HubSpotのCMSで成果が出る移行設計と勝ちパターン完全ガイド

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HubSpot CMSを入れたのに、問い合わせも売上もほとんど変わらない。あるいは、WordPressからの移行を検討しているが、どこから手を付けてよいか分からない。その背景には、「CMS=ページ作成ツール」という発想のまま、HubSpotを導入してしまう構造的な欠陥があります。
HubSpot CMSは、単なるコンテンツ管理ではなく、CMS+CRM+マーケティングHubが一体化したビジネスウェブサイトの基盤です。この前提を外した瞬間、テーマやテンプレート、モジュールの選択、URLやドメインの設計、ランディングページとブログの役割分担、フォームとデータフィールドの設定がすべて「場当たりの作成」になり、運用コストだけが膨らみます。

よくあるのが、LPだけHubSpotに移行し、メインサイトはWordPressのまま残すパターンです。一見リスクを抑えたように見えて、実際にはサブドメイン分断でSEOとトラッキングが歪み、計測や管理画面が二重化し、無料/低価格プランのはずが、半年後には制作会社と社内担当の工数が雪だるま式に増えていきます。テーマを「見た目」で選び、HubLやモジュール構造を理解しないまま構築すると、更新フローが崩壊し、公開のたびに開発者を呼ぶ状況から抜け出せなくなります。

この記事は、そうした「WordPress脳」の延長でHubSpot CMSを使い続けることによる見えない損失を洗い出し、移行前の構造診断から、テーマ選定、SEO設計、SNSやメールとの連携、権限設定、パートナー選定までを一気通貫で設計し直すための実務ガイドです。BtoB SaaSのマーケティング担当、店舗・サービス業のWeb担当、制作会社のPMが、それぞれの立場でどこまでHubSpotを使い倒し、どこからはWordPressや他ツールを選ぶべきかも明示します。

読み進めることで、次のような状態を狙います。

  • 部分移行や二重運用でも迷わない「移行設計の判断基準」が手に入る
  • ページ、ブログ、ランディング、フォーム、メールが一つの顧客ジャーニーとしてつながる
  • HubSpot CMSの制約と自由度の線引きができ、開発とマーケティングの衝突が減る
  • 「HubSpotが向かない案件」を早期に見抜き、ムダな投資を避けられる

この記事全体の価値は、次のように整理できます。

セクション 読者が手にする具体的な武器(実利) 解決される本質的な課題
前半(HubSpot CMSの捉え方、構造診断、部分移行、テーマ・モジュール設計、SEO) 正しい移行タイミングとスコープ、サイト構造・テーマ・テンプレート・モジュール・HubL設計の基準、WordPressとの差分を踏まえたSEOとコンテンツ戦略 「とりあえず移行」「LPだけHubSpot」「見た目先行の構築」で、成果が出ないまま運用コストだけ増える状態
後半(導線設計、権限と運用ルール、向かないケース、パートナー選定) SNS・広告・メール・CRMまでをつなぐ導線デザイン、クラッシュしない権限・運用ルール、HubSpotかWordPressかの判断軸、パートナーを見極める質問集 マーケと制作と営業がバラバラに動き、Hub内データが活用されないままツール費用と外注費だけが消えていく状態

ここから先は、「機能紹介」ではなく、どの設計がどの成果とコストに直結するかを具体的なパターンで解像度高く示していきます。HubSpot CMSをこれから導入する人も、すでに利用していて違和感を覚えている人も、「どこを変えれば成果が変わるのか」を一つずつ確認していきましょう。

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  1. HubSpot CMSは「CMS+CRM+マーケティングHub」の武骨なエンジンだと捉え直す
    1. HubSpot CMSの概要を“ページ制作ツール”ではなく「ビジネスウェブサイト・システム」として見る
    2. CRM・マーケティングHubとCMSを分けて考えると、なぜ成果が頭打ちになるのか
    3. WordPress的な「サイト=コンテンツ倉庫」発想との決定的な違い
  2. いきなり移行は危険|既存サイトとHubSpot CMSの「構造診断チェックリスト」
    1. URL・ドメイン・言語構成を洗い出さないまま移行したときに起きること
    2. ページ・ブログ・ランディングの役割を混同したまま「丸ごと移行」した失敗パターン
    3. フォーム・データフィールド・ファイルの棚卸しをサボると、顧客データがバラバラになる理由
  3. 「LPだけHubSpot」は本当に得か?部分導入でハマる三つの落とし穴
    1. サブドメイン分断でSEOとトラッキングが歪むメカニズム
    2. 無料/低価格プランで始めた結果、運用が二重化して期間・作業コストが膨らむ
    3. 部分移行からフル移行に踏み切るときの現実的なStepと判断基準
  4. テーマとモジュール選びで9割決まる|HubSpot CMS「構築前」に決めるべきこと
    1. Themeマーケットと既定テンプレートを「見た目」で選んではいけない理由
    2. HubL・モジュール構造を意識した情報設計:ページタイプごとのアセット分解術
    3. デベロッパー任せにしないための、担当マーケが押さえるべきフィールド設計
  5. SEO・コンテンツマーケティングをHubSpot CMSに載せ替えるときのリアル
    1. 「WordPress前提のSEOメソッド」をHubSpotに持ち込むと破綻するポイント
    2. ブログとランディングページをどう分けるかで、コンテンツの成果が変わる
    3. ページ速度・構造化データ・内部リンク…HubSpot CMSならではの調整の限界と打ち手
  6. SNS・メール・フォームが一本の線になる|HubSpot CMSで組む“集客~成約”の導線デザイン
    1. Instagramや広告からの流入を、ウェブサイトとフォームで「顧客データ」に変える方法
    2. ランディングページ→メール→CRM→取引(Deal)までのHub内データフローを可視化する
    3. 店舗ビジネス向け:予約・問い合わせ・リピートを一つのプラットフォームで追う設計
  7. 権限・トレーニング・運用ルール|事故らないHubSpot CMSは「設計」で決まる
    1. 担当者が増えるほど危ない、編集権限と公開フローの設定ミス
    2. ログイン後に何を触ってよいか?マーケ・広報・デベロッパーの作業分業ルール
    3. 90日・半年・1年ごとにやるべき運用レビューと、満足感を決める指標
  8. 他社が語らない「HubSpot CMSが向かないケース」と、WordPressを選ぶべきパターン
    1. 開発自由度を最優先するデベロッパー案件で、SaaS CMSが足かせになる場面
    2. コマース機能・特殊なシステム連携が主役のビジネスで起きやすい衝突
    3. それでもHubSpotを部分的に使うとしたら?プラットフォームの“良いとこ取り”設計
  9. 依頼前に必ず聞くべき質問|パートナー選定で後悔しないためのチェックリスト
    1. 「HubSpotが得意です」というパートナーに投げるべき5つの質問
    2. 見積もりのどこを見れば、期間・成果・サポート体制のリアルが把握できるか
    3. BtoBと店舗ビジネス、それぞれのケーススタディから学ぶパートナーの選び方
  10. 執筆者紹介

HubSpot CMSは「CMS+CRM+マーケティングHub」の武骨なエンジンだと捉え直す

静的な「会社案内サイト」のつもりでHubSpot CMSを入れると、ほぼ必ず失敗する。
実態は、CMS+CRM+マーケティングHubが一体化した“売上エンジン”であり、ここを外すと設計が最初から狂う。

HubSpot CMSの概要を“ページ制作ツール”ではなく「ビジネスウェブサイト・システム」として見る

HubSpot CMSは、WordPressのような「ページを作成・公開するツール」ではなく、顧客データを前提にしたビジネスウェブサイト・システムとして捉えるべきだ。

ポイントは3つ。

  • ページやブログが、コンタクト(顧客)レコードと直結している

  • フォーム送信・クリック・メール開封など、全てが同じCRMにログされる

  • テーマ・モジュール構造が、そのままマーケティング施策の自由度を決める

BtoB SaaSでも店舗ビジネスでも、重要なのは「どのページから来た人が、どのメールを読み、どの営業に引き渡されたか」を1つのアカウント内で追えることだ。

HubSpot CMSを“サイト制作ツール”として見るか、“ビジネスシステム”として見るかの違い

視点 間違った捉え方 正しい捉え方
目的 デザイン刷新・ページ作成 リード獲得~営業~リピートの一気通貫
主役 ページ・テンプレート コンテンツ+コンタクトデータ
設計起点 企業側のサイトマップ 顧客ジャーニーとデータフロー
成功指標 PV・セッション数 SQL数、商談化率、LTV

この視点がないまま移行すると、「きれいだけど売れないサイト」が量産される。

CRM・マーケティングHubとCMSを分けて考えると、なぜ成果が頭打ちになるのか

現場でよくあるのが、「まずはMA・CRMだけ」「LPだけHubSpot」という分断導入だ。
短期的には楽だが、半年〜1年後に次の壁が来る。

  • フォームだけHubSpot、ページは他CMS → トラッキングが分断され接点が追えない

  • メールはHubSpot、ブログはWordPress → コンテンツとスコアリングが連動しない

  • 営業はCRMを見ているが、どのページを見て熱くなったかが分からない

マーケ担当が欲しいのは「このMQLは、どのコンテンツと広告の組み合わせで生まれたか」という因果関係のログだ。
HubSpot CMSは、このログを「ページ・ブログ・ランディング・フォーム」というアセット単位で紐づける役割を持つ。

HubSpot内データフローのイメージ

  • ページ閲覧 → Cookie / トラッキングコード

  • フォーム送信 → コンバージョン+コンタクト作成

  • メール送信 → 開封・クリックがコンタクトに蓄積

  • 営業活動 → ディール・タスクが同じHubで更新

この線を途中で他CMSに切られると、「どこからどこまでがHubSpotの成果か」誰も説明できない状態になる。
SaaS型CMSを使う意味は、この分断を減らし、営業とマーケが同じ画面で会話できる状態を作ることにある。

WordPress的な「サイト=コンテンツ倉庫」発想との決定的な違い

WordPress脳のままHubSpot CMSを触ると、多くのチームが次のギャップにぶつかる。

  • サイトを「記事を貯める倉庫」としてしか見ていない

  • テーマを「見た目」で選び、HubLやモジュール構造を後回しにする

  • カスタムフィールドより先にデザインカスタマイズに工数を全部振る

結果として、90日〜1年後にこうなる。

  • ページタイプごとの役割が曖昧で、LPとブログの境界が崩壊

  • モジュールが場当たり追加され、更新フローが属人化

  • 「このセクションを全LPで一括変更したいのに、テーマ構造的に無理」というボトルネック

WordPress発想とHubSpot CMS発想の差分

項目 WordPress的発想 HubSpot CMS的発想
サイトの役割 コンテンツを並べる場所 顧客ジャーニーのステップ
テーマ選定 デザイン重視 モジュール・HubL構造重視
フォーム ページごとにバラバラ設置 CRMと紐づくデータ入力口
成果測定 GA中心でPV/セッション Hub内でリード〜ディールまで追跡

BtoBマーケマネージャーなら、「このブログ群はインサイドセールスのSQL創出に効いているのか」を、店舗オーナーなら「このInstagram流入はどの予約フォームで止まっているのか」を、同じHubSpot画面で見たいはずだ。

HubSpot CMSを「武骨なエンジン」として設計できれば、デザインより先にデータ構造と導線設計が勝ち筋を決めることが腹落ちしてくる。ここを押さえたチームだけが、移行後半年から「サイトが営業チームの武器になってきた」と実感し始める。

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いきなり移行は危険|既存サイトとHubSpot CMSの「構造診断チェックリスト」

HubSpot CMSへの移行は、「引っ越し」ではなく配電盤の総とりかえに近い作業です。WordPress脳のままページだけ運び込むと、SEOもトラッキングも顧客データも一気にショートします。まずは、次の3ブロックで今のウェブサイトを“丸裸”にすることが先です。

URL・ドメイン・言語構成を洗い出さないまま移行したときに起きること

URL設計を無視した移行は、検索エンジンから見ると「別サイト化」です。リダイレクト設定をサボると、長年育てたオーガニック流入が一晩で消えます。

移行前に、最低限この粒度で棚卸しします。

  • ルートドメイン / サブドメイン(www, blog, info, LP用など)

  • 言語別ディレクトリ / サブドメイン(/en, /ja, fr.example.com など)

  • 主要テンプレートごとのURLパターン(ブログ記事、サービスページ、ランディング)

そのうえで、HubSpot CMSにマッピングします。

URL・ドメイン診断の視点例

項目 ありがちな失敗 HubSpot側での安全な設計
LP用サブドメイン 旧: lp.example.com / 新: info.example.com でバラバラ CMS Hubに統合し、301リダイレクトルールを一括管理
多言語 /en と /english が混在 言語設定付きコンテンツグループで1言語1ルールに統一
ブログ /blog と /column が混在 HubSpotブログのURL構造に合わせ、カテゴリ構造も再設計

特に多言語サイトでは、無料プランやStarterで始めてから「言語設定が足りず翻訳地獄」というケースが起きやすく、移行前にプランと構築方針を必ず照合しておくべきです。

ページ・ブログ・ランディングの役割を混同したまま「丸ごと移行」した失敗パターン

HubSpotでは、ページ種別ごとに役割と計測ロジックが違うのに、WordPressと同じノリで「投稿=全部ブログ」「固定ページ=全部ページ」に寄せると、90日後から数字が読めなくなります。

役割があいまいな状態で移行すると、次のような現象が起こります。

  • SEO狙いのコンテンツなのに、ランディングページで作っていてインデックス最適化がしづらい

  • 広告用LPを通常ページで作り、ABテストやフォーム計測がバラバラ

  • ブログ記事とホワイトペーパーDLページを同じテンプレートで作り、CTAデータが混線

HubSpotでのページ種別と「適した使い方」

種別 主な用途 現場でのベストプラクティス
通常ページ 会社情報、サービス、機能紹介 グローバルナビと内部リンクの“幹”として設計
ブログ SEO記事、ナレッジ、ニュース カテゴリ・タグをCRMの属性設計と揃える
ランディングページ 広告流入、キャンペーン、資料請求 1コンバージョン1目的、フォームとセットで設計

移行前に、「このURL群はSEO用ブログ」「この群はCV目的LP」とビジネスゴール単位でアセットを仕分けることで、後のマーケティングHubやメール施策との連動が段違いにやりやすくなります。

フォーム・データフィールド・ファイルの棚卸しをサボると、顧客データがバラバラになる理由

多くの移行プロジェクトで一番後回しにされるのが、フォームとデータ構造です。しかし、ここを雑に扱うと「CMSだけ新しくて、CRMは旧世界のまま」という二重構造が固定化されます。

移行前に必ず洗い出すべきは次の3つです。

  • 使用中のフォーム一覧(問い合わせ、資料請求、イベント申込、採用など)

  • それぞれの入力項目(フィールド)と実際の活用用途(営業・メールセグメント・レポート)

  • 添付ファイルや画像の保管場所(WordPressメディア、外部ストレージ等)

フォーム・フィールド棚卸しのチェックポイント

  • 同じ「会社名」が、company, company_name, org_nameなど複数の名前で存在していないか

  • メール配信停止、同意管理(オプトイン)の項目が、フォームごとにバラバラに設計されていないか

  • ファイルダウンロード用URLが、移行後もトラッキング可能な形に変えられるか

HubSpot CRMのプロパティ設計とCMSのフォーム項目を揃えておけば、SNS流入のランディングやブログから入ったリードが、そのまま営業のパイプラインに自然接続されます。逆に、ここを「あとで整える」にすると、半年後には「どの問い合わせがどのキャンペーンから来たのか」誰も説明できなくなります。

移行のスタート地点は、「どのページを先に作るか」ではなく、URL構造・ページ種別・データ構造をどう一本の線にまとめるかを描き切ることです。ここを押さえれば、HubSpot CMSは単なるページ作成ツールから、売上に直結するビジネスウェブサイト・システムに化けます。

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「LPだけHubSpot」は本当に得か?部分導入でハマる三つの落とし穴

「まずはHubSpotでLPだけ」──この一手は、テストに見えて中長期の負債化スイッチになりやすい。WordPress脳のまま踏み込むと、SEO・トラッキング・運用コストがじわじわ財布を削っていく。

サブドメイン分断でSEOとトラッキングが歪むメカニズム

よくある構成はこのパターン。

  • 本体サイト: www.example.com(WordPress)

  • LP群: lp.example.com(HubSpot CMS)

一見きれいだが、検索エンジンとアナリティクスの視点では話が変わる。

項目 wwwで一体運用 lpサブドメインで分断
SEO評価の蓄積 内部リンクで集約しやすい ドメイン評価が分散しがち
直帰率・CVR分析 1プロパティで追いやすい ユーザー導線が断片化
リライト戦略 ブログ→LPの動線を一体最適化 CMSごとに別チーム管理になりがち

さらにHubSpotとGA4、広告トラッキングの設定が二重化しやすく、BtoB SaaSでSQL(商談化リード)単位の集客源分析をしようとした瞬間、「どのフォームがどのドメインだったか」をさかのぼる羽目になる。MA・CRM側でコンタクトのオリジナルソースを見ても、LPだけ別ドメインだと「途中でセッションが切れた扱い」になり、真の流入経路が見えづらくなる。

無料/低価格プランで始めた結果、運用が二重化して期間・作業コストが膨らむ

「まずは無料でLPだけ」は、制作・公開フローの二重運用を生む。

  • WordPress側

    • 会社概要・料金・ブログ記事を編集
    • サーバー・プラグイン・テーマの管理
  • HubSpot CMS側

    • ランディングページとフォームを作成
    • モジュール・テンプレート編集と権限設定

現場では次のような摩擦が発生しやすい。

  • コンテンツ修正の度に「WP担当」「HubSpot担当」両方に依頼が飛ぶ

  • 画像やファイルがWPメディアとHubSpotファイルマネージャーで二重管理

  • SEOエージェンシーがWP前提でレコメンドし、HubSpot側のテンプレート構造に手を出せない

結果として、公開までのリードタイムが1.5〜2倍に増えるケースが珍しくない。特に店舗・サービス業では、キャンペーンLPとブログ告知を別CMSで更新するストレスが、半年後の「更新止まり」を招く。

部分移行からフル移行に踏み切るときの現実的なStepと判断基準

とはいえ、いきなりフル移行に振り切れない事情もある。そこで重要なのは、「どこまで来たら二重運用をやめるか」の撤退ラインを最初に決めておくこと

【フル移行を検討すべきサイン】

  • HubSpot上のフォームが全体の30〜50%を超えた

  • LP起点のリードが、全リードの半分近くになっている

  • ブログ・メール・ワークフローがHubSpot内で本格稼働し始めた

【現実的な移行Step】

  1. 現状診断

    • URL構造とドメイン設計を一覧化
    • 既存フォーム・フィールド・ファイルの棚卸しを実施
  2. 情報設計

    • ページタイプ(コーポレート/ブログ/ランディング)ごとにHubSpotテンプレート・モジュール方針を決定
    • 多言語・多拠点があれば、コンテンツグルーピングと言語設定を先に設計
  3. 段階移行

    • まずブログとフォームをHubSpot CMS+CRMに寄せ、コンタクトデータを一元管理
    • その後、メインナビに載るコアページを順次移行し、リダイレクトを整理
  4. 運用レビュー

    • 90日ごとに、WordPress側の更新頻度とHubSpot側の運用負荷を比較
    • 「どちらか片方だけで完結できる状態」を目安に、最終的なドメイン統合を決める

部分導入は、検証プロジェクトとしては有効だが、恒久運用モデルにしてはいけない。LPだけHubSpotに乗せた瞬間から、「いつ、どの条件でフル移行か/やめるか」を決めておくことが、CMSとCRMをビジネスエンジンとして育てるか、それとも恒久的な技術負債にするかの分かれ道になる。

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テーマとモジュール選びで9割決まる|HubSpot CMS「構築前」に決めるべきこと

「デザインは良いのに、3カ月後には誰も触れないサイト」―HubSpot CMSでよく見る事故は、ほぼすべてテーマとモジュールの設計ミスから始まります。ページを作る前に、サイトの“骨格と配線”をどう組むかを決め切ることが勝ちパターンです。

Themeマーケットと既定テンプレートを「見た目」で選んではいけない理由

ThemeForest感覚でテーマを選ぶと、90日後に更新フローが崩壊します。理由はシンプルで、テーマの美しさと運用のしやすさは別物だからです。

事前に見るべきポイントは次の4つです。

  • モジュール構成: 見出し・CTA・フォーム・リッチテキストが「再利用モジュール」になっているか

  • 多言語対応: 言語バリエーションとコンテンツグルーピングの前提が合うか

  • 権限設計: マーケ担当が触る範囲と開発者専用モジュールが分かれているか

  • パフォーマンス: 画像最適化やCSS設計がHubSpot標準に寄せてあるか

特にBtoB SaaSのように、ランディングページを量産する企業は、「1ページ作るのに何クリック必要か」をデモ環境で確認しておくと、マーケティングスピードの差がはっきり出ます。

見た目で選んだテーマ 構造で選んだテーマ
編集画面が複雑で担当が混乱 フィールドが整理され更新が直観的
CSS・JavaScriptが肥大化 必要最低限のアセットで軽量
多言語やサブドメイン拡張で破綻 拡張前提の設計で将来変更が容易

HubL・モジュール構造を意識した情報設計:ページタイプごとのアセット分解術

HubSpot CMSでは、「どのページに、どのモジュールを、どう組み合わせるか」を先に定義しておくと、後の移行・追加開発が一気に楽になります。ポイントはページタイプごとにアセットを分解することです。

代表的なページタイプと必要アセットを整理すると、設計の抜け漏れが見えます。

ページタイプ 必要なモジュール・テンプレート例 HubLで押さえる視点
サービス詳細ページ 見出し、料金表、FAQ、CTA、パンくず グローバルパーシャル化で共通部品化
ブログ記事 著者情報、タグ、関連記事、構造化データ ループ処理でカテゴリ別出し分け
ランディングページ ヒーロー、フォーム、信頼の証拠、CVボタン A/Bテスト用の可変モジュール設計

現場でよく起きる失敗は「LPテンプレート1枚で全部やろうとする」パターンです。結果としてHubLの条件分岐だらけの“なんでも屋テンプレート”になり、誰も触れないブラックボックスが生まれます。

制作会社側のPMであれば、開発前に次を必ずドキュメント化しておくと安全です。

  • ページタイプ一覧

  • 各ページタイプで使うモジュール一覧

  • グローバルモジュール(ヘッダー、フッター、CTAなど)

  • 再利用しない「1回きりコンポーネント」

この一覧がない状態で移行を始めると、WordPress時代のテンプレート乱立と同じ地獄をHubSpot上で再現してしまいます。

デベロッパー任せにしないための、担当マーケが押さえるべきフィールド設計

HubSpot CMSの真価は、「マーケ担当がコードを書かずに、高速でページを量産できること」です。そのためのカギがフィールド設計です。ここをデベロッパー任せにすると、毎回制作依頼が必要な“旧来CMSモード”から抜け出せません。

マーケ側が事前に決めておきたいのは、次の3レイヤーです。

  • ページレベルのフィールド

    • SEOタイトル、メタディスクリプション、OG画像、言語設定
  • セクションレベルのフィールド

    • キャッチコピー、サブコピー、背景画像、有無のトグル(表示/非表示)
  • コンポーネントレベルのフィールド

    • CTAリンク先(URL or HubSpotコンタクトリスト)、ボタン文言、トラッキング用パラメータ

BtoB SaaSのマーケティングマネージャーであれば、「どこをA/Bテストしたいか」から逆算してフィールドを設計すると、後の実験コストが劇的に下がります。例えば:

  • ヒーローのタイトルとCTA文言は別フィールドにする

  • 料金表のプラン名・価格は、マーケが直接編集できるテキストフィールドにする

  • 店舗ビジネスなら、「予約導線」「電話タップ」「地図リンク」を個別フィールド化し、キャンペーンごとに差し替えられるようにする

このレベルまでフィールドを設計しておくと、運用開始後の会話が「このコピーを変えたい」「このCTAを2パターン試したい」といったマーケ起点の改善サイクルに変わります。

逆に、フィールド設計を曖昧にしたまま構築すると、3カ月後には「この部分は開発チケット切らないと変えられない」という場所が増え続け、SaaS CMSのメリットがほぼ消えてしまいます。HubSpot CMSを“武骨なエンジン”として使い切るには、構築前のこの一手間が決定打になります。

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SEO・コンテンツマーケティングをHubSpot CMSに載せ替えるときのリアル

「WordPressの延長線でいけるでしょ?」と軽く構えると、HubSpot CMS移行後6ヶ月でリードが減り、社内でCMSが“犯人扱い”されるケースが多い。原因はツールの性能ではなく、SEOとコンテンツの設計思想を切り替えないまま載せ替えることにある。

「WordPress前提のSEOメソッド」をHubSpotに持ち込むと破綻するポイント

WordPressで染みついた運用を、そのままHubSpot CMSに持ち込むと次の3つでつまずきやすい。

  • プラグイン前提の考え方

  • URLとテンプレート構造の違い

  • 計測とリダイレクト運用の甘さ

特にBtoB SaaSのマーケ担当とSEOエージェンシーの間で、ここが噛み合わない。

WordPress前提のSEO習慣 HubSpot CMSでの落とし穴 安全な打ち手
プラグインでメタ・構造化データを一括管理 プラグイン概念がなく、テーマ・モジュールごとに設計が必要 HubLとモジュールで「SEOフィールド」を標準装備しておく
SEO担当が.htaccessでリダイレクト管理 サーバー設定に触れられず、CMSのリダイレクト機能に一本化 移行前に全URLを一覧化し、301マップを作成して一括登録
計測はGA+Search Consoleだけ HubSpotのトラッキングと二重・齟齬が発生 HubSpotアナリティクスを主軸にし、GAは検算用に位置づける

ポイントは「プラグインで何とかする」という癖を捨て、最初からテーマ・モジュール単位でSEOを組み込むことだ。

ブログとランディングページをどう分けるかで、コンテンツの成果が変わる

HubSpot CMSは「ブログ」と「ランディングページ(LP)」が明確に分かれている。WordPress的に「全部投稿で作る」発想のままだと、SEO用記事と獲得用ページがごちゃ混ぜになり、分析もA/Bテストも崩れる。

役割 HubSpotでの推奨アセット 成果指標の例
指名・非指名キーワードからの流入拡大 ブログ機能(Content Hubのブログ) 検索流入数、滞在時間、内部リンククリック率
資料DLやトライアル申込の獲得 ランディングページ+フォーム コンバージョン率、MQL数、Dealへの転換率
店舗の予約・問い合わせ誘導 ランディングページ+CTA+予約フォーム 予約数、電話クリック数、来店率

やるべきことはシンプルで、「検索で拾うページ(ブログ)」と「財布を開いてもらうページ(LP)」をテンプレートから分けて設計すること。BtoBならブログからLPへの内部リンク導線、店舗ビジネスならSNS→LP→予約フォームまでを一筆書きで描く。

ページ速度・構造化データ・内部リンク…HubSpot CMSならではの調整の限界と打ち手

SaaS CMSゆえに、サーバーやコア部分を自由に触れない代わりに、フロントの設計で差がつくゾーンがはっきりしている。

  • ページ速度

    • 画像と動画が速度を殺しているケースが大半
    • 画像はHubSpotファイルツールでサイズ・フォーマットを最適化
    • モジュール側で「遅延読み込み(lazy load)」を標準実装しておく
  • 構造化データ(FAQ、HowTo、Articleなど)

    • テンプレートにJSON-LDのHubLブロックを仕込み、
      タイトル・著者・日付をフィールド連携
    • 制作会社任せにせず、「どのページタイプにどのSchemaを入れるか」をマーケ側が決めておく
  • 内部リンク

    • ブログモジュールに「関連記事」「カテゴリ別人気記事」を搭載
    • LPには「学習コンテンツへの逆リンク」を配置し、SEO評価を循環させる

HubSpot CMSは、「どのページタイプで、どのフィールドを、誰が編集できるか」まで設計できるCMS+CRMエンジンだと捉え直すと、SEOもコンテンツも一段階上の設計に持っていける。WordPress脳のまま機能をなぞるか、HubSpot脳で“ビジネスウェブサイト”として組み替えるかで、1年後のリード数はまるで変わってくる。

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SNS・メール・フォームが一本の線になる|HubSpot CMSで組む“集客~成約”の導線デザイン

「Instagramのいいねが増えても、社内の売上レポートには1円も反映されない」。この断絶を埋めるのが、HubSpot CMS+CRM+Marketing Hubを“1本のホース”として設計する発想です。

Instagramや広告からの流入を、ウェブサイトとフォームで「顧客データ」に変える方法

まず押さえるのは、流入チャネルごとに「どのフォームで誰を捕まえるか」を決め切ることです。デザインより前に、データ設計を終わらせます。

ポイントは3つあります。

  • UTMパラメータとHubSpotのトラッキングコードを必ずセットで設置

  • Instagram用・広告用・オーガニック検索用に、最低限フォームを分ける

  • フォーム送信時に「チャネル」「キャンペーン名」をコンタクトプロパティに書き込む

このとき、LPの見た目だけを制作会社に丸投げし、フォームフィールド設計を後回しにすると、3カ月後には「リストは増えたが、何経由か誰も説明できない」状態になります。

Instagram/広告流入から、どのように顧客データへ変換するかを簡単に整理すると次の通りです。

ステップ 使用アセット HubSpot側のキー設定
1. クリック Instagram投稿・広告 UTM・トラッキングコード
2. 着地 HubSpot CMSランディングページ ページテンプレート・CTAモジュール
3. 送信 HubSpotフォーム 必須フィールド・隠しフィールド(チャネル)
4. 保存 CRMコンタクト プロパティマッピング・リストルール
5. 追客 Marketing Hubメール セグメント配信・スコアリング

WordPress的に「とりあえず問い合わせフォーム1個」で済ませる発想のままだと、ここがすべて混ざってしまい、後からチャネル別のCV単価を出すことが極端に難しくなります。

ランディングページ→メール→CRM→取引(Deal)までのHub内データフローを可視化する

HubSpot CMSを使うなら、ページは“営業データの入り口”という前提で設計した方が成果に直結します。BtoB SaaSのリード獲得フローを、Hub内のデータ視点で分解するとこうなります。

  • ランディングページ

    • テンプレート:目的別(資料DL・デモ予約)で分ける
    • モジュール:フォーム・CTA・FAQ・価格表を再利用可能なアセットとして構築
  • フォーム送信

    • フォーム送信トリガーでワークフロー起動
    • コン タクトに「MQLフラグ」「興味プロダクト」プロパティを付与
  • メールシーケンス

    • 1通目:資料送付・Thank you
    • 2通目:ユースケース紹介
    • 3通目:オンラインデモ・打ち合わせCTA
  • CRMステージ

    • リード → MQL → SQLへの移行を条件付きで自動更新
    • 営業担当アサインをラウンドロビンで自動化
  • Deal作成

    • 「デモ希望」や「見積もり依頼」条件で取引レコードを自動生成

このフローをチームで共有する時は、「画面ベース」よりデータ項目ベースの図解が有効です。

フェーズ 主役のHub 主要プロパティ 担当者が見る画面
集客 CMS+Marketing Hub ページURL・UTM・CTAクリック トラフィック分析、ランディングレポート
育成 Marketing Hub リードスコア・メール開封・クリック リスト・ワークフロー画面
商談 CRM Lifecycle stage・Deal amount コンタクト・企業・取引ボード
受注後 CRM+Service Hub CS担当・契約プラン チケット・レポート

このテーブルの縦の流れを、「1件のコンタクトIDで貫く」のがHubSpotの真価です。フォームを外部ツールで作成してしまうと、IDが分断され、せっかくの可視化が一気に崩れます。

店舗ビジネス向け:予約・問い合わせ・リピートを一つのプラットフォームで追う設計

店舗・サービス業では、「来店」と「Web上の行動」を1人の顧客としてつなげるかどうかで、リピート売上の伸び方が変わります。

HubSpot CMSで抑えるべき骨格は次の3本です。

  • 予約・問い合わせフォームは「店舗名」「メニュー」「来店希望日」を必須化

  • 予約完了ページをCMSで統一し、来店前メールのトリガーに使う

  • 来店後のアンケートも同じコンタクトIDに紐づける

店舗ビジネス向けに、最低限押さえたいデータ設計を整理します。

目的 必要なフィールド例 活用イメージ
どの店舗に来たか 店舗名(ドロップダウン) 店舗別の予約数・顧客単価をレポート
何のサービスか メニュー名・カテゴリ 人気メニュー別のキャンペーン配信
来店頻度 来店回数・最終来店日 離反予備軍への再来店クーポン送信
評価 CSスコア・レビュー 高評価顧客に紹介キャンペーン実施

ここでやりがちなのが、「予約システムは別サービスに任せて、HubSpot側にはメールアドレスだけ同期」という構成です。一見スマートですが、数カ月後には次のような事態になりがちです。

  • メルマガリストは増えるが、「どの店舗の顧客か」が分からない

  • リピート施策は打っているが、売上との紐付きが証明できない

  • 担当者が変わると、誰も連携ロジックを説明できない

こうした「ブラックボックス化」を防ぐには、最初のフォームフィールド設計に戻るしかありません。CMS上のページ・フォーム・モジュールを、単なる制作物ではなく、「店舗の台帳」と同じレベルで扱うことが、HubSpot CMSで成果を出す店舗の共通点になっています。

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権限・トレーニング・運用ルール|事故らないHubSpot CMSは「設計」で決まる

HubSpot CMSは「誰でもページ作成できる」のが強みですが、権限と運用ルールを外すと、半年後には「誰も責任を持てないウェブサイト」になります。WordPress脳で「管理者アカウント共有」のノリのまま入ると、CRMデータごとクラッシュしにいきます。

担当者が増えるほど危ない、編集権限と公開フローの設定ミス

HubSpotアカウントは、CMSだけでなくCRM・マーケティングHub・営業Hubまでワンセットのプラットフォームです。つまり、「ページを編集する人」=「顧客データに触れるかもしれない人」になります。

まず押さえるべきは、この3レイヤーの切り分けです。

権限レイヤーの代表的な考え方

レイヤー 主な対象 HubSpotで守るべき権限の考え方
コンテンツ ページ・ブログ・ランディング 編集は許可、公開は制限。テーマ・テンプレート変更は基本禁止。
データ フォーム・プロパティ・リスト 作成/削除はごく一部の管理者のみ。マーケは編集申請フローを設ける。
プラットフォーム テーマ・モジュール・設定 デベロッパーかPMのみ。マーケ担当は閲覧レベルに抑える。

よくある事故パターンは次の3つです。

  • 「マーケ担当にフル権限を渡す」ケース

    ページテンプレートをうっかり上書きして全LPのレイアウトが崩れる。HubLやCSSを理解していないのに、テーマのアセットを直接編集してしまう。

  • 「CMS権限とCRM権限をセットで付ける」ケース

    フォーム編集のつもりが、コンタクトプロパティを削除・名称変更してしまい、営業チームのレポートが全滅する。

  • 「公開フローが口約束」なケース

    下書き・レビュー・承認のプロセスがなく、広報チェック前の記事が公開。URL変更→リダイレクト未設定→SEOが一気に落ちる。

最低限、次のような公開フローはワークフロー図レベルで書き起こし、運用ルールとして共有しておいた方がいいです。

  • 編集担当:ページ編集まで。公開ボタンには触らない。

  • 承認担当(マーケマネージャー):内容・CTA・トラッキング設定を確認し、公開。

  • 管理者/PM:URL構造・テンプレート選択・モジュール構成のレビューのみ実施。

この「誰がどこまでクリックしてよいか」を曖昧にした現場ほど、90日後に「どのLPがどのテーマを使っているか誰も説明できない」状態になっています。

ログイン後に何を触ってよいか?マーケ・広報・デベロッパーの作業分業ルール

HubSpot CMSで現実的にワークする分業は、ロールではなく「触ってよい画面」で決める方が安全です。

ロール別の「触ってよい画面」サンプル

ロール 触ってよいもの 触ってはいけないもの
マーケ担当 ランディングページ、フォームの文言、ブログ記事、CTA テーマ、HubLモジュール、コンタクトプロパティの削除
広報・編集 ブログ記事、固定ページの本文、画像差し替え トラッキング設定、リダイレクト設定、公開スケジュール変更
デベロッパー テーマ、テンプレート、CSS、HubLモジュール、システム設定 日々のコンテンツ更新、キャンペーンの公開判断
PM/管理者 権限設定、ワークフロー、ドメイン・URL設計 日次の文言修正作業全般

ポイントは、「CMSは制作会社のツール」から「営業・マーケ・広報全員の業務ツール」へ発想を切り替えることです。
そのために、ログイン初日に必ずやるべきトレーニングは次の3つに絞った方が、定着が早く事故も減ります。

  • どのメニューが「コンテンツ」で、どこからが「データ」なのか

  • 「公開」ではなく「バージョン履歴」から元に戻す方法

  • 運用で絶対に触ってはいけない設定(テーマ、プロパティ削除、トラッキングコード等)

ここを30分で雑に済ませると、あとからサポートや制作会社への問い合わせコストが一気に膨らみます。

90日・半年・1年ごとにやるべき運用レビューと、満足感を決める指標

HubSpot CMSの怖いところは、「事故っても動き続けてしまう」ことです。
ページは表示されるが、計測とデータ構造が静かに壊れていく。この「サイレントクラッシュ」を防ぐのが、定期レビューです。

おすすめのレビューサイクル

タイミング チェックする内容 誰が見るか
90日ごと 新規LP数、ブログ公開数、公開フローの滞留箇所、編集権限の棚卸し マーケ責任者+PM
半年ごと テーマ・テンプレートの乱立状況、フォーム項目の重複、リダイレクト漏れ、ページ速度 PM+デベロッパー
1年ごと URL設計の妥当性、言語設定・サブドメイン構成、SEOトラフィックの推移とコンテンツタイプ別成果 経営層+マーケ・営業リーダー

このとき、満足度を左右する指標はPVやセッション数だけではありません。HubSpot CMSなら、以下を見ないと本当の意味で「活用」できているか分かりません。

  • ランディングページから生成されたコンタクト数と、その後のDeal(商談)化率

  • CMSで作成したフォーム経由の問い合わせが、営業Hubのパイプラインに正しくつながっている比率

  • マーケ担当が「制作会社依存せずに自力作成したページ」の割合(スピード指標)

この3つをダッシュボードで可視化しておくと、「デザインはきれいだが営業が使いこなせないサイト」から、「売上導線としてのウェブサイト」へ軌道修正しやすくなります。

権限設計と運用レビューを最初にサボると、1年後に「フルリニューアルするしかない」という高い授業料を払うことになります。
逆にここを押さえれば、HubSpot CMSはマーケも営業も自走できる“武骨なエンジン”として、じわじわ効いてきます。

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他社が語らない「HubSpot CMSが向かないケース」と、WordPressを選ぶべきパターン

「なんでもHubSpotに寄せれば勝ち」ではなく、あえてWordPressや別システムを主役にした方が“財布の厚み”が増えるケースははっきり存在します。現場で見てきた判断軸を整理すると、次のようなラインが浮かびます。

判断軸 HubSpot CMSが有利 WordPressが有利
目的 リード獲得・営業連携・MA メディア運営・自由なUI/UX
必要な開発自由度 中〜高(SaaS制約あり) 最大限(制約ほぼなし)
コマース比重 問い合わせ中心 本格EC・サブスク決済
連携システム HubSpot中心 自社開発・特殊基幹系

開発自由度を最優先するデベロッパー案件で、SaaS CMSが足かせになる場面

フロントエンド開発を極限まで攻めたい案件では、SaaS CMSのガードレールが“天井”になります。

典型的に詰まりやすいポイントは次の通りです。

  • 独自のビルダーやヘッドレス構成を前提にしたSPAサイト

  • ピクセル単位で動くアニメーション・スクロール演出を全面に出すブランドサイト

  • Git運用前提で、ステージング~本番のデプロイフローを細かく制御したいチーム

HubSpot CMSは、HubLやドラッグ&ドロップ編集、権限管理を前提に「マーケ担当が触れる安全な開発範囲」に最適化されています。
この思想と真逆の「エンジニアが全権を握るプロダクトサイト」では、次のような摩擦が起きやすいです。

  • テンプレート構造に縛られて、ReactやNext.jsの構成をそのまま持ち込めない

  • CMS内で完結させる前提のため、外部ビルドパイプラインと噛み合わせにくい

  • ページ作成をマーケに解放したいのに、カスタムモジュールが複雑化して結局「開発窓口」がボトルネックになる

「開発の自由度を100点満点にしたい案件」は、WordPress+ヘッドレスやフルスクラッチの方が筋が良いケースが多いです。
その代わり、リード管理やメール配信はHubSpot Marketing Hub/CRM側で受ける、といった役割分担が現実的です。

コマース機能・特殊なシステム連携が主役のビジネスで起きやすい衝突

売上の大半がオンライン決済・カート・在庫連携から生まれているビジネスでは、「CMS主役」ではなく「コマース主役」で設計した方が安全です。

よくぶつかるのは次のような要件です。

  • 複雑な送料計算(地域別・温度帯別・同梱条件など)

  • サブスクリプション課金+分割決済+ポイント管理

  • 基幹システム(在庫・会員ID・契約管理)とのリアルタイム連携

HubSpot CMSにも決済連携はありますが、ECプラットフォームのような「どんな商流でも吸収する柔軟性」は前提になっていません。
ここを無理にHubSpot CMSだけで組もうとすると、次のような“ねじれ”が起こります。

  • カートやマイページは外部サービス、コンテンツはHubSpotと分裂し、URL設計とトラッキングが複雑化

  • 担当者から見て「どの画面がどのツールか」が分かりにくくなり、運用教育コストが跳ね上がる

  • 外部のECベンダーとHubSpot側の制作会社の責任範囲が曖昧になり、障害時に「たらい回し」が発生

こうしたビジネスでは、ShopifyやEC-CUBEを“会計エンジン”、HubSpotを“マーケ・CRMエンジン”と割り切る設計が現実的です。
商品詳細ページの一部ブロックだけをHubSpotのフォームやCTAモジュールで置き換え、「閲覧→カート放棄→メール→再訪問」をトラッキングする、といったバランスが落としどころになります。

それでもHubSpotを部分的に使うとしたら?プラットフォームの“良いとこ取り”設計

「全部HubSpotは重い、でもCRMとマーケティング機能は魅力的」という案件では、CMSを主役にしないHubSpotの使い方が効いてきます。

代表的な“良いとこ取り”パターンはこの3つです。

  1. フォーム&ポップアップだけHubSpot化する構成

    • 本体サイトはWordPressやECプラットフォームのまま
    • 問い合わせ・資料請求・メルマガ登録フォームだけHubSpotフォームに差し替え
    • 取得したコンタクトデータを自動でCRMに蓄積し、メールやワークフローにつなぐ
  2. LPクラスターだけHubSpot CMSで構築する構成

    • オウンドメディアやコーポレートは既存CMSを維持
    • 広告着地用のランディングページ群だけHubSpot CMSで作成し、A/BテストとCTA管理を集約
    • UTMパラメータとDeal(商談)を紐付け、広告ROIをCRM側で評価する
  3. ブログは既存、ナーチャリングはHubSpot上で完結させる構成

    • 記事はWordPressで制作し、CTAやバナーからHubSpotのLPへ送客
    • ダウンロード用のコンテンツやウェビナー申込をHubSpotフォームに集約
    • スコアリングとメールシナリオで、営業に渡す“ホットリード”だけを自動抽出

ポイントは、「ページ制作の自由度は既存CMSに残し、データとマーケティングHubだけHubSpotに集中させる」ことです。
この発想に切り替えると、SaaS CMSの制約を無理に突破しようとして迷走するリスクを避けつつ、HubSpotの武器であるCRM・マーケティング自動化・コンタクトデータの一元管理だけを先行導入できます。

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依頼前に必ず聞くべき質問|パートナー選定で後悔しないためのチェックリスト

「HubSpot得意です」の一言を信じるかどうかで、その後2〜3年のマーケ予算の“燃え方”が変わる。ここからは、発注前に必ず押さえたい“逆質問スクリプト”を整理する。

「HubSpotが得意です」というパートナーに投げるべき5つの質問

HubSpot CMSは、ページ制作という“見える部分”より、移行設計・データ設計・運用設計で差がつく。面談では、次の5問で相手の実力を炙り出すと早い。

  1. 「WordPress+HubSpotの二重運用案件」を何件やりましたか?落とし穴は何でしたか?
  2. テーマ選定時に、HubL・モジュール構造はどう設計しますか?図にして説明できますか?
  3. SEOエージェンシーと組むとき、WordPress前提の施策と衝突した経験はありますか?どう整理しましたか?
  4. 権限設計とワークフロー(下書き→レビュー→公開)は、HubSpot上でどう実装しますか?
  5. 移行後90日・半年後にどんなKPIとレビュー項目で“成功/失敗”を判定しますか?

この5問に対して、具体的な案件数・失敗談・画面イメージまで出てくれば、少なくとも「HubSpot CMS初心者の制作会社」ではないと判断できる。

見積もりのどこを見れば、期間・成果・サポート体制のリアルが把握できるか

同じ金額でも、どこに工数を割いているかで結果はまったく変わる。チェックすべきは次の3ブロックだ。

  • 設計: 構造診断、URL設計、データフィールド設計の行数と単価

  • 実装: テーマ/テンプレート制作、モジュール開発、HubL・CSS調整

  • 運用・教育: トレーニング、マニュアル、30〜90日の伴走サポート

行項目にあると安心な要素 要注意ポイント
サイト構造診断(既存CMS・ドメイン・言語構成の棚卸し) 「HubSpotセットアップ一式」で内訳がない
データモデル設計(フォーム・コンタクトプロパティ・デール) SEO・トラッキング設計が行単位で分かれていない
権限設計・運用ルールワークショップ 教育・運用項目が「簡易レクチャー」だけ
90日レビュー+改善提案レポート 公開後サポートが「不具合対応のみ」

設計と運用が薄く、制作だけ厚い見積もりは、WordPress感覚の会社であるサインになりやすい。

BtoBと店舗ビジネス、それぞれのケーススタディから学ぶパートナーの選び方

同じHubSpot CMSでも、BtoB SaaSと店舗ビジネスでは見るべきポイントが変わる。

ペルソナ 重視すべき実績・質問
BtoB SaaSマーケティングマネージャー ・ABMやスコアリングを前提に「ブログ→ホワイトペーパー→営業案件」まで追った経験があるか
・Sales Hub側(Deal・パイプライン)の設計とセットで話せるか
店舗・サービス業Web担当 ・Instagram広告→LP→予約フォーム→来店の導線をHubSpotで組んだ事例があるか
・複数店舗・多言語でのコンテンツグルーピング経験があるか

BtoBなら営業プロセスを語れること、店舗ならSNS〜予約〜リピートの“線”を描けることが最低ラインになる。
ポートフォリオの「見た目のきれいさ」ではなく、「データがどこからどこへ流れているかを図で説明してもらえるか」を基準にパートナーを選ぶと、HubSpot CMSは一気に“売上を作るインフラ”に変わる。

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執筆者紹介

公開情報と一般化可能な業界知見のみを基に、HubSpot CMS/CRM連携とWordPressからの移行設計を専門領域としてナレッジ整理を行う執筆者です。部分移行や二重運用、テーマ・モジュール設計、SEO・計測設計、パートナー選定といった論点を、特定企業の宣伝ではなく「読者が自社判断に使える実務基準」として体系化することを目的に、本ガイドを作成しています。※具体的な社名・人数・売上などの実績数値は本記事では開示していません。

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