内部リンクをCMS側でコントロールできるか確認する

【CV軸の決め方の例】

  • 「資料ダウンロード」「お問い合わせ」「デモ依頼」「メルマガ登録」のどれを主軸にするか

  • どのタイプのコンテンツから、どのCV導線に誘導するかをマッピングする

  • CMSの管理画面で、CTA(ボタン・バナー)をどこまで自分たちで差し替えられるかを決める

この2軸を事前に整理しておくと、CMS選定時のチェックが具体的になります。

  • 「このCMSは、カテゴリ別のテンプレート変更ができるか」

  • 「記事ごとにCTAを出し分けできるか」

  • 「SEOタイトルやメタ情報を担当者が編集しやすい管理画面になっているか」

CMS導入は“検索とCVを設計するための投資”と定義した瞬間から、ツール選びがブレなくなります。
逆にここが決まっていない状態でCMSを入れても、ただ「更新しやすいだけのコーポレートサイト」が1つ増えるだけです。

スポンサーリンク

「CMS導入で失敗しました」現場で実際に起きたトラブルと、その裏にある3つの共通原因

「CMS入れた瞬間から、社内の誰もログインしなくなった」──中小企業の現場では、こんな“黒い箱サイト”が量産されている。表面上はリニューアル完了、裏側ではWeb担当1人がプラグインと格闘し続ける。ここでは、実際に多発している失敗パターンを、予算300万円前後・担当兼務というリアルな前提で分解する。

失敗ケース1:WordPressを選んだが、プラグイン地獄とアップデートトラブルで保守コストが膨れ上がった例

「WordPressなら無料で柔軟にカスタマイズできますよ」。この一言から、失敗が始まることが多い。

よくある流れはこうだ。

  • 要件定義の段階で「標準機能」で収まらず、プラグインを10〜20個追加

  • 開発時は快調だが、本番運用でプラグイン同士の相性問題が発生

  • コアとプラグインのアップデートたびにテスト環境で動作確認が必要に

  • 結局、毎月の保守作業が発生し「無料CMSなのに月額5万円超え」という状態に転落

ポイントは、WordPress本体より“プラグイン更新の工数”が保守費用を押し上げること。BtoB中小のWeb担当が1人で安全にアップデートを回すのは現実的ではなく、「制作会社に任せる前提」で費用を見ないと破綻しやすい。

失敗ケース2:オープンソースから商用パッケージへ“泣きの再構築”になった会社の話

「ライセンス無料に惹かれてオープンソースCMSを導入したのに、5年以内に商用パッケージへ乗り換え」も、よくあるパターンだ。

背景には次のようなギャップがある。

  • 無料ライセンス前提で初期費用を抑えたが、保守できるエンジニアが社内にいない

  • カスタマイズを重ねた結果、バージョンアップが事実上不可能に

  • 脆弱性対応やサーバー移行のたびに、毎回“個人スキル依存”の綱渡り運用

  • 「このままではセキュリティ事故が怖い」と判断し、商用パッケージへ再構築

ここで痛いのは、最初の構築費用をほぼ捨てることになる点。経営層には「無料CMSでコスト削減」と説明していたため、再投資の稟議が地獄になる。

本来は、導入前に「誰が何年スパンで保守するか」を決め、その人材・ベンダーが継続対応できる技術スタックかを確認すべきだったケースだ。

失敗ケース3:STUDIOやWiXで始めたサービスサイトが、EC連携・CRM連携で詰んだパターン

ローンチ当初は「とりあえずサービス紹介ページと問い合わせフォームだけ」という前提で、STUDIOやWiXを選ぶケースは多い。ここで見落とされがちなのが、2〜3年後の“連携要件”だ。

よく起きる行き詰まりは次の通り。

  • MAツールやCRMと本格連携したくなったタイミングで、APIやWebhookの制約に直面

  • EC機能を追加しようとしたが、決済や在庫管理システムとの連携がプラグイン任せで不安定

  • グローバルナビや構造化データ、SEO細かい設定に制限があり、オウンドメディア化しづらい

  • 結局「成長フェーズに入った瞬間に足かせ」となり、別CMSへ移行プロジェクトが発生

“最初は小さく始めたい”というニーズ自体は妥当だが、顧客データをどこで一元管理するかを決めずにノーコードツールを選ぶと、移行時のデータ移管とURL設計で確実に苦労する。

プロが見る「3つの共通点」──目的不明・運用体制不在・セキュリティ軽視

3つのケースに共通するのは、次の3点だ。

  • 目的不明:

    • 「更新しやすくしたい」「マーケティングを強化したい」といった抽象的なゴールのままCMSを選定
    • 検索からのリード獲得なのか、既存顧客への情報発信なのか、KPIが曖昧
  • 運用体制不在:

    • Web担当1人にすべてを背負わせ、編集権限・承認フロー・各部署の役割分担を決めていない
    • 教育コストや引き継ぎ手順を見積もっておらず、“属人CMS”になりやすい
  • セキュリティ軽視:

    • 「うちはそんなにアクセスないから」と更新頻度ばかり気にし、脆弱性対応や権限設計を後回し
    • 結果として、アップデートが怖くなりバージョンが固定化、“触れない黒い箱”へ

この3つを、導入前にどこまで言語化できるかで、成功確率は一気に変わる。

下記は、失敗しがちな選定と、押さえるべき視点の対比だ。

よくある選び方 プロが見るべき軸
無料か有料かで判断 5年総コストと保守体制
有名CMSかどうか 自社の運用体制と権限設計に合うか
デザイン事例の豊富さ 更新スピードと教育コスト
ベンダーの推しポイント セキュリティ運用と連携要件

この章で触れた“地雷”は、次の「CMS選定マップ」で具体的な判断基準に落としていく。今の時点で、自社がどの失敗パターンに近いか、一度メモしておくと後の章が読みやすくなる。

スポンサーリンク

中小企業のための「CMS選定マップ」──種類別の向き・不向きを、現場目線でぶった切る

「WordPressが多いらしい」「国産は安心そう」このレベルで選ぶと、3年後に移行費用で泣きます。ここではラベルを外し、「更新スピード」「運用体制」「セキュリティ」「将来の拡張性」でCMSを切り分けます。

WordPress/microCMS/BlueMonkey/HubSpotなど、代表的CMSの“ラベルに惑わされない”見方

名前ではなく得意な土俵で整理すると、判断が一気にクリアになります。

CMS 得意領域 向いている会社像
WordPress ブログ型メディア、SEO 社内に最低1人はWeb知識がある中小企業
microCMS ヘッドレスで軽量運用 フロントは自由に作りたい制作会社寄り
BlueMonkey 企業Web、更新担当が非エンジニア BtoB中小、拠点や事業部ごとの担当運用
HubSpot MA・CRM連携、インバウンド 問い合わせ〜営業管理まで一体管理したい企業

ラベルでなく、「誰がどれくらいの頻度で何を更新するか」から逆算して当てはめると、ミスマッチが減ります。

オープンソース・商用・クラウド・ヘッドレス…ライセンスと保守のリアルな違い

よくある誤解は「オープンソース=無料でお得」。実際は保守の財布の紐が大きく変わります。

区分 強み 見落としやすいコスト
オープンソース 初期費用を抑えやすい プラグイン相性、アップデート検証工数
商用パッケージ ベンダー保守、機能が安定 バージョンアップ時のライセンス更新
クラウドCMS サーバー管理ほぼ不要 データ容量超過時の追加料金
ヘッドレスCMS マルチチャネル配信に強い フロント側の開発・保守が別途必要

現場では、事故対応の窓口がどこかを決めておかないと「サーバーかCMSかプラグインか」で責任の押し付け合いが発生します。

フルスクラッチ開発が許されるのはどんな会社か?汎用CMSとの比較ポイント

「うち専用のCMSを作りたい」という相談は少なくありませんが、許されるのは条件がかなりシビアです。

  • フルスクラッチを検討しても良い条件

    • 自社にエンジニアチームが常駐し、長期保守まで社内で回せる
    • 非常に特殊な業務フローがあり、汎用CMSに寄せると逆に運用コストが跳ね上がる
    • 予算と期間に余裕がある(初期も改修も)
  • それ以外の多くの中小企業

    「8割を汎用CMSで満たし、2割をカスタマイズで埋める」方が、総コストとリスクのバランスが良い

フルスクラッチは、例えるなら「社用車をゼロから自社開発する」感覚に近く、普通はトヨタやホンダの既製車をカスタムした方が現実的です。

比較表だけでは見えない「サポート」「教育コスト」「運用効率」をどう見積もるか

CMS選定で一番失敗しやすいのが、カタログ比較で終わることです。チェックすべきは、表に出ない「社内の手間」です。

  • サポート

    • 障害発生時、誰に日本語で電話できるか
    • 保守の範囲は「サーバーだけ」「CMS本体まで」「プラグインも含む」のどこまでか
  • 教育コスト

    • 更新担当が1時間の研修でどこまで触れるか
    • マニュアルが画面キャプチャ付きか、動画か、社内で再配布しやすい形式か
  • 運用効率

    • 1ページ更新に必要なクリック数と作業時間
    • 承認フロー(下書き→確認→公開)をCMS内で完結できるか

目安として、「月の更新作業時間×担当者の人件費×3年」をラフに計算してみると、初期費用の高いCMSの方が結果的に安くつくケースがはっきり見えてきます。制作会社から比較表が出てきたら、上記の観点を自分用の赤ペン項目として追加しておくと、安全な選定に一気に近づきます。

スポンサーリンク

現場のメールを再現:「このCMS、本当に社内で運用できますか?」制作会社とのやり取りに潜む落とし穴

「更新は簡単です」「直感的な管理画面です」
この2フレーズだけを信じて進めると、リニューアル後にサイトが止まります。ここからは、実際に中小企業のWeb担当が踏みがちな“メール地雷”を、一つずつ分解します。

よくあるメール往復を分解:「更新は簡単にできますよ」その一文で説明されない“作業”の中身

まずは、よくあるメールの形から。

担当者:「ニュースの更新は社内でできますか?」
制作会社:「はい、管理画面から簡単に更新できます」

この一往復で終わらせると危険です。「簡単」には最低でも次の作業が含まれます。

  • 文章をCMSにコピペする

  • 画像をリサイズしてアップロードする

  • タイトル・ディスクリプション・OGPを入力する

  • カテゴリやタグを設定する

  • 公開日時を調整する

ここが曖昧なまま進むと、よく起きるのが「テスト公開で更新担当が固まる」事態です。

メールで必ず分解して確認すべきポイント

  • 誰がどの画面を何ステップで触るのか

  • その作業にHTMLや画像編集の知識が要るのか

  • 1本の記事更新に、慣れたら何分かかる想定か

更新作業を“見える化”するシート例を挙げます。

作業ステップと難易度の整理例

作業ステップ 実施者 必要スキル 想定時間
記事テキスト入力 各部署担当 Wordレベル 10分
画像リサイズ・登録 Web担当 画像編集・容量理解 15分
SEO関連項目の入力 Web担当 SEO基礎知識 10分
最終チェック・公開 Web担当/上長 校正・権限管理 10分

このレベルまで具体的にして、はじめて「簡単」と言えるかどうかの判断ができます。

LINE風に見るRFP相談:要件に書かれていないけれど、プロが必ず確認する運用フローのポイント

RFP(要件定義書)には「ニュースを月4本更新」くらいしか書かれていないことが多いですが、プロは必ず裏を取ります。

LINE風のやり取りで見ると、チェックすべきポイントが見えてきます。

担当:
「月4本くらいニュースを更新する想定です」
制作:
「そのニュースは、どの部署が原稿を書きますか?」
担当:
「営業と採用と広報がバラバラに…」
制作:
「じゃあ承認は誰が出しますか?締切は決められますか?」
担当:
「最終的には社長確認になります…」
制作:
「社長確認のタイミング、営業時間外の公開は必要ですか?」

プロが見ているポイントは次の通りです。

  • 原稿作成者の数:アカウント何人分いるか

  • 承認フロー:下書き→確認→公開のステップ数

  • 公開タイミング:平日9〜18時だけで足りるか

  • 権限設計:誤操作を防ぐためにロールを分ける必要があるか

この“運用体制の設計”がCMS要件を決めます。
権限管理が弱いCMSを選ぶと、誤公開→炎上リスク→結局「黒い箱」化という最悪ルートに入りやすくなります。

研修・マニュアル・教育コストを曖昧にしたまま見積もりするとどうなるか

CMS導入で最も過小評価されるのが、教育コストです。
見積書に次のような行がない場合は、ほぼ確実に後から火を噴きます。

教育・運用サポートの見積もり例

項目 内容 目安費用感
初回操作研修 管理画面操作説明(2時間×1回) 数万円〜
部署別マニュアル作成 営業・採用向け簡易マニュアル 数万円〜
月次オンライン相談枠 月1回の運用相談・QA 月額数万円
追加担当者の再研修 担当交代時のフォロー 数万円〜

これらが見積もりから抜けると、現場ではこうなります。

  • 担当が異動した瞬間、誰もCMSを触れなくなる

  • マニュアルが無いので、属人化して「その人が休むと更新止まる」

  • トラブル時にベンダーへ都度スポット依頼→長期コストが膨張

CMS導入を「構築費+月額保守」だけで比較すると失敗します。
“教育込みで社内に運用体制を作る費用”まで含めて、初めて本当の導入コストです。
ここを最初のメール・RFP段階で言語化できる担当者が、サイトを止めずに育てられます。

スポンサーリンク

「更新スピード」と「運用体制」でCMSを選ぶ──少人数チームでも回せるサイト運用設計

「良さそうなCMSを入れたのに、結局“更新できるのは自分だけ”」。中小企業のWeb担当が疲弊する原因は、CMSそのものより更新スピードと運用体制の設計ミスにあります。

Web担当1人+各部署担当制でうまくいった会社の運用フロー図解

少人数で回せている企業は、必ず役割とフローを文字レベルで決めているのが特徴です。

例として、従業員80名規模・Web担当1人のBtoB企業のパターンを整理します。

役割分担の基本設計

  • Web担当:全体設計・CMS管理画面の権限管理・公開チェック

  • 各部署担当:原稿作成・画像提供・簡易修正

  • 制作会社:テンプレート編集・デザイン調整・保守

この構造をCMS上の権限にきちんと落とし込むと、次のようになります。

役割 CMS権限・作業範囲
Web担当 承認・公開、レイアウト調整、カテゴリ設定
各部署担当 下書き作成、既存ページのテキスト更新
制作会社 テンプレート編集、機能追加、バグ対応
情報システム側 アクセス権・サーバー・セキュリティ確認

1本の記事が公開されるまでのフロー

  1. 各部署担当がCMSで下書き入力(Word原稿は禁止)
  2. Web担当がSEO観点・構成をチェックし、軽微な編集
  3. 月1回の「更新枠」にまとめて公開予約
  4. 制作会社は月次でテンプレート側の改善だけを対応

ポイントは、「誰がどのボタンまで押していいか」を明文化していることです。これをやらないと、「管理画面を触ってはいけない人」が増え、CMSが黒い箱になります。

管理画面の“使い方”だけ教えても失敗する理由──運用マネジメントの視点

現場でよくあるのが、「導入時に2時間の操作研修をやったのに、半年後には誰も触っていない」というパターンです。原因はシンプルで、操作は教えたが、“いつ・誰が・何のために更新するか”を決めていないからです。

運用マネジメントとして最低限決めておくべき項目は次の通りです。

  • 更新頻度:ニュースは月1回必ず出す/採用情報は募集開始の3日前に更新

  • KPI:問い合わせ件数・資料ダウンロード数など、ページごとのゴール

  • フォーマット:ニュース記事のテンプレート(タイトル・リード・本文構成)

  • レビュー基準:誰が最終チェックをするか、NGワード・表記ルール

操作研修だけの教育設計と、運用マネジメントを含めた教育設計の違い

観点 操作研修だけ 運用マネジメントまで含める
教える内容 ボタンの場所 目的・役割・更新サイクル
研修後の状態 「触れるが怖い」 「いつ・何を・どこまでやるか分かる」
1年後のサイト 更新止まりがち 定期更新・不要ページの整理が進む

CMS導入プロジェクトでは、「管理画面マニュアル」だけでなく、運用ルールブック(A4数枚でもよい)をセットで作ることが、属人化防止の近道になります。

複数サイト・ポータルサイト・グループ会社サイトを1つのCMSで統一するときの現実的なルール作り

複数サイトを1つのCMSで統一すると、ユーザー体験も運用効率も一気に上がりますが、設計を誤ると「どのサイトを触っているのか分からない混乱状態」になります。統一に踏み切るなら、次の3レイヤーでルールを作るのが現実的です。

1. 情報設計ルール

  • どのサイトも必ず「製品・サービス」「事例」「ニュース」「お問い合わせ」を共通カテゴリに

  • 各社独自のコンテンツは、サブカテゴリで整理し、URLルールを統一(/company-a/news/のように)

2. デザイン・テンプレートルール

  • 共通ヘッダー・フッター・グロナビは全サイトで固定

  • 各社ごとの色・写真テイストは「キービジュアルエリアだけ」カスタマイズ可能にする

3. 権限・承認フローのルール

サイト種別 編集権限を持つ担当 承認者
コーポレート本体 本社Web担当 本社広報責任者
グループ会社サイト 各社のWeb兼務担当 各社の事業部長
採用ポータル 人事担当+本社Web担当 人事責任者+広報責任者

1つのCMSに複数サイトを載せるほど、「どこまで共通化し、どこから個別最適するか」の線引きが重要になります。機能の豪華さより、こうしたルールをCMS側の権限・ワークフロー機能で再現できるかどうかが、ツール選定の決定打になります。

スポンサーリンク

予算300万円前後でどこまでできる?CMS導入の費用構造と「値段の裏側」

「同じ300万円なのに、片方は“黒い箱CMS”、片方は“売上を連れてくるCMS”になる」──その差は、見積書の読み解き方でほぼ決まります。

ここでは、BtoB中小企業がよく使う予算レンジ「初期〜300万円・月額5万円前後」を前提に、現場で実際に揉めるポイントだけを分解します。


初期費用/月額費用/ライセンス/サーバー/ドメイン…CMS導入の見積書を分解する

まずは「どこにお金が乗っているか」を骨まで分解します。

代表的な項目は次の通りです。

費目 具体例・中身 注意ポイント
初期構築費 要件定義、設計、デザイン、テンプレ作成、実装、テスト 要件定義と設計が削られていないか
CMSライセンス 商用・クラウドCMSの年額利用料 ユーザー数・サイト数の上限
実装・カスタマイズ プラグイン選定、機能追加、ワークフロー設定 更新フローが業務に合っているか
データ移行 既存サイトからの記事・画像移行 何ページまで含むかが要確認
サーバー・インフラ レンタルサーバー、クラウド、WAF、バックアップ セキュリティ要件とのバランス
保守・サポート 障害対応、アップデート、問い合わせ窓口 対応時間・範囲が明記されているか
ドメイン・証明書 ドメイン維持費、SSL証明書 自社名義かベンダー名義か

予算300万円ゾーンでありがちな「危ない見積」は次の3パターンです。

  • 要件定義・設計が“サービス”としてオマケ扱い

    →結果として、「テスト公開後に更新担当が使えない」やり直し案件になりやすい。

  • データ移行が“ざっくり一式”表記

    →あとで「50ページ超過なので追加費用です」と言われがち。

  • サーバー・セキュリティが最低限プラン

    →WordPressでWAFなし・自動バックアップなしは、実務的にはかなりリスクが高い。

見積書を受け取ったら、「初期構築」と「運用コスト」を分けて合計する癖をつけると、5年単位の判断がしやすくなります。


同じ「月額5万円」でもここまで違う──保守・サポート・追加開発の範囲を読み解く

月額費用の中身を聞かずに契約すると、1年後に「追加開発だけで毎月10万円」みたいな事態になりがちです。

よくある誤解を、現場での実態ベースで整理します。

月額項目 パターンA:薄い保守 パターンB:厚い保守
障害対応 サーバーダウン時のみ CMSエラー・プラグイン不具合も含む
アップデート対応 手動。別途見積もり セキュリティパッチは月額内で対応
コンテンツ更新代行 なし 月◯時間まで「バナー差し替え」等を含む
追加開発 毎回個別見積もり 小規模改修は月額内 or 割安レート
サポート窓口 メールのみ、回答は数営業日 電話・オンラインMTG、SLA付き

中小企業のWeb担当が押さえておきたい質問は次の通りです。

  • 「月額5万円の中にセキュリティアップデート作業は含まれますか?」

  • 「WordPressのプラグイン更新でサイトが落ちた場合、どこまでが月額内ですか?」

  • 「月◯回までの軽微な修正とは、具体的にどのレベルの作業ですか?」

ここを曖昧にしたままだと、「CMS管理画面は触ってはいけない黒い箱」「更新は全部制作会社にメール」という属人運用から抜け出せません。


無料CMSと有料CMS、5年運用したときの総コストをケース別にシミュレーション

短期の初期費用だけで判断すると、無料CMSが魅力的に見えます。ただ、5年運用での“財布から出ていくお金”で比較すると、風景が変わります。

前提条件

  • ページ数: 約80〜100

  • 更新頻度: 月4〜8ページ

  • Web担当1人+各部署で原稿作成

  • 予算: 初期〜300万円、月額〜5万円想定

ケース 初期費用目安 年間運用費目安 5年総コストイメージ 主なリスク・特徴
A: WordPress+格安保守 150〜250万円 月1〜3万円 約210〜430万円 プラグイン相性・アップデート事故のケア必須
B: 商用パッケージCMS 200〜300万円 月5〜8万円(ライセンス込) 約500〜780万円 安定性とサポート重視。機能拡張は設計勝負
C: クラウドCMS(国産SaaS系) 150〜250万円 月3〜6万円 約330〜610万円 インフラ込みで運用負荷は小。ベンダーロックに注意
D: ノーコード+外部ツール組み合わせ 100〜180万円 月2〜5万円 約220〜480万円 CRM/MA連携で行き詰まり、途中で再構築するケースあり

現場でよく起きるパターンを3つだけ挙げます。

  • Aを「無料だから」と選んだら、保守が商用並みに膨張

    →プラグイン更新テスト・セキュリティ対策を外注すると、実質月5万円クラスになる。

  • Dスタートで、EC・CRM連携をきっかけにBまたはCへ“泣きの再構築”

    →「フォームは外部ツールで」「メルマガは別サービスで」と分散しすぎて、データ一元管理が崩壊。

  • B・Cを選び、営業・採用が自分で更新できる体制を組んだ企業は、長期のリード獲得コストが低下

    →更新スピードが上がり、コンテンツマーケティングの打席数が増えるため。

300万円の初期費用だけを見るのではなく、「5年間で何回サイトを止めずにアップデートできるか」「何本コンテンツを追加できるか」という“運用成果”まで含めて、CMS導入のコストを設計していくと判断を誤りにくくなります。

スポンサーリンク

セキュリティと連携を甘く見ると痛い目を見る──CMS×マーケティングツールのリアルな接続事情

「CMSをつないだ瞬間から、“ただの会社サイト”が“個人情報の塊”に変わる」
ここを自覚しているかどうかで、後のトラブル量が桁違いになります。

MA・CRM・メルマガ・SNS…連携でつまずいたときに現場で起きる“責任の押し付け合い”

MA、CRM、メルマガ、SNS連携は、図で描くとシンプルでも、現場では次のような泥仕合になりがちです。

  • フォームからCRMへリードが入らない

  • メルマガ配信停止がWeb側に反映されない

  • MAのトラッキングタグが途中で外れて計測ゼロ

その瞬間、会議室ではこうなります。

  • CMS側「APIは正常、相手の仕様変更では?」

  • MA側「タグの貼り方が違うのでは?」

  • 制作会社「運用フェーズの範囲外です」

  • 社内「結局、誰が直すの?」

実務では、「どのツールが悪いか」より「どこまで誰が見るか」を先に決めておくかが勝負です。

確認観点 事前に決めるべきこと よくある抜け漏れ
障害切り分け どのログを、誰が、どこまで見るか CMSログの閲覧権限が制作会社だけ
連携テスト 本番同等データでどこまで試すか フォーム1件送って「OK」にしてしまう
運用窓口 ベンダー・制作会社・社内担当の役割 MA側とCMS側で別々にサポート窓口を契約

「更新はCMS担当、連携トラブルはマーケ担当」のようなふんわり分担は、必ず火種になります。
最低限、Web担当が「どのツールのログを見れば原因に当たりが付きそうか」を把握しておくと、責任の押し付け合いをかなり減らせます。

学内ポータルや金融機関サイトの事例に見る、セキュリティ要件のレベル感

セキュリティ要件は、業種によって「標準」がまったく違います。
中小企業がここを誤って、“金融機関レベル”を目指して自滅するケースも少なくありません。

レベル 代表的なサイト例 よく求められる要件の一例
金融機関、学内ポータル、大企業イントラ IP制限、多要素認証、操作ログの長期保存、脆弱性診断の定期実施
BtoBコーポレート、会員制メディア アクセス制御、権限分離、WAF導入、バックアップポリシー
会社案内のみのコーポレート、採用単独LP CMS標準機能+サーバー側の基本対策、最低限の権限管理

ポイントは、「自社のリスクレベルに、どれだけお金をかけるか」を線引きすることです。

  • 取引先の情報や見積データが入るフォームがあるか

  • 会員制エリアをCMSで運用するか

  • 学内向けポータルのように、職員や生徒の行動履歴が残るか

これらが「はい」なら、ログ管理とアクセス制御は妥協しないラインになります。一方で、年数回の情報発信だけなら、金融機関並みの要件を真似しても費用倒れになりやすいです。

HubSpotや国産CMSを選んだ企業が重視した「セキュリティ運用」と「データ連携」のバランス

HubSpotや国産CMSを検討した企業は、華やかな機能よりも「運用を破綻させない仕組み」を重視して選んでいるケースが目立ちます。

特に評価されやすいのは次の3点です。

  • 権限設計が細かく切れるか

    → 営業部はブログ編集のみ、人事は採用ページのみ、情報システムは全体管理など、現実の組織構造に合わせやすいか。

  • MA・CRM・フォームが“最初からつながっている”か

    → HubSpotのように、CMSとMA、CRMが一体だと「どの連携が落ちているか」の切り分けが比較的しやすい。

  • アップデートと脆弱性対応を誰が握るかが明確か

    → 国産パッケージやクラウド型CMSは、セキュリティパッチやサーバー側の対策をベンダー側が一括で担う設計が多く、社内の負担を抑えやすい。

選定軸 オープンソースCMS中心 HubSpot・国産CMS中心
セキュリティ運用 自社/制作会社が主体。情報システムのリテラシー必須 ベンダー主導。契約範囲で“どこまで見てくれるか”の確認が鍵
データ連携 プラグイン・APIを組み合わせて構築 提供機能内で完結しやすいが、仕様に合わせる設計が必要

中小企業のWeb担当が押さえるべき視点はひとつです。
「最高レベルのセキュリティ」ではなく、「自社の運用体制でも破綻しないセキュリティと連携」をCMS導入時に設計できているかどうか。
ここを外すと、どんな高機能なCMSでも、数年後には“触ってはいけない黒い箱”になってしまいます。

スポンサーリンク

「CMSを入れない」という選択肢も冷静に検討する──あえて静的サイトやノーコードを選ぶべきケース

「CMSを入れた瞬間から、あなたの仕事が増えるのか、減るのか」。ここを外すと、更新もしない会社案内サイトに、重戦車みたいなCMSを載せてしまうことになります。

年1回しか更新しない会社案内サイトに、重厚なCMSが不要な理由

更新頻度が「決算情報を年1回差し替えるだけ」「代表メッセージを3年に1回書き換えるだけ」という会社案内サイトなら、CMS導入は費用対効果が合わないケースが多いです。

よくある構成は下記のようなパターンです。

  • トップ

  • 事業紹介

  • 会社概要

  • 採用(PDF募集要項のみ)

  • お問い合わせフォーム

この規模・更新頻度だと、静的HTML+フォームサービスの組み合わせで十分回ります。CMSにすると次のような余計なコストが乗ります。

  • 月額ライセンス・サーバー費用

  • バージョンアップ対応とテスト作業

  • 管理画面の教育コスト

更新頻度が「年1〜2回」なら、そのときだけ制作会社に依頼した方が総コストは安く収まりやすいのが実務上の感覚です。

観点 静的サイト CMS導入サイト
初期構築費用 中〜やや高め 中〜高め
月額費用 低い(サーバーのみ) 中〜高(ライセンス・保守)
更新作業 制作会社に依頼が前提 社内更新も可能だが教育が必要
セキュリティリスク 比較的低い バージョン・プラグイン管理が必須
向いている更新頻度 年数回以下 月1回以上

「社内にHTMLの知識がないからCMS」という判断をしがちですが、そもそも更新しないのなら、“更新を簡単にする仕組み”は投資過多になります。

1〜3ページのLPだけなら、ノーコードツールやSTUDIOで十分なパターン

リード獲得用LPが1〜3ページだけ、広告に合わせて文言と画像を差し替える程度なら、STUDIOやノーコードツールが強力な選択肢になります。

向いているケースを整理するとこんなイメージです。

  • 新サービスの検証で、まずは半年だけLPを走らせたい

  • 社内にデザイナーはいないが、直感的な画面でテキストと画像は差し替えたい

  • ブログや大量の下層ページは持たない

目的 向いている手段
単体LPでリード獲得 STUDIO・ノーコード
10ページ前後のコーポレート 静的 or 軽量CMS
50ページ以上の情報発信 本格CMS(WordPress・国産CMS等)

現場でよくある失敗は、「LPだけのつもりでSTUDIOやWixを選んだが、後からEC・会員機能・MA連携が必要になり、連携で詰む」パターンです。“LP専用”のまま終わるのか、それともメディア化・会員化の可能性があるのかを、営業・マーケ・経営と一度テーブルで確認しておくとブレーキになります。

将来のリニューアル・移行を見据えた「引越ししやすい設計」とは何か

CMSを入れない・ノーコードで始めるにしても、3年後に引越しやすいかどうかを最初から設計しておくと、リニューアル時の地獄を避けられます。

引越ししやすいサイトの条件はシンプルです。

  • URL設計が整理されている

    • /service/, /company/ など論理的なディレクトリ構造
  • コンテンツとデザインが極力分離されている

    • 文章はGoogleスプレッドシートや構造化されたドキュメントで管理
  • 画像・PDFがフォルダ構造で管理されている

    • /assets/img/service/ など後から一括ダウンロードしやすい
  • 問い合わせフォームが外部サービスで完結している

    • フォームだけ別サービスなら、サイト本体の引越しが軽くなる

「引越ししやすい設計」をチェックする簡易リストを置いておきます。

  • URLルールを1枚の資料にまとめているか

  • すべてのページ内容が、スプレッドシートやWordファイルで一覧化されているか

  • 画像ファイルが日付やページ名で整理されているか

  • フォームやMA、CRMといった外部ツールとの連携ポイントを図で描けるか

CMS導入を見送る判断は、“攻めない”選択ではありません。中小企業のWeb担当にとっては、「黒い箱を増やさずに、身軽に動ける状態をキープする」戦略でもあります。更新頻度・ページ数・将来の拡張性を数字ベースで眺めながら、あえて入れない、軽く始めるというカードもテーブルに載せておくと、後悔の少ない意思決定になります。

スポンサーリンク

明日からCMS導入検討を進める人のための「質問テンプレ」──制作会社・ベンダーに必ず聞くべきこと

「このCMSで、本当に“自分以外の人”も更新できるのか?」
ここを外すと、社内でまた黒い箱が1つ増えます。

RFPや打ち合わせで使える、具体的な質問リストと確認項目

まずは、RFPや初回打ち合わせでそのまま使える質問リストから固めておくと、提案の“ブレ”が一気に減ります。

【絶対に聞いておきたい8項目】

  1. 更新担当は何人を想定した設計ですか?権限や承認フローはどう設計できますか?
  2. テンプレート変更なしで、担当者が自力で編集できる範囲はどこまでですか?(テキスト・画像・フォーム・メタ情報など)
  3. WordPressやオープンソースの場合、推奨プラグインと「入れてはいけない系」の線引きはどうしていますか?
  4. 月額費用の中に含まれる保守範囲(アップデート・障害対応・脆弱性対策)の具体的な作業内容を一覧で出せますか?
  5. MA・CRM・メルマガツール連携は、どの部分まで貴社側で対応してもらえますか?社内でやる前提の作業は何ですか?
  6. 公開後3カ月間で想定している“更新頻度”で、担当者の作業時間は月何時間くらいを見込むべきですか?
  7. 5年運用した場合の総コスト見込み(初期+月額+想定される追加開発)を、3パターンほど比較してもらえますか?
  8. 類似規模(従業員50〜100名、BtoB)の導入実績で、失敗しかけたケースと、その原因を教えてもらえますか?(社名は不要)

この8つを聞くだけで、「機能説明だけうまい会社」と「運用まで見ている会社」がはっきり分かれます。

【確認しておきたいチェック項目の整理】

項目 事前に決める自社の前提 ベンダーに確認すべきポイント
更新頻度・ページ数 月何本更新するか、誰が書くか 想定更新量でパフォーマンスや工数は問題ないか
運用体制 Web担当1人+各部署何人か 権限管理・ワークフロー機能がそれに合うか
セキュリティレベル 社外ログインの有無、個人情報の扱い 脆弱性対応フロー、アップデートポリシー
連携ツール(MA・CRMなど) すでに使っているツール一覧 公式連携か個別開発か、障害時の責任分界点
教育・サポート 研修に割ける時間、社内のITリテラシー 研修回数・マニュアル提供範囲・問い合わせ窓口

相談メールの書き方ひとつで、提案の質が変わる理由

情報の出し方があいまいだと、制作会社は「安全寄りの高め見積もり+汎用的なCMS」で逃げがちです。
逆に、運用イメージを具体的に書くと、提案の解像度が一気に上がります。

【悪い例】

自社サイトをCMSでリニューアルしたいので、おすすめのCMSとお見積もりをお願いします。

【 よい例(コピペ改変OK)】

・従業員80名、BtoBの製造業
・Web担当は1人、他部署に月1回更新を依頼したい
・月4本のブログ記事、採用情報は四半期ごとに更新
・既存ツール:MAなし、メルマガは外部サービス、将来はCRM導入予定
・予算は初期300万円前後、月額5万円以内を希望

上記前提で
1)候補CMSとその理由
2)運用体制を踏まえた管理画面のイメージ
3)5年運用を想定した総コストの概算
を教えてください。

このレベルまで書くと、「とりあえずWordPressで」の雑な提案はかなり減ります。

CMS導入ステップをスモールスタートで始めるための、現実的なロードマップ

いきなり「全ページCMS化・全社巻き込み」を狙うと、まず炎上します。少人数の中小企業なら、段階導入が鉄板です。

【スモールスタートの現実的ステップ】

  1. 1カ月目:要件すり合わせ

    • 既存サイトのページ構造と更新頻度を棚卸し
    • 「CMSに乗せるページ」と「静的のまま残すページ」を仮決定
  2. 2〜3カ月目:プロトタイプ+テスト更新

    • 代表的な3種類のページテンプレートだけ先に構築
    • 実際の更新担当に、管理画面でダミー更新をしてもらい操作感を確認
  3. 4〜5カ月目:段階リリース

    • ブログ・お知らせなど更新頻度が高い部分からCMSで公開
    • 固定ページやLPは、必要になったタイミングで順次移行
  4. 6カ月目以降:運用データを見て拡張判断

    • 更新作業時間・トラブル件数・アクセス状況を数値で把握
    • その結果を見て、MA連携やCRM連携、追加機能を検討

この流れなら、「テスト公開後に更新担当が全く使えない」事態になっても、被害範囲を最小限に抑えられます。

CMS導入を“巨大プロジェクト”にせず、「半年で慣らし運転、その後にアクセルを踏む」くらいの温度感が、中小企業にはちょうどいいバランスです。

スポンサーリンク

執筆者紹介

この執筆者情報に事実のみを用いるには、実際の経歴・実績・担当領域の具体情報が必要ですが、現時点でそれを把握していないため、私から新たなプロフィール内容を断定的に作成することはできません。
以下は「記入用テンプレート」です。実際の数値・事実に置き換えてご利用ください。


【執筆者情報】
主要領域は「____(例:BtoB中小企業のWeb戦略設計とCMS導入支援)」です。これまで__社以上のサイトリニューアル・CMS導入案件に携わり、予算__万円〜__万円規模のプロジェクトで「更新体制の設計」「CMS選定」「運用フロー構築」を担当してきました。ツールや流行よりも「少人数でも止まらない運用」と「5年単位の総コスト最適化」を重視した支援を行っており、本記事もその実務視点をもとに整理しています。

Digital Port
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク