CMSで構築する前に読む運用トラブル完全回避の実務マニュアル決定版

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あなたのCMS構築プロジェクトは、すでに静かに“赤字”化しているかもしれません。理由はシステムやデザインの出来ではなく、「誰がどのページをどこまで編集し、どのような運用体制でWebサイトを回すのか」という設計が、要件定義の時点で抜け落ちているからです。

多くの企業が、次の流れでつまずきます。

  • 「CMSを入れれば更新が楽になり、Webが変わるはず」と期待して導入を決定
  • とりあえずWordPressなど“人気のCMS”を候補にして比較表を作成
  • ベンダーの資料とデモ画面を見て、機能と初期費用だけで選定
  • 公開後、運用フローと更新ルールがないまま、現場にCMS管理画面を丸投げ

結果として、運用開始から数カ月で次のようなトラブルが発生します。

  • テンプレートの制約で、マーケティング施策用のランディングページが作成できない
  • コンテンツ移行時のデータ欠損が後から発覚し、既存記事の見直しに工数が雪だまり
  • CMSアップデートやサーバー保守の責任範囲が曖昧で、セキュリティリスクが放置
  • 更新依頼がメールやチャットに散乱し、運営チームのボトルネックが担当者1人に集中

ここまでいずれかに心当たりがあるなら、「CMSを何で構築するか」より先に、「どのような運用を前提に設計するか」を見直さない限り、費用対効果は上がりません。単なる機能比較やメリット・デメリット一覧では、この構造的な損失は見抜けないからです。

この記事は、一般的な「CMSとは」「おすすめ製品◯選」といった解説ではなく、以下の点を実務レベルまで分解します。

  • 要件定義で、編集範囲・権限設計・運用フローをどう言語化するか
  • オープンソース、パッケージ、クラウドといった構築方法ごとの運用コストと制約
  • 実際に現場で起きたトラブルA〜Dと、そのときプロがどう意思決定し、どこを修正したか
  • 担当者とベンダーのLINE風やり取りに潜む、「あと一文あれば防げた」失敗の芽

読み進めるほど、「このCMSで本当に良いのか」「この要件のまま稟議を通して大丈夫か」を自分で判定できる状態になります。単にCMSの種類や機能を知るためではなく、自社のWebサイト運営を数年単位で安定させるための“実務マニュアル”として使ってください。

このあと登場する各セクションで、あなたの手元に何が残るのかを先に整理しておきます。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
構成の前半(思い込みの整理〜要件定義〜構築方法の比較〜トラブル事例) CMS導入目的の再定義、要件定義シートの骨格、オープンソース・パッケージ・クラウドの選び方、避けるべき構成・設定のパターンが一覧で分かる 「何から検討すればよいか分からない」「どのCMSが自社に合うのか判断できない」「同じ失敗を繰り返す」状態から抜け出せる
構成の後半(選定シート〜費用とKPI設計〜ヘッドレスCMS〜最終チェックリスト) ベンダーへの具体的な質問リスト、運用コストとKPIを結びつけた費用感の基準、自社規模に合ったヘッドレスCMSや連携ツールの判断軸、最終確認用ガイドライン 「見積もりの妥当性が分からない」「運用開始後の成果が見えない」「将来の拡張で行き詰まる」リスクを事前に潰し、稟議と現場の両方を説得できる

CMS構築は、一度誤ると数年単位で運用コストと機会損失を払い続けるインフラ投資です。これから稟議に上げる段階でも、すでに構築中でも、ここから先の内容を押さえておけば、「公開後に詰むCMS」から「更新と成果が回り続けるCMS」へ軌道修正できます。ここから先は、現場レベルの設計と判断基準に踏み込みます。

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  1. 「CMSを入れればWebが変わる」は幻想?構築前に壊すべき3つの思い込み
    1. CMS導入目的の“定義”が曖昧なまま始まるプロジェクトの末路
    2. 「WordPress一択」「人気製品なら安心」という選び方が危険な理由
    3. ベンダーの資料に書かれていない“運用コスト”という落とし穴
  2. まずここから:CMS構築プロジェクトの全体マップと関係者の役割分担
    1. 構築STEPを俯瞰する:要件策定〜設計〜開発〜テスト〜公開〜運用
    2. Web担当・編集部・IT部門・ベンダー、それぞれの責任範囲マップ
    3. 運用体制と運用ルールを「構築と同時に整備」しないと起きること
  3. 要件定義で9割決まる:サイト構造・運用フロー・CMS機能の設計ポイント
    1. 「どのページを誰がどこまで編集するか」を具体レベルで決める技術
    2. サイト構造・カテゴリー設計とSEOキーワードのズレをなくすコツ
    3. サーバースペックとセキュリティ要件を“後回し”にしたときのリスク
  4. CMS構築方法の選び方:オープンソース/パッケージ/クラウドのリアルな比較表
    1. 構築方法ごとの費用目安と、初期費用・運用コストの内訳イメージ
    2. オープンソースCMSの「無料」の裏にある運用負荷とセキュリティ対策
    3. クラウドCMS・独自開発が向く規模・業種・KPIの違い
  5. 実際にあったトラブルパターンA〜Dと、プロが取った現場での打ち手
    1. A:公開後に「このレイアウトじゃランディングページが作れない」と気づいたケース
    2. B:コンテンツ移行で“既存データ”が欠損し、社内炎上したケース
    3. C:CMSアップデートを先送りし続けて、セキュリティ事故寸前になったケース
    4. D:運用フロー不在で、更新依頼がメール・チャットに散乱したケース
  6. 現場で本当に使われている「選定シート」とLINE風やり取りの再現
    1. 要件選定シートに必ず入れるべき“編集・運用”系のチェック項目
    2. 担当者とベンダーのよくあるチャット例から学ぶ、危険な一言・安心な一言
    3. 操作感・動作速度・制限を見抜くための、デモ環境の触り方ガイド
  7. 費用感だけで決めない:CMS構築の費用と成果をつなぐリアルなKPI設計
    1. 規模別(小〜大)CMS構築費用の目安と「高くも安くもなる」ポイント
    2. 「更新頻度」「問い合わせ」「EC売上」など、CMSと直結するKPIの決め方
    3. 運用コストを削減しつつ成果を向上させるためのチーム分担と教育
  8. 応用編:ヘッドレスCMS・マーケティングツール連携まで見据えた戦略的CMS構築
    1. CRM・MA・ECとのリアルタイム連携を視野に入れた設計の考え方
    2. ヘッドレスCMSや最新トレンドを“自社の現実”に落とし込む判断軸
    3. AMP・複数サイト展開など、将来の追加要件をどう事前に織り込むか
  9. 「このCMSでいいのか?」と迷ったときに見る最終チェックリスト
    1. ベンダーが語らない“制限事項”を事前に確認する質問リスト
    2. 自社のビジョン・発信戦略とCMS構築の整合性を確かめるポイント
    3. 最後にもう一度見直すべき、CMS構築プロジェクトのガイドライン
  10. 執筆者紹介

「CMSを入れればWebが変わる」は幻想?構築前に壊すべき3つの思い込み

「CMSさえ入れれば、うちのWebは一気に変わるはずだ」
この期待を抱いたプロジェクトほど、公開半年後に「更新されないサイト」として放置されるケースが多い。
原因は技術不足よりも、導入前の思い込みと要件定義の甘さだ。

現場でよく見る“危険な初期設定”は次の3つ。

  • 目的が「リニューアル」レベルで止まり、KPIや運用フローまで落ちていない

  • 「WordPressが一番人気だから安心」という製品起点の選び方

  • 見積書に載っていない運用コストを想定せず、予算も人も足りなくなる

ここを壊さないままCMS構築に突っ込むと、構築までは順調なのに、運用で詰む

CMS導入目的の“定義”が曖昧なまま始まるプロジェクトの末路

「情報更新を効率化したい」「マーケティングを強化したい」
このレベルの目的定義でスタートした案件は、ほぼ確実にブレる。
運用フェーズで起きるのは、次のような現象だ。

  • 更新担当が「どの記事を、いつ、誰の承認で公開するか」決められていない

  • 営業部・広報・人事からの掲載依頼がメールに散乱し、優先順位がつかない

  • アクセス解析を見ても、CMSのどの機能とどう結びつけて改善すればいいか不明

目的はCMSの導入理由ではなく、「毎月どんな更新が何本発生し、その結果どんな数字を動かしたいか」まで定義して初めて意味を持つ

目的定義の粒度は、最低でもこのレベルまで落とし込むべきだ。

  • 月間の更新本数(ニュース、製品ページ、ブログ記事など)

  • 閲覧させたいターゲット(既存顧客、新規リード、採用候補者)

  • 追うKPI(資料請求数、問い合わせ数、採用応募、指名検索など)

  • 更新担当者数と、1人あたりに割ける時間

ここが曖昧なまま構築を進めると、テンプレ設計も権限設計も“なんとなくそれっぽい”仕様になり、半年後に「想定していた更新ができない」という事態に陥る。

「WordPress一択」「人気製品なら安心」という選び方が危険な理由

人気CMSは確かに情報も多く、プラグインも豊富だが、「自社の運用フロー」と噛み合わなければ負債になる

よくある誤解は次の通り。

  • 「WordPressなら無料で構築できる」

    → 実際はテーマカスタマイズ、セキュリティ対策、サーバー設計に工数と費用がかかる。

  • 「国産パッケージCMSならサポートが手厚いから安心」

    → 権限やテンプレートの制約が強く、マーケ施策のスピードが落ちるケースも多い。

現場での判断軸は「人気度」ではなく、どこまでをCMS側で編集可能にするかだ。

観点 編集可能範囲を広くした場合 狭くした場合
初期費用 高くなりやすい 低く見えやすい
運用スピード マーケ側で即時更新しやすい ベンダー依存で遅くなりがち
品質コントロール デザイン崩れのリスクあり 品質は安定しやすい
社内リソース Web担当のスキル要件が上がる 担当者は楽だが、外部費用が増える

この「編集範囲の線引き」で、数十万〜数百万円単位で費用と工期が変わる
製品名から入る前に、まずは「誰がどこまで触るか」を設計しないと、人気CMSも宝の持ち腐れになる。

ベンダーの資料に書かれていない“運用コスト”という落とし穴

見積書に並ぶのは、初期構築費用とライセンス費用が中心だが、本当に効いてくるのは公開後の“目に見えないコスト”だ。

代表的なものを挙げる。

  • CMSアップデートとセキュリティパッチ適用の工数・費用

  • 新しいコンテンツタイプ(事例、ホワイトペーパー、製品カテゴリ追加)のテンプレ改修費

  • 編集メンバーの入れ替わり時の教育コスト

  • サーバースペック見直しやアクセス急増時の対策費用

これを最初に洗い出していないと、次のような状況に追い込まれる。

  • 「アップデートは来期予算で」と先送りし続け、脆弱性が放置される

  • キャンペーン用ランディングページの度に、ベンダーに数十万円単位で請求が飛ぶ

  • 権限管理が場当たり的になり、管理画面の権限を持つ数人が社内のボトルネック権力になる

初期見積もりを比較する前に、3年分の運用コストをざっくり積み上げてから製品比較をする
この発想に切り替えるだけで、「安く見えるCMSが結果的に高くつく」失敗をかなり防げる。

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まずここから:CMS構築プロジェクトの全体マップと関係者の役割分担

「CMSを入れたのに、公開3カ月後から誰も触らなくなるサイト」か、「半年後もちゃんと売上とリードを生み続けるサイト」か。この分かれ道は、華やかなデザインでも高機能CMSでもなく、プロジェクト全体マップと役割設計でほぼ決まります。

中堅BtoB企業で稟議と現場の板挟みになりがちなWeb担当ほど、ここを初手で押さえておく価値があります。

構築STEPを俯瞰する:要件策定〜設計〜開発〜テスト〜公開〜運用

CMS構築は「制作会社に丸投げ」の一言で片付く作業ではなく、6つのフェーズを往復し続ける業務設計プロジェクトです。

CMS構築の全体フロー

  1. 要件策定

    • 目的定義(問い合わせ増・採用応募増・EC売上などKPIの言語化)
    • 対象コンテンツ・更新頻度・担当者の洗い出し
    • 「どこまでCMSで編集できるか」の線引き案作成
  2. 設計

    • サイト構造・カテゴリ設計とSEOキーワードの対応表作成
    • テンプレート・入力項目・ワークフロー(承認フロー)設計
    • サーバー/クラウド構成・セキュリティ要件の整理
  3. 開発

    • CMSインストール・プラグイン/拡張機能の設定
    • テンプレート/デザイン実装・権限設定
    • 既存サイトからのデータ移行スクリプトや手順の準備
  4. テスト

    • 表示/動作確認(PC・スマホ・主要ブラウザ)
    • 役割別(編集者・承認者・管理者)で操作テスト
    • セキュリティ・負荷・バックアップ/復旧テスト
  5. 公開

    • ドメイン/サーバー切り替え手順のリハーサル
    • 旧URLからのリダイレクト設定とSEOチェック
    • 社内向けマニュアル・運用ルールの最終共有
  6. 運用

    • コンテンツ更新・効果測定・改善サイクル
    • CMS/プラグインのアップデートと保守
    • 追加要件(LP、キャンペーン、サブサイト)の整理

ここでの盲点は、「運用」を6番目のフェーズと見てしまうことです。実際の現場では、要件策定と設計の段階から「運用で回せるか?」を前提に考えないと、テンプレート制約でLP施策が止まる、更新作業が属人化するといったトラブルがほぼ確実に発生します。

Web担当・編集部・IT部門・ベンダー、それぞれの責任範囲マップ

CMS構築で炎上する案件の多くは、技術よりも「誰がどこまで責任を持つか」がグレーなまま進行しているケースです。役割分担を明文化すると、政治的な摩擦もかなり防げます。

関係者別の責任範囲マップ(例)

フェーズ Web担当(マーケ) 編集部・事業部 IT部門・情報システム ベンダー(制作会社/開発会社)
要件策定 目的・KPI定義、要求事項の整理 必要コンテンツ・更新頻度の提示 セキュリティ/インフラ要件の提示 実現可否の助言、概算費用・スケジュール
設計 承認フロー案、運用体制案 入力項目・校閲フローの決定 サーバー/ネットワーク設計レビュー 画面設計、CMS設計、技術選定
開発 仕様確認、優先度判断 ダミー原稿提供 接続テスト環境の用意 実装、プラグイン設定、移行スクリプト作成
テスト 受け入れテストの指揮 原稿入力テスト、誤字脱字チェック セキュリティ・負荷テスト 不具合対応、パフォーマンス調整
公開 公開判断、ステークホルダー調整 告知・キャンペーン連携 DNS/サーバー切替実施 切替作業支援、最終チェック
運用 効果測定、改善要望の整理 日々の更新・コンテンツ制作 バックアップ/監視、アップデート方針 保守契約範囲内での改修・アップデート支援

ポイントは、「誰が最終判断をするか」と「誰が手を動かすか」を分けて書くことです。ここを分けておかないと、「ITが許可しない」「ベンダーのせい」「編集部が遅い」と責任の押し付け合いが起きます。

運用体制と運用ルールを「構築と同時に整備」しないと起きること

CMSはシステムであると同時に、社内の情報フローを固定化する装置でもあります。運用ルールを決めずに権限だけ配ると、管理画面を触れる人が「社内のボトルネック権力」になり、更新依頼が全てその人に集中して詰む、というパターンがよく見られます。

運用ルールを後回しにした場合に起きやすい事象を整理すると、リスクの大きさが見えます。

運用ルール未整備で起きがちなトラブル

  • 更新依頼がメール・チャットに散乱

    • どの原稿が最新版か分からず、誤情報を掲載
    • 納期・優先度の基準がなく、声の大きい部署だけ反映される
  • 権限設計が甘く、事故リスクが高い

    • 全員「管理者」で配布し、誤操作でトップページ崩壊
    • 退職者アカウントが残り、セキュリティホールになる
  • 運用コストの見積りが甘く、現場がパンク

    • 想定の3倍以上の作業時間がかかり、別業務にしわ寄せ
    • 「CMSが使いにくい」というクレームだけが積み上がるが、仕様上の問題か教育不足か切り分けできない
  • ベンダーとインハウスの境界が曖昧

    • どこからが保守費用の範囲か不明で、毎回見積り・稟議が発生
    • 軽微な修正も外注前提になり、改善のスピードが鈍化

構築フェーズと同時に整備しておきたい運用ルールは、最低でも次の4点です。

  • 更新依頼の窓口とフォーマット(フォームやチケットの標準化)

  • 役割別権限(閲覧・編集・承認・公開)のルール

  • 緊急対応(誤掲載・障害・不正アクセス)の連絡フロー

  • KPIレビューの頻度と、改善要望をどこに蓄積するか(運用バックログ)

CMS構築を“サイトリニューアル案件”としてだけ扱うと、華やかな公開日に向けて全力疾走してしまいがちです。実際には、公開日は「運用フェーズの0日目」にすぎません。ここまでの全体マップと役割分担を固めておくことが、のちの要件定義・構築方法選定・費用対効果のすべての土台になります。

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要件定義で9割決まる:サイト構造・運用フロー・CMS機能の設計ポイント

「要件定義を“軽めの打ち合わせ”で終わらせたCMS構築プロジェクトは、ほぼ確実に運用で燃えます。」
構築フェーズが順調に見えても、サイト構造・運用フロー・CMS機能の設計が浅いだけで、公開後のWeb運営が止まるケースを何度も見てきました。

ここでは、現場で本当にやっている要件定義の“粒度”に踏み込んでいきます。

「どのページを誰がどこまで編集するか」を具体レベルで決める技術

CMS要件のキモは、「編集できる/できない」の線引きではなく、“どの役割が、どのページを、どこまで、どのフローで”更新するかの設計です。

最低でも、次の4軸で整理します。

  • ページ種別(例:製品ページ、ニュース、LP、採用、FAQ)

  • 権限ロール(Web担当、各事業部、広報、外部制作会社)

  • 編集範囲(本文のみ/画像も/レイアウトも/メタ情報まで)

  • 承認フロー(下書き→レビュー→公開の誰が・どこで)

下記のような表を、実際のページ単位で埋めるレベルまで落とし込みます。

ページ種別 編集者ロール 編集可能範囲 承認フロー
製品詳細 事業部担当 テキスト・画像のみ 事業部→Web担当
ニュース 広報 タイトル・本文・公開日時 広報→自動公開
LP Web担当 レイアウト含め全て Web担当のみ
採用情報 人事 募集要項の一部 人事→Web担当

この表が粗いままだと、「LPだけ編集自由度が低く、マーケティング施策が止まる」「外部パートナーに権限を渡し過ぎてセキュリティが甘くなる」といった典型トラブルにつながります。

サイト構造・カテゴリー設計とSEOキーワードのズレをなくすコツ

中堅BtoBサイトでよくあるのが、情報設計が“社内組織図ベース”のまま固まり、ユーザーの検索ニーズとズレるパターンです。

やるべき順番は逆です。

  1. SEOキーワードと想定検索クエリを洗い出す
  2. それを軸に、「ユーザーがたどる情報のストーリー」を描く
  3. その後で、カテゴリ・ディレクトリ構造・パンくずを決める

ズレが起きやすいポイントを先にチェックしておくと事故率が下がります。

  • カテゴリー名が「製品情報」「ソリューション」「サービス」など抽象語だらけ

  • 実際に狙いたいキーワードが、URL階層にもタイトルにも出てこない

  • 検索流入を稼ぎたいコンテンツが、下層の「お役立ち記事」に埋もれている

SEOだけでなく、運用効率にも直結します。
カテゴリ設計をミスると、「どこに記事を掲載すべきか毎回迷う」「アクセス解析でどのセクションが伸びているか判別できない」といった日常的な運用ストレスが増大します。

サーバースペックとセキュリティ要件を“後回し”にしたときのリスク

要件定義の現場で一番後回しにされがちなテーマが、サーバースペックとセキュリティ要件です。
ここを曖昧にしたままCMSを選ぶと、公開後に「アクセスは増えたのに、表示が遅くて離脱増」「アップデートが怖くて放置」という状態になります。

検討すべき代表的な項目は次の通りです。

  • 想定PV・同時アクセス数と必要なサーバースペック

  • 管理画面へのアクセス制限(IP制限・二要素認証など)

  • バックアップの頻度と復旧手順

  • CMS本体・プラグインのアップデートポリシーと担当者

  • WAF、脆弱性対策、ログの保管ポリシー

ここを「レンタルサーバーの標準プランでいいですよね?」で流すと、CMSベンダーとインフラ担当、インハウスのWeb担当の“責任の押し付け合い”が発生しやすくなります。

要件定義のドキュメントには、サーバー・セキュリティ要件を独立した章として明記し、費用内訳にも紐づけることが重要です。
構築費用だけでなく、保守・監視・アップデート運用のコストまで含めて初めて、CMS構築プロジェクトの“本当の価格”が見えてきます。

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CMS構築方法の選び方:オープンソース/パッケージ/クラウドのリアルな比較表

「どのCMSにするか」で迷っている段階なら、もう1歩踏み込んで「どんな運用を何年続けるか」から逆算した方が早いです。構築方法ごとに、初年度と3年後の“財布へのダメージ”を一度に見ておきましょう。

構築方法 初期費用の目安 年間運用コストの傾向 強み ハマりポイント
オープンソースCMS 50〜400万円 保守・アップデートを自前で確保 柔軟なカスタマイズ セキュリティと人材確保の綱渡り
パッケージCMS 200〜1000万円 保守費20〜25%/年が固定で発生 安定運用とサポート 仕様変更の自由度が低い
クラウドCMS 0〜200万円 月額数万〜数十万+API利用料 スピードと拡張性 ボリューム増で料金が跳ねやすい

※金額はBtoBコーポレートサイト〜中規模メディア規模の、おおよその目安


構築方法ごとの費用目安と、初期費用・運用コストの内訳イメージ

CMS費用は「本体価格」より“固定費+人件費”の積み上がりが勝負どころです。

  • 初期費用の主な内訳

    • 要件定義・設計(工数の差が一番効く部分)
    • テンプレート・デザイン制作
    • 機能開発(検索、フォーム、会員管理など)
    • 既存コンテンツ移行(Excel地獄になるかどうかの分かれ目)
  • 年間運用コストの主な内訳

    • CMS保守・サーバー費用(レンタルサーバー/クラウド)
    • セキュリティ対策・アップデート対応
    • バックアップ・障害対応
    • 社内の更新作業工数(ここがKPIと直結)

「初期費用を抑えた結果、毎月の更新に2人日余計にかかる」パターンは、2〜3年で確実に逆転します。“1本の記事を公開するまでの時間×本数”を必ず概算しておくと、運用体制の現実が見えてきます。


オープンソースCMSの「無料」の裏にある運用負荷とセキュリティ対策

オープンソースCMSはライセンス無料でも、「運用チームの残業代」で請求されると思っておいた方が安全です。

  • よく起きる負荷ポイント

    • プラグイン更新のたびに「この組み合わせで本番落ちないか?」のテストが発生
    • PHPやサーバーOSのバージョンアップに追随できず、“古いまま放置”というセキュリティ爆弾化
    • 制作会社とIT部門の責任範囲が曖昧で、脆弱性情報が来ても「誰がいつやるの?」で止まる
  • 現場で実際に行われている対策の例

    • 本番・ステージング・開発の3環境を必ず用意して、アップデートは段階的に適用
    • コア・プラグイン・テーマの更新方針を「年何回・誰が・どう検証するか」まで運用ルール化
    • 外部ベンダーとの保守契約に「緊急対応SLA」「脆弱性情報の通知方法」を明文化

オープンソースを選ぶなら、“無料ライセンスの代わりに、保守の段取りを買う”くらいの気持ちで設計する方が、トラブルは格段に減ります。


クラウドCMS・独自開発が向く規模・業種・KPIの違い

クラウドCMSと独自開発は、「とりあえず流行だから」ではなくKPIと業務フローから選ぶと失敗しません。

  • クラウドCMSが向くケース

    • Webリニューアルのリードタイムをとにかく短縮したい
    • マーケティングツール(MA/CRM/広告計測)とAPI連携し、ABテストを高速回転させたい
    • 編集部が複数拠点・複数部門で、権限管理やワークフローが複雑
  • 独自開発やヘッドレス構成が向くケース

    • 複数サイト・多言語・EC・会員制コンテンツを一元管理したい
    • 既存基幹システムとのリアルタイム連携(在庫・価格・会員情報)がKPIに直結している
    • 表側のデザインやページスピードを限界までチューニングしたい

クラウドも独自開発も、「編集画面の使い勝手」より「運用体制と連携システムの全体設計」でROIが決まります。CMS単体の機能カタログではなく、自社のマーケティング計画と照らして判断していくと、後から路線変更に追われずに済みます。

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実際にあったトラブルパターンA〜Dと、プロが取った現場での打ち手

「CMSを入れた瞬間から、“楽になるどころか毎日が火消し”に変わる」──現場で本当に起きているのは、この4パターンです。

A:公開後に「このレイアウトじゃランディングページが作れない」と気づいたケース

公開直後、マーケチームから一言。「このCMS、LP作れないじゃん…」。

よくある原因はテンプレート設計の浅さです。

失敗の構造

  • 1カラム/2カラム程度の固定レイアウトしか用意していない

  • バナー、CTA、フォーム位置が固定でABテストができない

  • コンポーネントはあるが、編集権限の線引きが曖昧で現場が触れない

打ち手(現場で実際にやること)

  • 施策でよく使う「LPパターンの棚卸し」をまず実施

  • セクション単位で組み替えられるブロック型テンプレートに改修

  • 「編集可能範囲」を要素ごとに定義し、運用マニュアルに反映

LP観点での要件を先に詰めておくと、構築費用は数十万増えても、広告ROIで数倍回収できるケースが多いです。

B:コンテンツ移行で“既存データ”が欠損し、社内炎上したケース

移行後に営業から「10年前の事例PDFが全部消えてるんだけど?」と怒鳴り込み。原因は項目定義とテスト不足です。

よくある欠損ポイント

  • 旧サイトの「添付ファイル」「画像キャプション」を要件に書いていない

  • 旧CMS固有のカスタムフィールドを読み飛ばしている

  • テスト移行は10ページだけ、本番で数千ページが崩壊

移行時に押さえるべき観点を表にまとめるとこうなります。

項目 要チェック内容
本文 改行/太字/リンクの崩れ
画像 代替テキスト/キャプション/パス
添付ファイル ダウンロード可否/リンク切れ
メタ情報 公開日/カテゴリ/タグ/担当部署

打ち手

  • 本番前に「過去アクセスTOP100ページ」を必ず目視チェック

  • CSV変換やスクリプト任せにせず、「異常検出ルール」を事前定義

  • 消えたら致命傷になるデータは、二重バックアップとロールバック手順を用意

C:CMSアップデートを先送りし続けて、セキュリティ事故寸前になったケース

「今月も忙しいから、アップデートはまた今度」──これを1年続けた結果、脆弱性情報が公開され、外部から攻撃ログが山ほど…というケースは珍しくありません。

危険なパターン

  • WordPressやオープンソースCMSで自動更新OFFのまま放置

  • プラグインの開発元がすでにメンテナンス終了

  • IT部門とWeb担当の間で「どっちが責任者か」が不明確

現場での是正策

  • 「本体・プラグイン・サーバー」のアップデートカレンダーを作成

  • 重大度(クリティカル/高/中)ごとに、対応期限をルール化

  • テスト環境での検証→本番反映までをチェックリスト化し属人化を排除

セキュリティは“コスト”ではなく、“事業継続の保険料”として予算枠を取ると意思決定がスムーズになります。

D:運用フロー不在で、更新依頼がメール・チャットに散乱したケース

「このバナー誰が直すの?」「どの原稿が最新版?」と毎回探し回る。これはCMSではなく運用体制の問題です。

カオス状態の特徴

  • 依頼はメール、チャット、口頭、Excel…あらゆるチャネルに散乱

  • 掲載期限や承認者がメモされず、掲載終了忘れが頻発

  • CMSの権限設計が曖昧で、「触れる人」が社内ボトルネック化

立て直しのポイント

  • 依頼〜承認〜掲載〜振り返りまでを1本のワークフローに統一

  • CMSの「ワークフロー機能」か、外部のチケット管理ツールを活用

  • 権限を「企画」「編集」「公開」「監査」に分解し、ロールごとに設定

運用は“人とルールのシステム”です。CMS構築の段階でこの設計をしておくかどうかで、公開後のあなたの残業時間が決まります。

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現場で本当に使われている「選定シート」とLINE風やり取りの再現

「CMS選び=製品比較表を眺めて決める」と考えると、高確率でハマります。
現場で効くのは、“編集・運用のリアル”をそのまま写した選定シートと、ベンダーとのやり取りを読む目です。


要件選定シートに必ず入れるべき“編集・運用”系のチェック項目

機能カタログより先に、更新現場の手の動きを分解して項目化します。
よく使われるシートでは、最低限この粒度まで落とし込みます。

項目カテゴリ 具体項目 確認ポイント
編集範囲 見出し・本文・画像・CTAボタン 「どこまでノーコード編集できるか」をページタイプ別に明記
レイアウト カラム数変更、ブロック並び替え LP用テンプレと通常ページで自由度を変えられるか
コンテンツ運用 承認フロー、下書き、予約公開 編集部/法務/マーケそれぞれのチェックをどう回すか
権限管理 ロール数、ページ単位権限 「ニュースだけ更新できる担当」など細かく切れるか
ワークフロー 更新依頼〜公開までの手順 メール・Excel依存からどこまで脱却できるか
ログ・監査 変更履歴、差分確認 「誰がいつ何を変えたか」を3年分追えるか
パフォーマンス キャッシュ、画像最適化 アクセス急増時の負荷対策をCMS側でどこまで吸収するか

シート作成時のコツは、次の3つです。

  • ページタイプごとに分ける

    トップ、製品ページ、LP、ニュース、採用…で編集権限とレイアウト自由度を変える。

  • 「1回だけ」か「毎週発生」かを書く

    頻度が高い作業ほど、UIの使い勝手を厳しくチェックする。

  • “いま使っているチェックリスト”を写経する

    RFPよりも、現場メンバーが持っているExcelチェックリストの方が更新フローの真実に近い。

担当者とベンダーのよくあるチャット例から学ぶ、危険な一言・安心な一言

CMSトラブルは、仕様書よりもチャットの一行で決まります。LINE風に、典型パターンを再現します。

【危険な一言パターン】

担当:
「LPも“だいたい今のサイトみたいな感じ”で編集できれば大丈夫です」

ベンダー:
「承知しました、その前提で標準テンプレートに収めます」

→ 結果:公開後に「CTA配置をABテストしたい」「ファーストビューだけ動画にしたい」となった瞬間、全部追加開発・追加費用に。

【安心な一言パターン】

担当:
「LPでは、見出し・本文・CTA・フォーム位置を、マーケ側で毎週入れ替えます。
画像の差し替えと要素の順番変更は、ノーコードで編集できる想定で見積もってください」

ベンダー:
「了解です。標準テンプレに加え、LP専用コンポーネントを用意し、運用画面でドラッグ&ドロップできる設計にします」

→ ここまで書けば、“どこまでCMSで編集可能か”の線引きが会話レベルで共有できます。

チャットで避けたいNGワードはこのあたりです。

  • 「だいたい」「今と同じ感じで」「一般的な範囲で」

  • 「おまかせします」「標準的な構成で」

  • 「将来的にできたらうれしいレベルです」

操作感・動作速度・制限を見抜くための、デモ環境の触り方ガイド

デモ環境を“見学会”で終わらせるか、“試乗テスト”にするかで、導入後の運命が変わります。
チェックすべきは、次の3軸です。

  1. 更新フローを、本番同様に一周させる
  • ニュース記事を1本作成→画像アップ→プレビュー→承認→予約公開

  • その記事を修正して、差分を確認→ロールバックできるか

  1. レスポンスをストップウォッチで測る
  • 記事保存、一覧表示、検索の1クリックあたりの秒数を計測

  • 3秒を超える操作が連発するCMSは、更新頻度が高い現場では確実に「使われなくなる」

  1. 意図的に“変なこと”をする
  • 10MB以上の画像をアップロード

  • タイトルを極端に長くする

  • 想定外のタグや装飾を入れてみる

この時の挙動が、運用事故のリスクを教えてくれます。
落ちる、フリーズするよりも厄介なのは、「黙ってレイアウトが崩れる」「勝手にタグを削る」パターンで、これがLP施策の妨げになります。

最後に、デモ環境で必ず確認しておきたいチェックリストをまとめます。

  • ページタイプごとに「編集できる場所」が可視化されているか

  • ワークフロー(下書き→承認→公開)が1画面で追えるか

  • アクセス数が多い時間帯でも、管理画面の速度が落ちないか

  • 権限を変えた時の見え方(一般編集者/管理者)が簡単に切り替えられるか

ここまで触って「現場メンバーが自分で“更新しているイメージ”を持てるか」が、CMS構築の成否ラインです。運用で詰まないCMSは、必ずデモの段階で“手触り”が違います。

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費用感だけで決めない:CMS構築の費用と成果をつなぐリアルなKPI設計

「見積は安かったのに、気づいたら“更新のたびに赤字サイト”」──CMS構築で一番多い失敗は、ここですべて決まります。

規模別(小〜大)CMS構築費用の目安と「高くも安くもなる」ポイント

まず、現場感に近いざっくりレンジを出します。ここを押さえないと、稟議が「金額の多寡」だけで潰れます。

規模感 想定ページ数/トラフィック 構築費用目安 高くも安くもなるポイント
小規模(コーポレート+ブログ) 〜50P / 月1〜5万PV 80〜300万円 テンプレ活用度合い、WordPressかクラウドか、デザイン作り込み
中規模(製品サイト+採用+ブログ) 50〜300P / 月5〜50万PV 300〜1,200万円 カスタム投稿・権限設計、検索・絞り込み機能、外部システム連携
大規模(多言語・会員・ECを含む) 300P〜 / 月50万PV〜 1,200万円〜数千万円 ヘッドレス構成、基幹システム連携、ワークフロー・承認フローの深さ

費用が跳ね上がる典型ポイントは次の3つです。

  • 「誰でも更新できるようにしてほしい」と、全ページをWYSIWYG編集にする(テンプレ設計が激重になる)

  • 承認フローを細かく分けすぎる(管理画面開発とテスト工数が一気に増える)

  • 既存コンテンツ移行を“社内対応”前提にして失敗し、途中から外注する(二度手間コスト)

ここを先に決めておかないと、見積は安く見えるのに、運用開始後に「想定外の追加費用」が発生しがちです。

「更新頻度」「問い合わせ」「EC売上」など、CMSと直結するKPIの決め方

CMS構築のKPIは、「画面のキレイさ」ではなく“社員の手間とビジネス成果の変化”で決めます。

  • 更新頻度

    • 月1本→週1本→週3本、とどこまで増やせば売上・リードが伸びるかを仮説にする
  • 問い合わせ数・資料請求数

    • 「製品ページの改善」と「お問い合わせフォームまでの導線」をCMSでどこまで触れるかを要件化
  • EC売上・CVR

    • ランディングページを“マーケ側だけで作り切れるか”が売上に直結するため、LPテンプレの自由度をKPIに組み込む

KPI設計の現場では、次のような表を1枚作っておくと、経営陣の理解が一気に進みます。

指標 現状 CMS導入後の目標 CMS側で必要な機能/要件
月間更新本数 4本 12本 簡易入力フォーム、画像自動圧縮、プレビュー機能
問い合わせ件数 30件 60件 CTA管理、A/Bテスト、フォーム編集権限
EC月商 300万円 600万円 LPテンプレ、タグ管理、MAツール連携

数字を“CMS機能”に翻訳しない限り、「KPIは会議で話したけど、管理画面には何も反映されていない」というズレが起きます。

運用コストを削減しつつ成果を向上させるためのチーム分担と教育

CMSはツールではなく、運用チームの“業務システム”です。構築だけプロで固めても、運営の役割とスキル設計を外すと、毎月の人件費が silently 増え続けます。

  • 役割分担の基本ライン

    • Web/マーケ担当: 企画・KPI管理・テンプレ要件定義
    • 編集担当: コンテンツ作成・SEO対策・公開スケジュール管理
    • IT部門: アクセス権管理・サーバー/セキュリティ・バックアップ
    • ベンダー: カスタマイズ開発・保守・性能テスト
  • 運用コストを抑える教育のポイント

    • 「NG操作を減らすマニュアル」より“この3パターンだけ覚えればOK”という更新テンプレ教育
    • 新任担当者向けに、チェックリスト形式の更新フロー(タイトル・メタ情報・内部リンク・公開日時)を用意
    • ベンダー任せにせず、月1回の振り返りミーティングで「どの操作が面倒だったか」「どの項目が不要か」を整理

CMS構築の成功は、見積書の金額ではなく、公開6カ月後に「更新が止まらず、担当者が疲弊していないか」で判定されます。費用とKPI、運用体制をセットで設計しておくと、CMSは“コスト”から“利益を生む管理システム”に変わります。

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応用編:ヘッドレスCMS・マーケティングツール連携まで見据えた戦略的CMS構築

「更新しやすいサイト」から一歩進んで、「売上と顧客データが動くWebインフラ」に変えたいなら、ここからが本番です。

CRM・MA・ECとのリアルタイム連携を視野に入れた設計の考え方

まず押さえたいのは、CMSは「顧客データの入口」と「コンテンツ配信エンジン」だという前提です。
フォームや閲覧ログはCRMやMAに、商品情報や在庫はECシステムに行き来します。

リアルタイム連携を前提にするなら、要件は最初からこう書き起こします。

  • どのデータを、どのシステムが「マスタ」として持つか

  • どのタイミングで同期するか(リアルタイム/バッチ/手動)

  • 失敗時に誰がどこを見るか(ログ、アラート、担当)

そのうえで、CMS中心にしたデータ連携イメージを簡易的にマップ化しておくと、後戻りが激減します。

CMS側で持つもの 外部システム側で持つもの
顧客データ 資料請求フォーム入力値の一時保存 本登録データ(CRM/MA)
行動ログ PV/クリックのタグ設置 統合解析・スコアリング(MA/解析)
商品・サービス情報 記事としての紹介コンテンツ 在庫・価格・SKU(EC/基幹システム)

この整理をせず「APIでつながるから大丈夫」と進めると、責任範囲が曖昧なまま障害対応だけがCMS担当に飛んでくる構造になります。

ヘッドレスCMSや最新トレンドを“自社の現実”に落とし込む判断軸

ヘッドレスCMS、クラウドCMS、Jamstack。流行ワードを鵜呑みにすると、運用チームがついてこられず空中分解します。判断軸はシンプルに3つに絞るとブレません。

  • チャネル数

    Webサイトだけか、アプリ、サイネージ、複数ブランドサイトまで視野に入るか

  • 社内の開発体制

    フロントエンドエンジニアが常駐か、外部パートナー依存か

  • 更新頻度と担当者スキル

    日次更新をノンエンジニアが回すのか、リリース単位でエンジニア主導なのか

タイプ 向くケース 隠れたコスト
従来型CMS 単一サイト、更新担当は数名 テンプレ変更が重く、チャネル追加が苦しい
クラウドCMS 多拠点運営、社内ITリソースが限られる企業 ランニング費用とベンダーロックイン
ヘッドレスCMS 複数チャネル展開、フロントを自由設計したい フロント実装・保守の工数、担当者教育のハードル

「5年後にブランドサイトを3つ運営しているとしたら、今の選択は耐えられるか」を会議で必ず問い直しておくと、トレンドに流されにくくなります。

AMP・複数サイト展開など、将来の追加要件をどう事前に織り込むか

将来の追加要件で揉める原因は、技術よりもCMSの設計に“余白”がないことです。特に中堅BtoB企業で多いのは、次のような後出しニーズです。

  • 採用サイトやオウンドメディアを別ドメインで立ち上げたい

  • 海外拠点向けに多言語サイトを増やしたい

  • 広告ランディングページを高速に量産したい(AMP/高速表示)

これらを見越すには、要件定義で次のチェックを入れておきます。

  • 1つのCMSインスタンスで複数サイトを管理できるか

  • ドメイン・サブドメイン単位でテンプレートと権限を分離できるか

  • ページ種別ごとに「レイアウト自由度」と「ガイドライン」を設定できるか

特にランディングページについては、「運用担当だけでLPを構築できる範囲」を事前にテーブル化しておくと、安全に自由度を上げられます。

要素 担当者がCMSで編集可にするか 備考
キャッチコピー ABテスト前提で差し替え頻出
セクション構成 一部可 並べ替えのみ許可など制限を設計
フォーム項目 原則不可 個人情報取り扱いルールと密接

ここまで設計しておくと、「CMS構築は終わったのに、ビジネスの変化にサイトが追いつかない」という事態をかなりの確率で防げます。運用チームの数年後の働き方までイメージしながら、今の一行一行の要件を詰めていく姿勢が鍵になります。

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「このCMSでいいのか?」と迷ったときに見る最終チェックリスト

「もう発注寸前。でも、なんとなくモヤっとする」――多くのCMS構築プロジェクトが、この違和感を無視して炎上します。ここでは、その“最後の一押し”として、現場で実際に使われているチェック観点だけを絞り込みます。

ベンダーが語らない“制限事項”を事前に確認する質問リスト

カタログの「できること」ではなく、あえて「できないこと」を掘る質問が鍵になります。

以下は、打ち合わせ終盤で必ず投げてほしい質問です。

  • このCMSで編集できない項目はどこか(ヘッダー・フッター・フォーム・CTAなど)

  • ランディングページ用に自由レイアウトを組む場合、どこまでノーコードか

  • 権限管理で「一部ページだけ編集可」の細かい制御は可能か

  • 1ページあたり画像を何点まで掲載したときに表示速度が落ち始めるか

  • 月間◯万PV想定時の推奨サーバースペックと、その根拠

  • メジャーアップデート時の互換性リスク(プラグイン・独自開発部分)

  • 標準機能でできないSEO設定(構造化データ、多言語、canonical制御など)

  • ベンダー側の保守範囲と、自社で責任を持つ必要がある範囲

よくある失敗は、「問題が起きたら相談すればいい」と思ってしまうことです。契約前に“地雷の位置”を知っておけば、後の政治的な責任追及をかなり減らせます。

項目 ベンダーに必ず聞くべき観点
編集範囲 どこまで自社で更新できるか
パフォーマンス どの規模から追加費用・増強が必要か
アップデート 誰がいつ、どこまで対応するのか
SEO・マーケ機能 標準機能と追加開発が必要な部分の線引き

自社のビジョン・発信戦略とCMS構築の整合性を確かめるポイント

CMSは単なる「更新システム」ではなく、自社の発信スタイルを固定化するインフラになります。ここがズレると、3年後のサイトが“中途半端な寄せ集め”になります。

次の3つを、必ず紙に書き出して照合してください。

  • 発信の主役は誰か

    例:技術ブログ中心か、ホワイトペーパーか、事例インタビューか。
    → 主役コンテンツを量産しやすい入力フォーム・カテゴリ設計になっているか。

  • どのKPIで評価するか

    例:問い合わせ数、商談化率、採用応募、既存顧客のリテンション。
    → それぞれに対して、CV計測・ABテスト・フォーム連携が設計されているか。

  • ブランドの“言い方・見せ方”

    例:専門性重視でテキストリッチか、ビジュアル重視か。
    → テンプレートがその表現を“邪魔せず支える形”になっているか。

ここがふわっとしたままCMSを選ぶと、「結局、更新しづらくて旧サイトと同じ発信量」「LPだけ別ツールで量産し始めてデータが分散」といった、管理・マーケティング両面のロスが生まれます。

最後にもう一度見直すべき、CMS構築プロジェクトのガイドライン

最終稟議の前に、以下のガイドラインに全部でチェックが付くかを確認してください。

  • 要件定義書に「どのページを誰がどこまで編集するか」がページタイプ別に明文化されている

  • 運用体制図に、Web担当・編集部・IT部門・ベンダーの責任範囲が線で引かれている

  • セキュリティ・サーバー要件が「あとでIT部門と相談」になっておらず、数値基準で合意済み

  • コンテンツ移行の対象・優先順位・抜けた場合の判断基準がリスト化されている

  • CMS導入後1年の運用コスト(人件費+保守費+ツール費)が概算でも見積もられている

  • 「このCMSでは対応しない」事項リストをベンダーと相互確認している

  • 3年後に想定しうる追加要件(多言語、MA連携、ヘッドレス化など)への拡張余地が整理されている

ここまでチェックできれば、「CMSの構築までは順調だったのに、運用で詰む」リスクはかなり減ります。
迷いが残るときは、機能比較ではなく、このガイドラインに対してどのCMSが一番“運用の現実”にフィットするかを軸に、もう一度だけ冷静に見直してみてください。

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執筆者紹介

※実績数値など事実情報が不明なため、編集して使える汎用テンプレートをお渡しします。

主要領域はCMSを中心とした企業Webサイトの設計・構築・運用設計。複数の中堅BtoB企業で、要件定義から運用フロー構築まで一貫して支援し、「公開後に詰まないCMS」を設計することを重視する実務担当者です。ベンダー任せにしない要件整理と、現場が本当に回る運用ルールづくりを専門としています。

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