情報漏洩の全てがわかる!原因や事例と損害賠償まで完全実務ガイド

Digital Port
スポンサーリンク

自社の「情報漏洩対策は大丈夫だろう」と感じているときほど、実務ではすでに危険な穴が空いています。メール誤送信やクラウド設定ミス、退職者アカウント放置といった地味なミスは、情報漏洩ニュースにならないだけで、日常的に発生しています。本稿の結論は明確です。高価なセキュリティ製品より先に、人とルールとクラウド設定を正しく整理した企業だけが、情報漏洩と損害賠償のリスクを現実的なコストで抑えられます。

この記事では、情報漏洩とは何かの基礎から、個人情報漏洩と機密情報流出の違い、情報漏洩 英語表現(データブリーチ)までを一度で整理します。そのうえで、最近の情報漏洩ニュースや情報漏洩原因ランキングの数字に振り回されず、自社のどこが本当に危ないのかを炙り出します。スマホ情報漏洩やフリーwifi、クラウド情報漏洩、テレワーク情報漏洩など、現場の「業務あるある」から具体的な対策に落とし込みます。

さらに、情報漏洩したらどうなるのかを、お金と時間と信用で分解し、情報漏洩 損害賠償やお詫びメール対応の現実、個人情報漏洩されたらどこに相談すべきか、個人情報保護委員会や警察への報告ラインまで、実務担当が迷いやすいポイントを道筋として示します。経営者や情シス兼務の担当者が、今日から社内で議論を始められるレベルまで、一気通貫で情報を整理したガイドです。

スポンサーリンク
  1. 情報漏洩とは何かを一度で理解するためのシンプル整理帳(読み方や英語もここで完結)
    1. 情報漏洩とは何かと情報漏えいの違いを「ざっくり三行」で押さえる
    2. 個人情報漏洩と機密情報漏洩と営業秘密流出は何が違うのか
    3. 情報漏洩の英語表現と業界で使われる用語(データブリーチなど)のリアルな使われ方
  2. 最近の情報漏洩ニュースから見える「本当の怖さ」と中小企業に迫る現実
    1. 有名企業の情報漏洩事例から読み解く「ニュースにならない部分」のダメージ
    2. 病院や学校や自治体の情報漏洩ニュースに共通する、現場ならではの落とし穴
    3. 中小企業や在宅ワークでも起きうる情報漏洩事例を業界目線で分解する
  3. 情報漏洩原因ランキングにだまされないための「3つの真実」
    1. 不正アクセスよりも怖い「誤送信と紛失と設定ミス」という身近な情報漏洩
    2. 情報漏洩原因をうっかりミスと設計ミスと内部不正の三層で見直す
    3. 東京商工リサーチやIPAのデータから読む「数字の裏側」と中小企業の盲点
  4. 情報漏洩を起こすと企業と個人には何が降りかかるのか(損害賠償と警察と信用の話)
    1. 情報漏洩したらどうなるのかを「お金」と「時間」と「信用」で分解する
    2. 個人情報漏洩されたら個人はどこに相談すべきかと企業はどこまで責任を負うのか
    3. 情報漏洩損害賠償とお詫びメールと会見対応で実務担当が直面するリアル
  5. スマホやwifiやクラウドで情報漏洩が起きる日常シーンを「業務あるある」で切り取る
    1. スマホ情報漏洩とフリーwifiとパスワード漏洩メールが交差する危ない瞬間
    2. クラウド情報漏洩やオンラインストレージ情報漏洩が起きるのはこんな設定ミスのとき
    3. テレワーク情報漏洩と在宅勤務の「家庭内LAN」というグレーゾーン
  6. 情報漏洩を防ぐために今日から変えられる「人とルール」のミニマム対策
    1. メール情報漏洩と紙の持ち出しを減らすための現場ルールとチェックリスト
    2. パスワード漏洩を招きやすい古い常識をまず捨てる(定期変更より大事なこと)
    3. 内部不正による情報漏洩を防ぐための権限設計と退職者アカウントの見直し
  7. ツールだけに頼らない情報漏洩対策とUTMやクラウド設定の現実的な攻め方
    1. 情報漏洩対策をUTMとエンドポイントとクラウド設定でどう役割分担するか
    2. web会議やチャットやオンラインストレージの「やってはいけない」使い方
    3. ログ管理やDLPが本当に役に立つのはどんな場面なのかという業界人の視点
  8. 情報漏洩が起きた瞬間の24時間で何をするか(個人情報保護委員会や警察への対応ライン)
    1. 情報漏洩されたかもしれないと気づいた瞬間の初動チェックリスト
    2. 個人情報保護委員会への報告が必要になる可能性があるケースの見極め方
    3. 社外への公表やお詫びメールを出す前に社内で必ず整理しておくべき三つのポイント
  9. DXとテレワーク時代の情報漏洩リスクと付き合うための「現実解」とDigital Portの視点
    1. DX推進やクラウド化が進むほど情報が散らばるという逆説にどう向き合うか
    2. web制作とシステム開発とオフィスインフラを一緒に見ると分かる情報漏洩の全体像
    3. 経営者と担当者が「情報が漏れないオフィス」を設計するために押さえたい相談の勘所
  10. この記事を書いた理由

情報漏洩とは何かを一度で理解するためのシンプル整理帳(読み方や英語もここで完結)

会社の財布も信用も、一晩で空っぽにしかねないのが情報漏洩です。難しく聞こえますが、ポイントさえ押さえれば「どこから守ればいいか」が一気に見えてきます。

情報漏洩とは何かと情報漏えいの違いを「ざっくり三行」で押さえる

まず最初に押さえたいのは、言葉より中身です。

  • 意味はどちらも「守るべき情報が、許可していない相手に伝わってしまうこと」です

  • 漢字の「漏洩」と「漏えい」は表記が違うだけで、法律やガイドラインでもほぼ同じ意味で使われます

  • 実務では「外部に出たかどうか」だけでなく、「社内の見てはいけない人が見た」ケースも含めて問題になります

情報セキュリティの現場では、紙の名簿を落としたミスも、サーバへの不正アクセスも、どちらも情報漏洩として扱います。「悪意の攻撃だけが問題」ではなく、担当者のうっかり操作も同じ土俵で管理すべきなのが現実です。

個人情報漏洩と機密情報漏洩と営業秘密流出は何が違うのか

同じ「漏れた」で片付けると、対応を間違えます。中身によって、責任も報告先も変わるからです。

種類 主な中身 主なリスク ありがちな発生パターン
個人情報の漏洩 氏名、住所、メール、クレジット情報など 損害賠償、監督機関への報告、信用失墜 顧客リストの誤送信、クラウド設定ミス、端末紛失
機密情報の漏洩 設計図、顧客リスト、見積や契約書など社内限定情報 取引先離脱、入札失敗、競合優位の喪失 間違った共有リンク、USB持ち出し、紙書類の放置
営業秘密の流出 技術ノウハウ、製造プロセス、価格戦略など公にしていない重要情報 特許・市場優位の喪失、訴訟、長期的な利益減少 退職者による持ち出し、内部不正、標的型攻撃

現場でよくあるのは、「ただの名刺データだから大したことない」と軽く見てしまうパターンです。名刺は個人情報に当たる可能性が高く、件数や内容によっては個人情報保護関連の法令上の報告や説明が求められるケースもあります。

私の視点で言いますと、最初のヒアリングでは多くの企業が「うちは個人情報は少ない」と答えますが、掘り下げると顧客管理システム、メール、チャット、クラウドストレージに同じ情報がばらばらに保存されていることがほとんどです。この「どこに何があるか分からない状態」が、対策を難しくしています。

情報漏洩の英語表現と業界で使われる用語(データブリーチなど)のリアルな使われ方

海外ニュースやクラウドサービスの管理画面では、英語表現で状況が書かれていることが多いです。意味を押さえておくと、経営会議でも一歩リードできます。

  • data breach

    セキュリティ業界で最もよく使われる表現で、「データの侵害」「情報が外部に出た事故」のことです。顧客情報が盗まれたニュースでは、ほぼこの表現が使われます。

  • information leakage / data leakage

    漏れ出している状態や仕組み上のスキを指すときに使われやすい言葉です。たとえば「クラウド設定が原因のdata leakage」と書かれていれば、「設定ミスで誰でも見える状態になっている」といったイメージになります。

  • incident / security incident

    まだ被害が確定していない「疑い」も含めた幅広い事件・事故を指します。社内報告やCSIRTの文脈では「インシデントとして扱う」という言い方をします。

中小企業の管理者の方が見落としがちなのは、海外製クラウドから届く「your account may have been involved in a data breach」といった通知メールです。これは「もしかすると自社のパスワードやメールアドレスが流出した可能性がある」というシグナルで、パスワード変更やログ確認など、早めの対応が必要なサインになります。

こうした用語と意味を押さえることで、ニュースで報じられている事件を「うちに引き寄せて」判断できるようになります。次の章では、このニュースがなぜ他人事ではないのかを、具体的な事例から立体的に見ていきます。

スポンサーリンク

最近の情報漏洩ニュースから見える「本当の怖さ」と中小企業に迫る現実

ニュースを見て「うちは小さい会社だから関係ない」と感じているとしたら、そこが一番危ないポイントです。表に出るのはごく一部で、現場ではニュースにならないレベルのヒヤリハットが静かに積み上がっています。

有名企業の情報漏洩事例から読み解く「ニュースにならない部分」のダメージ

大手企業の事件は、流出件数やサイバー攻撃の手口に注目が集まりがちですが、現場の担当者が本当に疲弊するのは次の部分です。

  • どのデータが、いつ、どの経路で出たのかの特定

  • 顧客への説明資料やQ&Aの作成

  • 取引先からの問い合わせ対応と再発防止策の説明

私の視点で言いますと、被害そのものより「業務が数週間止まること」が最大の損失になりやすいです。平常業務に加えて、社内調査、ログ解析、保護法への対応、保険会社や弁護士との調整が一気に降ってきます。

発覚から数日の間に、次のようなタスクが雪崩のように発生します。

  • システムやクラウドの一時停止判断

  • 顧客・従業員・取引先のリスト整理

  • 行政機関への報告内容の整理

  • メディアからの問い合わせ対応

この「見えないコスト」は決算書には出てこないため、ニュースだけ追っていると危険度を過小評価しがちです。

病院や学校や自治体の情報漏洩ニュースに共通する、現場ならではの落とし穴

医療機関や教育機関、自治体の事件には、企業とは違う落とし穴があります。共通するのは「善意でやった作業が重大事故につながる」という構図です。

代表的なパターンをまとめると次のようになります。

現場のつもり 実際に起きるリスク
自宅で作業しやすいようにUSBにコピー 紛失で住民データ丸ごと流出
先生同士で共有しやすいようにクラウドにアップ 権限設定ミスで全校生徒の情報が外部から閲覧可能
患者家族に素早く連絡するための一斉メール アドレスの誤設定で全員分のアドレスが露出

これらは悪意のある行為ではなく、むしろ「仕事を早く、丁寧に進めよう」とした結果起きています。問題は、IT部門が弱い組織ほど、個人の工夫に依存してしまう点です。

病院や学校では、守るべき情報が「病歴」「成績」「住所や家族構成」といった、極めてセンシティブな個人情報であることも重くのしかかります。顧客というより、患者や児童・生徒という立場のため、社会的批判も強くなりやすいのです。

中小企業や在宅ワークでも起きうる情報漏洩事例を業界目線で分解する

中小企業のニュースは大きく取り上げられにくいですが、実際には次のようなケースが頻発しています。

  • 営業担当が、別案件の見積書を誤って他社へメール送信

  • 前任者のクラウドアカウントが退職後も生きていて、外部から顧客リストにアクセス可能

  • 在宅勤務中に自宅PCを家族と共用し、顧客データを保存したフォルダが無防備な状態で放置

中小企業の現場で顕在化しやすい構造を整理すると次の3点に集約されます。

  • どこに何のデータがあるかを誰も全体把握していない

  • 退職者や協力会社のアカウント整理が後回し

  • テレワーク端末や家庭内LANのセキュリティ設計が曖昧

特に在宅ワークでは、会社としてはVPNやクラウドでセキュリティ対策をしたつもりでも、実際には家庭用ルーターの初期パスワード放置や、私物スマホへのデータ転送が抜け穴になります。

ここを放置すると、サイバー攻撃より先に「メール誤送信」「USB紛失」「共有リンクの設定ミス」といった身近なミスから、静かにブランドと信用が削られていきます。経営者目線で見るべきなのは、派手な攻撃手法ではなく、自社の日常業務のどこにこうしたスキが潜んでいるかという一点です。

スポンサーリンク

情報漏洩原因ランキングにだまされないための「3つの真実」

ニュースのランキングだけ眺めて「不正アクセス対策のツールを入れれば安心」と感じていると、現場では一番多い穴を空けたままになります。ここでは、経営会議でそのまま使える視点で、本当の優先順位を整理します。

不正アクセスよりも怖い「誤送信と紛失と設定ミス」という身近な情報漏洩

東京商工リサーチやIPAの公表事例を追っていくと、華やかなサイバー攻撃よりも、地味なミスが積み重なっている現実が見えてきます。典型パターンを整理すると次の通りです。

類型 よくあるシーン 何が起きているか
誤送信 メールのCCとBCCを間違える 取引先一覧や顧客アドレスが一斉開示される
紛失 ノートPCやUSBを持ち出して移動 暗号化やパスワードがなく、中身を見られる
設定ミス クラウドストレージの共有リンク 社外からも閲覧可能な状態で放置される

現場で相談を受けると、最初の一言は「まさか自分がやるとは思っていなかった」です。攻撃ではなく、日常業務の延長線上で発生している点がポイントです。
特にテレワークやスマホ業務が増えた企業では、フリーWi-Fi利用や家庭内LAN経由のアクセスが絡み、紛失と設定ミスが複合するケースも目立ちます。

情報漏洩原因をうっかりミスと設計ミスと内部不正の三層で見直す

原因ランキングをそのまま眺めるより、「どこで止めるか」という観点で三層に分けた方が対策の順番が決めやすくなります。

中身 優先してやるべきこと
うっかりミス 誤送信、添付忘れ、紙の置き忘れ メール送信前のダブルチェックルール、紙の持ち出し申請
設計ミス 権限設定の甘さ、退職者アカウント放置 アカウント棚卸し、フォルダ単位のアクセス権整理
内部不正 持ち出し、競合への営業秘密流出 ログ監視、重要データへの持ち出し制限と社内規程

私の視点で言いますと、企業がツール導入に走る前に、この三層を一度ホワイトボードに書き出して「自社はどこがスカスカか」を確認すると、投資の順番がかなりクリアになります。
特に見落とされやすいのは設計ミスです。テレワーク開始時に急いで導入したクラウドサービスが、そのまま運用フェーズに入ってしまい、「誰がどこにアクセスできるか」を説明できる人がいない組織は少なくありません。

東京商工リサーチやIPAのデータから読む「数字の裏側」と中小企業の盲点

公的機関の統計を追うと、多くの年度で人的要因が上位を占める傾向が出ています。しかし、中小企業の現場で話を聞くと、次のような認識ギャップが見えてきます。

現場の思い込み 実際に起きていること 本来の打ち手
うちは狙われない ランサムウェアでなくメール誤送信が連発 まずはメール運用ルールと送信保留機能
ツールがあれば安全 UTMを入れているが退職者アカウントが残存 アカウント管理フローの整備
紙を減らせば安全 ペーパーレスでクラウドへ集約した結果、共有リンクの権限ミスが増加 クラウド権限の定期レビューと教育

ランキングの数字だけを追うと、「不正アクセス対策を強化しよう」という話になりがちですが、数字の裏には中小企業特有の構造があります。
・専任の情シスがいない
・総務や経理がIT管理を兼務している
・DXやクラウド化を急いだ結果、データの所在を誰も説明できない

この三拍子がそろうと、攻撃そのものより「どこに何の情報があるか分からない」ことが最大のリスクになります。
まずは、利用しているクラウドサービス、保存されているデータの種類、アクセスできる従業員を一覧化し、上の三層モデルに当てはめてみてください。ランキングよりも、自社の棚卸しリストの方が、よほど強力なリスクレーダーになります。

スポンサーリンク

情報漏洩を起こすと企業と個人には何が降りかかるのか(損害賠償と警察と信用の話)

「データが外に出ても、謝って終わりでしょ?」と考えていると、現場では一瞬でゲームオーバーになります。ここでは、事故後に企業と個人に何が起きるのかを、数字と現場オペレーションの目線で整理します。

情報漏洩したらどうなるのかを「お金」と「時間」と「信用」で分解する

事故が起きた瞬間から、経営と現場を襲うのは次の3つです。

  • お金:調査費用、システム改修、コールセンター設置、損害賠償、顧客へのお詫び対応費

  • 時間:役員・管理職・担当者が数週間〜数ヶ月、通常業務そっちのけで対応

  • 信用:取引停止、入札除外、採用への影響、ネット上の炎上やアーカイブ記事による長期ダメージ

代表的な影響を整理すると、イメージがつかみやすくなります。

項目 内容 現場のポイント
お金 調査委託費、再発防止ツール、損害賠償 一度の事故で数年分のセキュリティ投資額を超えることもある
時間 社内調査、機関への報告、顧客対応 総務や情シスが通常業務を止めて張り付きになる
信用 契約解除、メディア報道、採用難 朝日新聞や日経のニュースに残り続け、検索するとずっと出てくる

私の視点で言いますと、経営者が一番後悔するのは「ツール代をケチったこと」ではなく、「情報管理の棚卸しとルールづくりを後回しにしたこと」です。

個人情報漏洩されたら個人はどこに相談すべきかと企業はどこまで責任を負うのか

個人の立場と企業の立場で、動くべき窓口は大きく変わります。

個人が取りうる相談先の例

  • 事故を起こした企業の窓口(問い合わせフォームやコールセンター)

  • 消費生活センターや国民生活センター

  • 弁護士会の法律相談

  • 必要に応じて警察(なりすまし被害、ストーカー被害などの犯罪性がある場合)

一方で企業側は、個人情報保護法との関係から、次のポイントを押さえる必要があります。

  • 氏名、住所、連絡先、クレジットカード情報など、どのレベルのデータが外部に出たのか

  • 不正アクセスか、従業員の操作ミスか、USB紛失のような物理的な流出か

  • 個人情報保護委員会への報告が必要な規模かどうか

  • 再発防止策まで含めて、社外説明ができる状態か

企業が「調査中です」「詳細はお答えできません」を繰り返すほど、利用者は行政機関や弁護士への相談に踏み切りやすくなります。初期段階での誠実な情報開示と、時点ごとの進捗説明が、後のトラブル抑制に直結します。

情報漏洩損害賠償とお詫びメールと会見対応で実務担当が直面するリアル

事故対応の最前線に立つのは、多くの場合総務・法務・情報システム担当です。ここで何が起きるかを、時系列で整理します。

発生直後〜数日

  • システムログやメール送信履歴、アクセス権限を緊急確認

  • 外部のセキュリティベンダーやIT事業者へ技術調査を依頼

  • 個人情報保護委員会や所管行政機関への報告要否を社内で検討

  • 役員向けの速報レポート作成

事実判明後

  • 影響を受けた件数と情報の種類を特定

  • 顧客リストを元にお詫びメールや郵送文書の原稿作成

  • コールセンターFAQの作成と、オペレーターへの教育

  • 保険会社や顧問弁護士との協議(損害賠償の範囲や基準)

報道・会見フェーズ

  • 社長や担当役員のコメント案作成

  • 朝日新聞社や日経など主要メディアからの取材対応

  • サイトやPDF文書での経緯説明ページの公開

  • SNSでの批判や誤情報へのモニタリングと是正

この間、社内の従業員は「自分たちが責められている」という心理的ストレスにさらされます。情報管理の問題を個人攻撃にせず、アクセス権限やシステム設計、組織全体の管理体制の課題として捉え直せるかが、再発防止と人材流出防止の分かれ目になります。

最終的に問われるのは、「事故をゼロにできたか」ではなく、「事故発生後に、どれだけ早く、正確に、誠実に動いたか」です。この視点で準備しておくと、もしもの時のダメージを最小限に抑えられます。

スポンサーリンク

スマホやwifiやクラウドで情報漏洩が起きる日常シーンを「業務あるある」で切り取る

スマホとフリーwifiとクラウドサービス。どれも仕事を速くする武器なのに、組み合わせを間違えた瞬間に会社の資産が一気に外部へ流れ出します。現場で相談を受ける立場の私の視点で言いますと、「サイバー攻撃より、いつもの習慣」が本当のリスクになっているケースが非常に多いです。

ここではニュースになりにくい、しかし企業にダメージを与える三つのシーンを業務あるあるとして分解します。

スマホ情報漏洩とフリーwifiとパスワード漏洩メールが交差する危ない瞬間

一番多いのは、営業担当のスマホで仕事とプライベートがごちゃ混ぜになっているパターンです。

代表的な流れを時系列にすると次のようになります。

  1. 出先でカフェのフリーwifiに接続
  2. 私用スマホで会社のメールとクラウドにアクセス
  3. 「パスワードが漏洩しました」というフィッシングメールを開封
  4. 誘導された偽サイトに会社のIDとパスワードを入力
  5. 攻撃者が本物のクラウドへ正規ログインして顧客データを閲覧

ポイントは、端末が私物で、通信がフリーwifi、認証がIDとパスワードだけという三重苦になっていることです。

最低限、次のルールを決めておくとリスクをぐっと下げられます。

  • 公共wifiから業務システムへアクセスしない

  • スマホは画面ロックとリモートワイプを必須にする

  • パスワード漏洩メールは「本文のURLを踏まない」を鉄則にする

クラウド情報漏洩やオンラインストレージ情報漏洩が起きるのはこんな設定ミスのとき

クラウドストレージやオンラインストレージは、設定一つで「社内金庫」から「誰でも出入り自由な倉庫」に変わります。現場でよく見るのは次の三つです。

設定ミスのパターン 何が起きるか ありがちな原因
リンクを知っていれば誰でも閲覧可 URLを転送された第三者が顧客リストを閲覧 期限付きリンクを使わない
社外協力会社に編集権限を付与 外部PCにファイルをコピーされ持ち出される 権限テンプレートを用意していない
退職者アカウントを放置 退職後も自宅から営業データへアクセス アカウント棚卸しをしていない

クラウドの怖さは、「侵入される」前に「招き入れてしまう」ところにあります。アクセス権限は次の順番で見直すと整理しやすくなります。

  • 誰がどのフォルダに「閲覧だけ」できるか

  • 誰が「アップロードや編集」までできるか

  • 社外アカウントをどこまで許可するか

  • 退職者と異動者の権限がいつ消えるか

この設計が曖昧な状態でセキュリティツールだけ強化しても、蛇口が開いたままのタンクに蓋を増やしているようなものです。

テレワーク情報漏洩と在宅勤務の「家庭内LAN」というグレーゾーン

テレワークが増えると、会社のネットワークの外にもう一つ見えにくいネットワークが生まれます。それが家庭内LANです。ここが盲点になっている企業は非常に多くなっています。

家庭内LANで起きやすいパターンを整理します。

  • 家族共有PCから業務データにアクセスし、ブラウザにパスワードを保存

  • 子どものゲーム機やスマート家電が古いwifiルーターにぶら下がったまま

  • 在宅勤務用PCにUSBメモリで私用データを持ち込む

特に古いルーターの初期設定のまま利用していると、外部から家庭内LANへアクセスされるリスクが高まります。テレワーク規程を作る際は、次のような「家庭側のチェック項目」まで含めると現実的です。

  • wifiルーターの管理パスワードとSSIDを初期値から変更しているか

  • 業務用PCは家族と共有しない運用になっているか

  • 自宅から社内システムへはVPNやゼロトラスト製品経由で接続しているか

会社側が管理できない領域だからこそ、ルールとチェックリストで最低ラインを定義することが重要です。テレワークを進めるほど情報は散らばりますが、散らばり方を設計できれば、攻撃者から見た入り口を大きく減らすことができます。

スポンサーリンク

情報漏洩を防ぐために今日から変えられる「人とルール」のミニマム対策

「高価なセキュリティ製品より、今日決めるルールのほうが効く」。業界で長く現場を見ていると、これはかなりリアルな実感です。ここでは、人とルールに絞った“今すぐ変えられる一歩”を整理します。

メール情報漏洩と紙の持ち出しを減らすための現場ルールとチェックリスト

メール誤送信と紙の置き忘れは、どの企業でも発生件数トップクラスです。技術ではなく運用でかなり減らせます。

まずは、最低限のルールを3つに絞るのがポイントです。

  • 外部宛てメールは、送信前に「宛先」と「添付ファイル名」を声出し確認する

  • メールで共有が必要なファイルは、原則クラウドの共有リンクを利用し、パスワード付きZIPに頼らない

  • 紙で社外に持ち出せるのは「誰が何の目的で」を事前申請したものだけにする

私の視点で言いますと、多くの会社はルールを10個も20個も作って守られなくなります。まずは3つに絞り、徹底度を上げるほうが結果的に被害を抑えやすいです。

社内でそのまま使える簡易チェックリストのイメージは次の通りです。

シーン 最低限チェックするポイント
外部宛てメール送信前 宛先は本当にその人か、CCとBCCは逆になっていないか、添付は最新版か
会議資料の印刷時 機密区分の明記はあるか、部数は最小か、配布後の回収方法は決まっているか
外出時の持ち出し 必要なページだけ印刷しているか、紛失時の連絡先を記載しているか

まずはこの表を自社用に書き換え、A4一枚で各部署に貼るだけでも「うっかり」を大きく減らせます。

パスワード漏洩を招きやすい古い常識をまず捨てる(定期変更より大事なこと)

パスワードの話になると、いまだに「3か月ごとに変更」が最優先だと考える企業が多いですが、今の攻撃パターンを踏まえると優先度は下がっています。大事なのは次の3点です。

  • 長くて推測されにくいパスフレーズを使う(例として「短い記号だらけのパスワード」より「意味のない日本語+数字の組み合わせ」のほうが強いケースが多いです)

  • 使い回しをやめるためにパスワード管理ツールを会社として許可し、推奨する

  • 重要なクラウドサービスとメールアカウントには多要素認証を必ず設定する

「定期変更」ばかりを求めると、社員はメモ帳や紙に書き始め、却ってリスクが上がります。攻撃者が狙うのは一度盗んだIDとパスワードの再利用ですから、「長くて強いこと」と「サービスごとに違うこと」に投資したほうが合理的です。

パスワード管理に関するルールは、技術用語を使わず次のように伝えると現場に浸透しやすくなります。

  • 仕事で使うIDとパスワードは、自分の財布と同じレベルで管理する

  • 財布の鍵は1本にしない(複数サービスで使い回さない)

  • 銀行口座にあたるクラウドサービスには、鍵を2本用意するイメージで多要素認証を使う

内部不正による情報漏洩を防ぐための権限設計と退職者アカウントの見直し

ニュースになる大事件の裏で、現場でじわじわ効いているのが「権限のつけすぎ」と「退職者アカウントの放置」です。テレワークとクラウドが広がった今、この2つを放置すると内部からの流出リスクが一気に高まります。

まず、社内のデータとシステムを次の3段階に分けて考えます。

  • レベル1: 社外に出てもしばらくは問題が小さい情報(一般公開前のチラシ案など)

  • レベル2: 顧客データや見積書のように、出ると信用低下や損害につながる情報

  • レベル3: 営業秘密や給与データのように、漏れた瞬間に重大な被害が想定される情報

このレベル3だけでも、次のルールを決めておくと内部不正のハードルが一気に上がります。

  • 閲覧できる人数を「役割単位」で限定し、個人ごとに理由を説明できる状態にしておく

  • USBや私物パソコンへのコピーを禁止し、クラウドと社内システムだけで扱う

  • ログを誰がどの粒度で見るかを決め、少なくとも「退職前後」のアクセスだけは必ず確認する

同時に、退職者アカウントは棚卸しリスト化が不可欠です。最低でも次の3つは一覧にしておくと、異動や退職のたびに迷わず止められます。

  • 社内メールとグループウェア

  • 主要クラウドサービス(オンラインストレージやチャット、プロジェクト管理ツールなど)

  • 社外ベンダーが発行している管理用アカウント

権限とアカウントの整理は地味で面倒ですが、ここが片付いている組織は、UTMやエンドポイント製品の効果も素直に出やすくなります。まずは「誰が」「どのデータに」「どのIDで」アクセスしているのかを紙と表で見える化するところから着手すると、次に投資すべき対策も自然と見えてきます。

スポンサーリンク

ツールだけに頼らない情報漏洩対策とUTMやクラウド設定の現実的な攻め方

「とりあえずセキュリティ製品を入れれば安心」という発想のままだと、穴だらけの船に高級エンジンを積んでいる状態のままです。ここでは、UTMやエンドポイント、クラウド設定をどう組み合わせるかを、現場目線で整理します。

情報漏洩対策をUTMとエンドポイントとクラウド設定でどう役割分担するか

私の視点で言いますと、相談を受ける企業の多くはツール同士の役割分担があいまいです。その結果、手前の穴は空いたまま、高度な攻撃だけを気にしてしまいます。

まずは三つのレイヤーに切り分けて考えると整理しやすくなります。

レイヤー 主なツール例 役割 向いているリスク
ネットワーク境界 UTM, ファイアウォール 通信の入り口でふるいにかける 不正アクセス, マルウェア配信
端末・ユーザー EDR, ウイルス対策, MDM PCとスマホを監視・制御する 添付ファイル感染, USB持ち出し
クラウド・アプリ アクセス制御, 権限設定, SSO 誰がどこまで見られるかを決める 誤共有, 退職者アカウント放置

中小企業で優先すべきは、クラウドとアカウントの棚卸し→端末管理→UTMの高度化の順番です。UTMだけ強化しても、クラウドの共有リンクが「社外フル公開」のままでは本末転倒です。

web会議やチャットやオンラインストレージの「やってはいけない」使い方

最近の漏洩相談で増えているのが、サイバー攻撃よりもコラボツールの使い方ミスです。次のような運用は、業界人から見るとかなり危険な部類に入ります。

  • web会議で画面共有する際に、デスクトップ全体を共有する

  • チャットにパスワードやマイナンバーなどをそのまま貼り付ける

  • オンラインストレージのリンクを「リンクを知っている全員」に設定したまま使い回す

  • 社外ゲストを招いたチャンネルで、社内向けの人事情報や原価表まで共有する

これらは、攻撃というより日常業務の延長で起きる「設計ミス」です。最低限、次のルールを文書として決めておくと事故率は大きく下がります。

  • 画面共有は「アプリ単位」限定を基本とする

  • チャットに書いてよい情報のレベルをサンプル付きで定義する

  • ストレージの既定権限は「組織内限定」に固定し、変更できる権限者を絞る

  • 社外ゲスト用のスペースと社内専用スペースを物理的に分ける

どれもソフトウェアを替える話ではなく、使い方と権限設計の話です。ここに手をつけないまま高価なツールに投資するのは、非常にもったいない状態といえます。

ログ管理やDLPが本当に役に立つのはどんな場面なのかという業界人の視点

ログ管理やDLPは「入れておけば安心」という魔法の箱ではありません。役立つ場面はかなりはっきりしています。

  • 退職直前の大量ダウンロードやUSBコピーを検知したい時

  • 内部不正が疑われ、誰がいつどのファイルにアクセスしたか証跡が必要な時

  • 誤送信やクラウド共有ミスが「どこまで広がったか」を後追いで把握したい時

逆に、次のような状態で導入しても、期待した成果は出にくいです。

  • 社内に、ログを継続的に確認する担当者も時間もいない

  • どの情報が機密かラベリングしておらず、DLPの検知ルールを決められない

  • 端末やクラウドの構成管理がバラバラで、ログを集約しても全体像がつかめない

ログ管理やDLPは「あとから振り返るためのカメラ」です。カメラをつける前に、どの部屋を映したいのか、どの行為を不正として扱うのかを決めておかないと、単なる「大量の映像データ保管庫」になってしまいます。

中小企業が現実的に攻めるなら、次のステップが無理のないラインです。

  1. PCとクラウドの利用状況を棚卸しし、重要データの置き場を絞り込む
  2. その置き場に対してだけ、アクセスログと操作ログをしっかり残す設定にする
  3. 週1回10分でもよいので、担当者が「異常な動きがないか」をチェックする簡易ルーチンを作る

この流れを固めてから、本格的なDLPやログ分析ツールを導入すると、費用対効果も説明しやすくなります。ツールはゴールではなく、人とルールを支える増幅装置として位置づけると、情報資産を守る設計が一気にブレなくなります。

スポンサーリンク

情報漏洩が起きた瞬間の24時間で何をするか(個人情報保護委員会や警察への対応ライン)

頭が真っ白になる瞬間こそ、勝負は「最初の24時間」で決まります。ここで迷走すると、被害そのものよりも後処理のミスで信用を失うケースを何度も見てきました。

情報漏洩されたかもしれないと気づいた瞬間の初動チェックリスト

最初の1〜3時間は、「原因追及よりも出血を止める」が鉄則です。私の視点で言いますと、この段階でヒーローになろうとして深追いし、証拠を消してしまう担当者が一番危険です。

まずは次のチェックリストに沿って、淡々と対応していきます。

  • 端末とアカウントの緊急対応

    • 怪しい端末はネットワークから切り離す(LANケーブル・WiFiを物理的に遮断)
    • 関連しそうなクラウドサービスとVPNのパスワードを一時的に変更
    • 退職者や外注のアカウントが生きていないかを同時に確認
  • 漏れた可能性がある情報の棚卸し(ラフでよい)

    • 個人情報か、機密情報か、営業秘密かをざっくり分類
    • 顧客・従業員・取引先など、影響を受ける「人」の種類をメモ
    • ファイル名やシステム名レベルで、関係しそうなデータをリストアップ
  • 証拠の保全

    • サーバやクラウド、メールのアクセスログ削除や設定変更はむやみに行わず、「変更前の状態」をスクリーンショットで保存
    • いつ・誰が・どの端末で気づいたかを時系列でメモ
    • 関係しそうなメールやチャットを削除せず、専用フォルダに退避
  • 社内の連絡ラインの確立

    • 経営層・主管部門(総務/情報システム/法務)へ、事実と不明点を分けて速報
    • 社内で問い合わせ窓口となる担当者を1人に決め、情報が分散しないようにする

この時点では「完全に漏れたかどうか」はまだ分からなくて構いません。重要なのは、後から第三者に見られても説明できる形で、対応の足跡を残しておくことです。

個人情報保護委員会への報告が必要になる可能性があるケースの見極め方

次の3〜12時間で、「どの公的機関にどこまで報告する筋合いがあるか」を見極めます。ここを曖昧にしたまま時間が過ぎると、後から「なぜ報告しなかったのか」と問われるリスクが跳ね上がります。

まずは、ざっくり次の軸で切り分けます。

  • 個人情報かどうか

    • 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
    • 顧客IDと他のデータを組み合わせると個人が特定できるケース
  • センシティブ情報かどうか

    • 健康情報、病歴、障害、クレジットカード、口座情報
    • ハラスメント・労務・人事評価などデリケートな文書
  • 外部への流出可能性

    • 外部からアクセス可能な状態になっていたか(共有リンク、誤送信メール)
    • 紛失端末に画面ロックや暗号化が設定されていたか
  • 件数と広がり

    • 数件の誤送信か、数千件規模の名簿か
    • 一部部署の限定情報か、会社全体の顧客基盤か

これを踏まえて、報告先の目安を整理すると、次のようなイメージになります。

想定される状況 優先して検討する報告先 ポイント
顧客の氏名と連絡先が入った名簿を外部に送信 個人情報保護委員会、監督官庁 件数と内容、アクセス可能性を整理して相談
健康情報やカード情報が第三者からアクセス可能な状態 個人情報保護委員会、場合によっては警察 不正アクセスの有無と被害の有無を確認
悪意ある侵入や脅迫(ランサムウェア等)が疑われる 警察、監督官庁 証拠保全を最優先し、独自調査で証拠を壊さない
自社従業員データの閲覧範囲を誤設定 個人情報保護委員会(必要性を検討) 外部流出か内部限定かで対応レベルが変わる

実務では、「報告が必要か不必要か」を自社だけで断言しようとしないことが重要です。ガイドラインや質疑応答集をあたり、グレーに感じたら早めに専門家や公的機関への相談を検討した方が安全です。

社外への公表やお詫びメールを出す前に社内で必ず整理しておくべき三つのポイント

最後の12〜24時間では、「対外説明の土台作り」を行います。ここを乱暴に進めると、謝罪メールやニュースリリースが炎上の火種になります。

最低限、次の三つは社内で握ってから対外発信へ進みます。

  1. 事実と仮説の線引き

    • 「確認できている事実」と「可能性があること」を文書上で分ける
    • 時刻・件数・対象範囲を、暫定でもよいので数値で書き出す
    • 想定される二次被害(なりすまし、迷惑電話など)も整理しておく
  2. 責任と再発防止の方向性

    • 自社の管理体制上の問題と、外部要因を切り分ける
    • 人のミスか、設計ミスか、内部不正かを一次切り分けする
    • 再発防止策を「今すぐできる応急対応」と「中長期の構造見直し」に分解
  3. 問い合わせ対応の体制

    • 顧客や取引先からの連絡窓口を一本化し、FAQを事前に整理
    • 電話・メール・Webフォームで、同じ説明ができるように台本を用意
    • 対応履歴を残す仕組み(スプレッドシートや簡易CRMなど)を決めておく

社外公表はゴールではなく、スタートラインです。DXやクラウド活用が進んだ今は、どのシステムにどの情報があるかを説明できない企業ほど、後追い調査で苦しんでいます。初動の24時間で「どの情報がどこを流れているのか」の地図を描けるかどうかが、その後数週間のダメージを左右します。

スポンサーリンク

DXとテレワーク時代の情報漏洩リスクと付き合うための「現実解」とDigital Portの視点

「DXを進めたら便利になったはずなのに、気づいたら社内の情報の居場所が誰も説明できない」
今、現場で一番よく聞く悲鳴がこれです。攻撃より先に、自社の“迷子データ”をどうするかが勝負どころになります。

DX推進やクラウド化が進むほど情報が散らばるという逆説にどう向き合うか

紙とファイルサーバー中心の頃は、「どこに何があるか」はまだ見えやすかった状態でした。ところがDX推進でクラウドやSaaSが増えると、同じ資料がメール添付、オンラインストレージ、チャット、web会議録画にバラバラに保存されます。

私の視点で言いますと、中堅企業でも次の質問に答えられないケースが珍しくありません。

  • 社外秘データが置かれているサービスは何個あるか

  • 退職者のアカウントが残っているクラウドはないか

  • 権限制御せず「URLを知っていれば誰でも閲覧」になっているフォルダはないか

この逆説に向き合う最短ルートは、ツール単位ではなく情報のライフサイクル単位で棚卸しすることです。

観点 旧来型(紙・社内サーバー) DX後(クラウド・SaaS)
情報の場所 物理的に限定 サービスごとに分散
持ち出しリスク 紙の持ち出し 共有リンク・誤招待
退職者対応 鍵とID回収 各クラウドのアカウント削除

まずは「顧客データ」「人事情報」「設計・ソースコード」など情報種別ごとに、どのクラウドで扱っているかを一覧化することが、すべての出発点になります。

web制作とシステム開発とオフィスインフラを一緒に見ると分かる情報漏洩の全体像

DXの現場では、Webサイト、業務システム、社内ネットワークが別々に語られがちです。しかし実際の漏洩リスクは、この3つの境目で生まれます。

  • Web制作側

    • 問い合わせフォームや会員サイトに顧客の個人データが集まる
  • システム開発側

    • そのデータをCRMや基幹システムに連携する
  • オフィスインフラ側

    • 社内PCやWi-Fi、UTMでアクセス経路を守る

どこか1つだけ強化しても、「フォームのデータを開発サーバーに平文で置いていた」「社外の制作会社アカウントを消し忘れた」といった抜け穴が残ります。業界人の目線で見ると、次のような構造がはっきり見えてきます。

レイヤー 典型的なリスク よくある盲点
Web 問い合わせデータの長期保存 制作会社任せのサーバー管理
アプリ・システム テスト環境への本番データ投入 アクセス権限の肥大化
オフィスインフラ 私物PC・スマホからのアクセス テレワーク用Wi-Fiの未管理

この3レイヤーを一枚の「情報フロー図」に描いてみると、誰がどの経路でどのデータを閲覧できるかが一気に整理されます。DXの議論とセキュリティ対策を同じテーブルに乗せることが肝心です。

経営者と担当者が「情報が漏れないオフィス」を設計するために押さえたい相談の勘所

経営者は「もっとDXを」「テレワークを」と言い、担当者は「これ以上ツールを増やすと現場が回らない」と悩む状況が増えています。このギャップを埋めるポイントは、オフィスを“場所”ではなく“情報のハブ”として設計し直すことです。

相談を受ける際に必ず確認している勘所を整理すると、次のようになります。

  • 人の観点

    • テレワーク中でも守れるシンプルなルールか
    • アルバイトや派遣社員にも伝わるマニュアルになっているか
  • ルールの観点

    • 情報の持ち出し可否が「データ種別単位」で決まっているか
    • 退職・異動時のアカウント停止がチェックリスト化されているか
  • ツールの観点

    • UTMやエンドポイント製品で外部アクセスは押さえられているか
    • クラウドの共有設定や多要素認証を最低ラインとしているか

これらを踏まえた上で、経営者と担当者が次のような共通ゴールを持てると、対策は一気に前に進みます。

  • 社内のどこで、どのクラウドで、どの個人データと機密情報が扱われているかを一覧化できている

  • 新しいDXツールを導入するときは、「情報の置き場所」と「アクセス権限」をセットで設計する

  • テレワーク環境でも守れる3〜5個のシンプルなルールに絞り込み、定期的に棚卸しする

攻撃の高度化を完全に止めることはできませんが、「どこに何があり、誰が触れるか」を言語化できている企業は、事故が起きても回復が早く被害も限定的です。Digital Portとしては、その設計図を一緒に描けるかどうかが、DXとセキュリティの両立を左右する分岐点だと考えています。

スポンサーリンク

この記事を書いた理由

著者 – 平井 悠介 | 株式会社アクスワン 広報 / 『Digital Port』編集・運営

このテーマを書こうと思ったきっかけは、華やかなDX案件の裏側で「情報漏洩一歩手前」の相談が増え続けている現場の空気です。2020年以降、当社が継続的に関わった企業はおよそ80社ありますが、そのうち情報漏洩対策をテーマにした打ち合わせを行った先が3割を超えています。ところが、多くの経営者は「うちはUTMを入れているから大丈夫」と安心していました。
印象に残っているのは、ある50名規模の卸売業で、退職者アカウントを半年放置したままクラウドに顧客名簿が残っていたケースです。社内では誰も問題に気付かず、たまたまWeb改修のヒアリング中に判明しました。また、小規模クリニックで、職員が自宅PCと業務用クラウドを同じブラウザで開き、家族と共有していたことが発端となったヒヤリハットもありました。
共通していたのは、難しいセキュリティ用語よりも、メールの送り方やクラウド権限、退職手続きの流れといった「人とルール」のほうが抜け落ちていたことです。本稿では、こうした現場で実際に見てきた危うさを、経営者や情シス兼務の担当者が自社に当てはめて点検できる形に整理し、「ニュースになる前」の段階で手を打てる判断材料として届けたいと考えました。

Digital Port
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク