半年かけてSEO対策を続けているのに、「検索順位は少し上がったが、売上や問い合わせに効いているのか分からない」。この状態が続いているなら、すでに見えない損失が積み上がっています。失っているのは広告費だけではなく、「本来なら取り切れたはずの初回接点」と「社内での信頼」です。
多くの担当者は、SEO対策の効果を「アクセス数」と「問い合わせ件数」の一本線で見ています。この見方だと、半年頑張っても「アクセスは増えたがCVゼロだから失敗」「3カ月で結果が出ないから撤退」といった乱暴な判断になり、サイトの伸び始めを自分たちで潰してしまいます。実務では、検索順位やセッションだけを追う一般論のSEOでは、投資判断の材料として機能しません。
プロが現場で見るのは、トラフィック、質的指標、コンバージョン、事業インパクトという4階層です。この4つを期間ごとに分解し、「どこまで進んでいれば順調と言えるか」という中間ラインを引くことで、初めてSEO対策の費用対効果を評価できます。逆に言えば、この物差しがないまま「3カ月で結果が出る」といったフレーズを信じると、高確率で投資のやめどきも続けどきも誤ります。
この記事は、検索順位やオーガニック検索のセッション数といった表面的な数字ではなく、「半年後に続けるべきか、やめるべきか」を決めるための実務フレームを提供します。
- 新規ドメインか、既存サイトか、競合が強い市場かによって、何カ月目に何が見えていれば健全か
- 最初はロングテールで伸びたのに、途中で失速するサイトに共通する内部構造の欠陥
- 経営層から「SEOをやめて広告に振れ」と言われたとき、どの数字を示せば議論が成立するか
- 広告、SNSとの役割分担をどう設計すれば、SEOが「安い流入源」ではなく「営業の代替チャネル」になるか
さらに、「被リンク頼み」「量産記事頼み」「デザイン刷新で大幅下落」といった危ないSEOの後始末を通じて、何を先に直せば回復しやすいかも具体的な順番で整理しています。記事の後半では、「今のSEOは伸びている途中なのか、もう頭打ちなのか」を見分けるチェックリストと、「やめるにしても資産を殺さない」ためのソフトランディングの考え方も提示します。
この導線を頭に入れて読み進めれば、「SEO対策 効果」を感覚ではなく、投資判断として説明できるようになります。以下のロードマップをざっと眺めたうえで、自分に今いちばん必要なパートから読み込んでください。
| セクション | 読者が手にする具体的な武器(実利) | 解決される本質的な課題 |
|---|---|---|
| 記事構成の前半(効果の物差し、期間、失速パターン、現場で起きていること、他チャネル比較) | SEOの効果を4階層で評価する基準、事業タイプ別の期間レンジ、失速の初期サイン、経営層と噛み合う説明材料 | 「効果が分からないまま続ける」「3カ月で判断して失敗する」「社内でSEO投資の是非が揉める」状態から抜け出せない問題 |
| 記事構成の後半(危ないSEOの事例、判断フレーム、効く習慣) | 危険な施策を見抜く視点、続けるかやめるかの判断フレーム、毎月見るべき数字とサイト内の交通整理の手順 | 「何から手を付ければいいか分からない」「やめどきも続けどきも判断できない」「積み上げた資産を自分たちで壊してしまう」状況の解消 |
この記事を読み進めることで、「なんとなくのSEO対策」から、「半年後に後悔しない投資判断」を自分で組み立てられる状態へと切り替えていきます。
SEOの「効果がある/ない」はどこで線を引くべきか?プロが使う4階層の物差し
「セッションは増えてるのに、社長から“効果ないから広告に振ろう”と言われる」
このすれ違いは、物差しが1本しかない状態で評価しているのが原因です。
私の視点で言いますと、SEOの効果は最低でも次の4階層で切り分けておかないと、必ず議論がこじれます。
| 階層 | 何を見るか | よくある勘違い |
|---|---|---|
| 1.トラフィック | 自然検索のセッション・表示回数 | 「+20%なのに意味ない」と切り捨て |
| 2.質的指標 | 直帰率・滞在時間・閲覧ページ | 数が出にくいので無視されがち |
| 3.CV | 問い合わせ・資料DL・会員登録 | 「CVだけ」で即ジャッジ |
| 4.事業インパクト | 商談化率・受注率・LTV | 計測が面倒で誰も追っていない |
この4階層を揃えると、「どこまで来ていて、どこで詰まっているか」がやっと見えるようになります。
アクセスだけ見ても意味がない:プロが最初に見る“4つのレイヤー”
SEOのレポートを開いた瞬間、プロが最初に確認するのは次の4レイヤーの組み合わせです。
-
レイヤー1:検索結果での表示回数と平均掲載順位
-
レイヤー2:自然検索流入のCTRとランディングページの直帰率
-
レイヤー3:自然検索経由CVの件数とCV率
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レイヤー4:自然検索経由リードの商談化率・受注率・売上貢献度
ここで要注意なのが、一次情報としても頻出するパターンです。
-
サーチコンソールで表示回数は増えているのにCTRが横ばい
-
情報系キーワードだけ伸びて、指名検索が増えていない
この状態で「アクセス増えてるから成功」と報告すると、3ヶ月後に必ず「でも売上増えてないよね」で刺さります。
「問い合わせが増えない=失敗」と決めつける前に確認する指標
問い合わせが増えない時に、まず見るべきはCVの前段階です。
-
自然検索からの新規ユーザー比率
-
自然検索経由ユーザーの指名検索リピート
-
サービスLPに入る前の情報記事→LPの遷移率
問い合わせゼロでも、次のような状態なら「順調に仕込めている途中」と評価できます。
-
新規ユーザーのうち自然検索経由が全体の30〜40%まで伸びている
-
情報記事からLPへの遷移率が5〜10%出ている
-
直帰率が高かった記事が、改善後10ポイント以上下がっている
ここを見ずに「CV出てないから撤退」と判断すると、芽が出る直前で水やりをやめることになります。
社内会議で揉めないための“期待値レンジ”の決め方
SEOは「いつ・どこまで成果を求めるか」を先に決めておかないと、担当者が毎月吊るし上げられる施策になります。
最低でも、次の3軸で期待値レンジを決めておくと、会議が格段にラクになります。
-
期間軸
- 0〜3ヶ月:表示回数・ロングテール流入が増えればOK
- 3〜6ヶ月:主要カテゴリの流入増+CVの“芽”
- 6〜12ヶ月:CV数・商談数で評価開始
-
指標軸
- 前半はトラフィック&質的指標を主役に
- 後半からCV・事業インパクトへ比重を移す
-
役割分担軸
| 役割 | 何をKPIにするか |
|---|---|
| 担当者 | 流入・質的指標・導線改善 |
| マネージャー | CV数・CV単価・チャネルミックス |
| 経営層 | 商談・受注・売上インパクト |
この「どの時期に、誰が、どの階層で評価するか」を合意しておくと、半年経っても「効果が分からない」の一言で全否定されるリスクをかなり減らせます。
「3ヶ月で結果が出る」が危ない理由:期間の本当の話と、事業タイプ別の現実ライン
「3ヶ月で上位表示します」と聞いた瞬間、その提案はほぼ“短期バクチ枠”だと疑った方がいいです。SEOは、ドメインと市場の「体力」で見ないと、効果判定の物差しが完全にズレます。
新規ドメイン/既存サイト/強豪市場…タイプ別に違う“立ち上がり方”
まずは、自社サイトがどのタイプかを冷静にラベリングします。
| サイトタイプ | 状態の特徴 | 現実的な立ち上がり方 |
|---|---|---|
| 新規ドメイン | 被リンク・指名検索がゼロ | ロングテール記事と内部リンクで「信頼の土台」作り |
| 既存サイト(放置気味) | 既に多少の流入はある | 既存ページのリライトと構造改善で“眠っている評価”を起こす |
| 強豪市場のコーポレートサイト | 競合がSEOと広告に本気 | いきなりビッグワードではなく、周辺ニーズ+資料請求導線に集中 |
私の視点で言いますと、新規ドメインで「3ヶ月でCV増」を期待して炎上するケースが最も多く、逆に既存サイトのリライトは3ヶ月でも「効き目の手触り」が出やすいです。
0〜3ヶ月・3〜6ヶ月・6〜12ヶ月で、何が見えていれば順調と言えるか
「順調かどうか」は、期間ごとに見る指標を変えないと誤診します。
| 期間 | プロが見る指標 | 順調ラインの目安 |
|---|---|---|
| 0〜3ヶ月 | インデックス数・表示回数 | 対策キーワード群で表示回数がじわっと増え始める |
| 3〜6ヶ月 | クリック・滞在時間・内部回遊 | 指名検索とロングテール流入が増え、直帰率が少しずつ改善 |
| 6〜12ヶ月 | CV・商談化率・売上貢献 | 自然検索経由CVが全体の1〜3割を占め始める |
チェックすべきは、「表示回数は増えているのにCTRが横ばい」という危険サインです。これはタイトル・ディスクリプション設計が弱く、「ユーザーに選ばれていない状態」を意味します。
「いつまで続けるか?」を最初に決めないと必ずこじれる
SEO対策を始める前に、期間と期待値をセットで合意しておかないと、3ヶ月目あたりで必ず揉めます。
-
最初に決めておくべきこと
- 投資期間の前提:最低6〜12ヶ月は「育成期間」として見るか
- 中間ゴール:
- 3ヶ月目で「表示回数+インデックスの増加」を確認できているか
- 6ヶ月目で「自然検索からの初回接点が全体の何%か」を見る
- “やめる条件”も明文化:12ヶ月やっても指名検索もCVも動かない場合は、設計から見直す
ここを曖昧にすると、「アクセスは増えたのに意味がない」「広告に全部振りたい」という声が経営層から必ず出ます。SEOは、営業1人分の仕事を代替するチャネルに育てる長期投資だと位置づけた瞬間から、効果の見え方が変わります。
最初は順調だったのに…SEOが途中から失速するサイトに共通する3つの落とし穴
「アクセスは右肩上がりだったのに、ある日を境にグラフが横ばいか微減…」
多くのサイトがハマるのは、才能でも予算でもなく、構造と判断軸のミスです。
記事数は増えたのに、内部リンクと導線が“スカスカ”なパターン
記事量産で一時的に自然検索の流入は伸びるものの、サイト内の交通整理がゼロだと、SEO対策の効果は途中で必ず頭打ちになります。
よくある状態を整理するとこうなります。
| 状態 | 典型的な症状 | 失速ポイント |
|---|---|---|
| 記事量産期 | 毎月10本以上追加 | 自然流入は増える |
| 導線未整備 | サービスページへのリンクがない | CVページの閲覧が増えない |
| 後追い改修 | 半年後に内部リンク総やり直し | 工数と費用が二重払い |
内部リンクは「ページ同士の紹介状」。
検索エンジンだけでなくユーザーに対しても、次に取ってほしい行動を明示する設計がないと、滞在時間もコンバージョンも伸びません。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
-
すべての記事から、問い合わせ・資料請求などのCVページへ3クリック以内で行けるか
-
カテゴリページから、重要キーワードを狙った解説ページへ自然に誘導できているか
-
内部リンクの anchorテキストが「こちら」「詳しく」だけになっていないか
私の視点で言いますと、半年後に「内部リンク総リライト」の依頼が来る案件ほど、最初から構造設計をしていれば工数は半分で済んでいます。
ロングテールだけ伸びて、コアキーワードが一向に動かないパターン
「SEO 対策 効果」のようなコアキーワードでは順位が動かず、
「SEO 対策 効果 測定方法」「SEO 効果 期間 中小企業」といったロングテールだけが増えていくパターンも典型です。
表面的には「検索流入は増えている」のに、指名検索と売上に効かないことが多いのがこのケースです。
| 指標 | ロングテール偏重サイト | バランスが良いサイト |
|---|---|---|
| 自然検索セッション | 増加 | 増加 |
| CTR | 横ばい〜低下 | 徐々に向上 |
| 指名検索数 | ほぼ変化なし | 緩やかに増加 |
| 商談化率 | 低い | 安定〜向上 |
ロングテールは立ち上がり期の追い風ですが、コアキーワードを狙った「軸となるページ」が設計されていないと、中長期の評価は伸びません。
見直すべきは次の3点です。
-
コアキーワードごとに、1枚「このページで勝ちにいく」と決めたページがあるか
-
そのページに、関連する解説記事から内部リンクを集中させているか
-
タイトルとディスクリプションで、検索意図にストレートに答えているか
アルゴリズムのせいにしたくなるが、実は自分たちの設計ミスだったと気づく瞬間
コアキーワードが動かない、CTRが落ちてきた、順位変動が激しい。
このタイミングで「アルゴリズム更新のせいだ」と言いたくなる気持ちはよく分かりますが、現場レベルで解析すると別の要因が混ざっていることが多いです。
代表的な“犯人”はこの3つです。
-
CMSリニューアルでテンプレートが変わり、重要コンテンツのHTML構造が崩れている
-
計測設定ミスで、実際にはCVが発生しているのに「ゼロ」に見えている
-
ページスピード悪化やデザイン刷新で、UXが落ちて離脱率が急上昇している
特にサーチコンソールで「表示回数は増えているのにCTRが下がっている」場合、
検索意図に対してタイトルやコンテンツがズレているサインであり、単なる順位の問題ではありません。
アルゴリズムを疑う前に、次を必ず確認してください。
-
直近3〜6カ月で、大きなサイト改修やテンプレート変更をしていないか
-
主要キーワードの検索結果を実際に開き、競合のコンテンツとUXを自分の目で比較したか
-
GAやタグマネージャーの設定変更履歴に、怪しいタイミングがないか
ここまでチェックしてからが、ようやく「SEO対策そのものの効果」を評価するスタートラインです。
失速を“事故”で終わらせるか、“設計のアップデート”につなげるかで、翌年のグラフはまったく別物になります。
「効果が分からない」と相談が来るとき、現場で本当に起きていること
「レポートは右肩上がり。でも会議室ではため息」──SEO対策の効果相談は、だいたいこの違和感から始まります。
よくあるLINE/メールのやり取りを分解する:担当者目線 vs 経営層目線
典型的なやり取りを、よくある温度差ごとに整理します。
| 送信者 | よくあるメッセージ | 背景にある本音 |
|---|---|---|
| 担当者 | 「自然検索セッションは+20%です」 | 数字は伸びているので評価してほしい |
| 経営層 | 「でも売上に効いてる実感がない」 | 営業の“楽さ”が変わっていない |
| 担当者 | 「SEOは長期施策なので…」 | 期限を決めずに続けたい |
| 経営層 | 「広告に振り替えた方が早くない?」 | 予算を“今期の数字”に直結させたい |
ここで噛み合っていないのは、見ている指標の階層です。
担当者は「アクセス」「検索順位」「表示回数」といった上流の指標で語りがちですが、経営層は「商談数」「受注」「営業コスト削減」といった事業インパクトしか見ていません。
私の視点で言いますと、このギャップを埋めない限り、どれだけトラフィックが伸びても「効果が分からない」は解消されません。
レポートの数字は悪くないのに「やめたい」と言われる3つの背景
実務でよくぶつかる“数字は悪くないのに却下される”背景は、次の3パターンに集約されます。
-
成果の翻訳不足
- 「自然検索+20%」を「営業が新規テレアポを毎月○件分、代わりにやっている」と翻訳していない
- 経営層が“体感”できる単位に直していない
-
質の議論が抜けている
- 情報収集キーワードばかりで、指名検索・比較検討キーワードが伸びていない
- サーチコンソールで「表示回数↑、CTR→ or ↓」という危険サインを放置している
-
他チャネルとの比較がない
- 「もし同じ流入を広告で買ったら、月○万円」といった試算がなく、SEOだけが“コスト”に見えている
- 広告・SNSとの役割分担を説明していない
プロがまずやる“棚卸し”:1時間で状況を見極めるチェックポイント
「効果が分からない」と言われたとき、プロは感覚ではなく1時間で現状を切り分ける棚卸しを行います。ポイントは“数字の階層”ごとに見ることです。
【1. トラフィック層】
-
自然検索のセッション推移(6〜12カ月)
-
新規ユーザー率
-
デバイス別の傾向(スマホ偏重かどうか)
【2. 質的指標層】
-
自然検索セッションの直帰率・滞在時間
-
ランディングページ上位10本のCVクリック率
-
サーチコンソールの「表示回数 vs CTR」の変化
【3. CV層】
-
自然検索経由CV数とCV率(他チャネルとの比較)
-
検索クエリ別のCV貢献(情報系か指名系か)
-
主要コンテンツからのCV導線の有無(内部リンク設計)
【4. 事業インパクト層】
-
自然検索経由リードの商談化率・受注率(直近半年)
-
初回接点のうち自然検索が占める割合
-
同じ初回接点を広告で買った場合の想定費用
この棚卸しを行うと、次のどれに当てはまるかがはっきりします。
-
そもそも“量”が足りていない(コンテンツ・被リンク・ドメインパワーの問題)
-
量はあるが“質”が弱い(キーワード設計・内部導線の問題)
-
マーケ側は頑張っているが“営業側で詰まっている”(リードナーチャリング・提案プロセスの問題)
SEO対策の効果は、「順位」ではなく「営業1人分をどれだけ代替しているか」で見ると、担当者と経営層の会話が同じテーブルに乗ります。ここまで分解して初めて、「やめる」「続ける」「設計を変える」の建設的な議論ができるようになります。
広告・SNSと比べてSEOは結局どうなのか?投資判断に使えるリアルな比較軸
「広告は蛇口、SEOは井戸」。水が欲しいとき、どこまで蛇口に頼り、どこから井戸を掘るかで、数年後の“楽さ”がまるで変わります。
即効性 vs 資産性:数字で見たときの「元の取り方」
まず、Webマーケ施策を即効性か/資産性かで一度整理しておくと、社内の会話が一気にスムーズになります。
| 施策 | 即効性 | 資産性 | 止めた瞬間の流入 | 主なコスト構造 |
|---|---|---|---|---|
| リスティング広告 | 高い | 低い | ほぼゼロ | クリック単価×クリック数+運用費 |
| SNS広告 | 高い | 低い | ほぼゼロ | インプレッション課金+クリエイティブ |
| SEO対策 | 中 | 高い | 徐々に減少 | コンテンツ制作+内部対策+人件費 |
広告は「その月の売上を作る筋肉」、
SEOは「来期以降の売上を楽にする貯金」というイメージに近いです。
私の視点で言いますと、BtoBのリード獲得案件では、自然検索経由の初回接点が全体の30〜50%を占めているケースがかなり多く、ここが削れると営業現場が一気にきつくなります。一方で、広告はCPA(1件の問い合わせ獲得単価)がじわじわ上がる傾向があり、ここ数年で「去年の1.3〜1.5倍になった」という相談が増えています。
プロが見る「元の取り方」の目安
-
広告
- 即月〜3ヶ月:売上・CVで回収できなければ赤字扱い
-
SEO
- 6〜24ヶ月:
- 自然検索からのCV数
- 自然検索経由リードの商談化率・受注率
をセットで見て、「営業1人分を代替しているか」で判断する
- 6〜24ヶ月:
広告に全振りして苦しくなったケース/SEOを細く長く続けて救われたケース
現場でよく見るのは、次のような“コントラスト”です。
-
広告全振りで苦しくなるパターン
- 競合の参入や入札強化で、クリック単価が年10〜20%上昇
- 予算は据え置きなので、表示回数もクリック数も縮小
- リード数が減り始め、あわててSEOに着手するが、立ち上がりが半年遅れる
-
SEOを細く長く続けて救われるパターン
- 月数本ペースでも、内部リンク設計とCV導線を最初から意識して制作
- 情報系キーワードからの流入を、指名検索やホワイトペーパーDLに接続
- 広告費が高騰しても、「自然検索経由が全体の4〜6割」をキープし、
広告は攻めたいキャンペーンに絞る運用へシフトできる
この差を生むのは、「最初からSEOを“第二の営業チーム”として見ていたか」どうかです。アクセスや検索順位だけを追っていると、経営層には効果が伝わりません。
SEOをやめる前に、試算しておくべき「もし全部広告で買ったら」シナリオ
「SEO対策、もうやめようか?」と議論になったとき、プロが真っ先にやるのがこの試算です。
- 自然検索からの月間セッション数とCV数を確認
- 「同じ数のCVを広告だけで買う場合」の概算費用を計算
- SEOの月間コスト(外注費+社内工数)と比較
シンプルな試算イメージを置いておきます。
| 項目 | 数値例 |
|---|---|
| 自然検索の月間CV数 | 50件 |
| 広告経由の平均CPA(1件あたり) | 15,000円 |
| 広告で50件買う場合の費用 | 50×15,000=750,000円 |
| 現在のSEOコスト(月) | 400,000円 |
| SEOが生み出している“相当価値” | 広告換算で約75万円分のCV |
もし「SEOを止める=毎月75万円分の“営業代替”を捨てる」という話であれば、
単に「順位が落ちたからやめる」ではなく、
-
どのキーワード群が
-
どれぐらいの商談化率・受注率を持っていて
-
どれだけ広告で代替可能か
まで一度棚卸しする価値があります。
この試算をやらずに「自然検索セッション+20%なのにCVゼロだから意味がない」と切り捨てると、本来は「導線とコンテンツ設計を変えれば黒字ラインに乗るSEO」を、自ら捨ててしまうことになります。
広告・SNSとSEOはどちらか一方ではなく、
-
短期の売上を支える広告
-
中長期の獲得単価を下げるSEO
をどう配分するかが、担当者と経営層が握るべき“本当の議題”です。
現場で本当にあった“危ないSEO”と、その後始末に追われたケーススタディ
「SEO対策の“効果”を出すつもりが、ある日まとめて吹き飛んだ」。現場でよく見るのは、派手なテクニックに寄せすぎたサイトが、アルゴリズム更新やリニューアル一発で崩れるケースです。財布を膨らませるはずの施策が、気づけば穴だらけのバケツになっているパターンを整理します。
被リンク頼み・量産記事頼みのサイトが、更新一発で崩れた構造
被リンクと量産記事だけで順位を上げていたサイトは、更新のたびに「積み上げ」ではなく「積み木崩し」が起きます。私の視点で言いますと、次のような構造が典型です。
-
外部リンクは多いが、内部リンク設計が薄く重要ページに力が集約されていない
-
ペルソナ不在で、検索意図がバラバラな記事をひたすら追加
-
CVページへの導線が弱く、「アクセス増=成果増」にならない
このタイプは、アルゴリズム変動で被リンク評価が揺れると、一気に検索順位とアクセスが落ちます。Search Console上では「表示回数は減少、CTRは横ばい」、Analyticsでは「情報系ページの流入比率だけ高いがコンバージョンゼロ」となり、SEOの効果がないと誤解されがちです。
「デザイン刷新」で一気に順位を落としたサイトに共通していた設計の欠陥
見た目を良くしようとした「デザイン刷新」が、SEO的には“サイト破壊”になることがあります。危ないパターンを整理すると下記のようになります。
| 項目 | よくある失敗 | SEOへの影響 |
|---|---|---|
| URL設計 | パスを総入れ替えし、適切なリダイレクトなし | インデックス喪失、検索結果から消える |
| 見出し構造 | h1をロゴ代わりに使う、h2を装飾目的に乱用 | 検索エンジンがページの主題を理解できない |
| 文字情報 | テキストを画像化、LP風に一枚長ページ化 | コンテンツの評価が下がり、長期的に順位低下 |
| 内部リンク | 旧ナビ削除、関連記事ブロック縮小 | サイト内の“血流”が止まり、重要ページが孤立 |
「ブランドイメージを優先したい」経営判断は理解できますが、検索エンジンから見るとコンテンツの意味情報が剥ぎ取られている状態になりやすいです。結果として、リニューアル直後に検索結果からの流入が半減し、「SEO対策をやってきた意味がない」と感じる状況が発生します。
トラブル後にやり直しをするとき、プロが絶対に手をつける順番
崩れたサイトを立て直すとき、やみくもにリライトや広告出稿に走ると、さらに泥沼になります。現場で再現性が高かったのは、次の順番で冷静に復旧するやり方です。
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計測と現状把握の整理
- AnalyticsとSearch Consoleの設定・フィルタを確認
- 自然検索セッション、CV、指名検索の推移を3〜6ヶ月単位で可視化
-
構造レベルの修復
- 重要URLの洗い出しと301リダイレクトの設定状況をチェック
- サイトマップと内部リンクを修正し、優先ページへの“交通整理”を再設計
-
コンテンツと意図の再定義
- コアキーワードとロングテールの役割を整理し、不要な量産記事を統合・削除
- ペルソナごとに「検索意図→ページ→CV導線」の線が途切れていないか確認
-
外部施策の見直し
- 不自然な被リンクが多い場合は否認を検討
- 今後は「指名検索」とブランド検索増加を狙ったマーケティングにシフト
この順番を守ると、「SEOの効果」を単なるアクセス回復ではなく、商談化率や受注率の改善まで含めた事業インパクトとして測り直せます。トラブル後こそ、SEO対策がビジネス全体の戦略とつながっているかを再定義する好機になります。
「SEO対策をこれ以上やるべきか?」迷ったときの判断フレーム
「続けるのか、やめるのか」。この問いを感情論で決めると、あとでほぼ必ず後悔します。ここでは、現場で実際に投資判断に使っている“冷静な物差し”だけを渡します。
経営側の問い「続けるか、やめるか」を整理し直す3つの質問
私の視点で言いますと、この3問に数字で答えられない状態で議論している会議は危険信号です。
- 自然検索は「初回接点」の何%を担っているか?
指名検索ではなく、非指名キーワードからの流入で見ること。 - SEO経由リードの商談化率・受注率は他チャネルと比べてどうか?
広告・紹介・SNSと並べて比較する。 - 同じ量の初回接点を広告だけで買うと、月いくらかかるか?
CPCから逆算し、「営業1人分の仕事を代替しているか」で評価する。
上の3問を整理するためのシートイメージは次の通りです。
チャネル別の比較イメージ
| 指標 | SEO自然検索 | 広告(リスティング) | SNS |
|---|---|---|---|
| 初回接点数/月 | |||
| 商談化率 | |||
| 受注率 | |||
| 1接点あたりコスト | (人件費換算) | CPCベース | 運用工数 |
この表を埋めると、「感覚」ではなく「事業インパクト」でSEO対策の効果を評価できます。
“伸びている途中”なのか、“もう頭打ち”なのかを見分けるチェックリスト
「伸びているのに途中でやめる」「本当に頭打ちなのにダラダラ継続」が、現場で最も多いムダです。次の3レイヤーで判定します。
トレンド判定チェックリスト
-
トラフィックレイヤー
- 検索表示回数は右肩上がりだが、CTRが横ばいor減少していないか
- ロングテールキーワードの種類(検索クエリ数)は増えているか
-
質的指標レイヤー
- 自然検索の平均滞在時間・直帰率は、全体平均より悪化していないか
- 情報系キーワードだけ伸びて、指名検索が増えていない状態になっていないか
-
事業レイヤー
- SEO経由CV数は微増でも、「CVの単価」は他チャネルより安くなっていないか
- 同じアクセス数でも、前年より商談化率が上がっていないか
ざっくりの目安としては次のように整理できます。
状態判定の目安
| 状態 | 典型的なデータの動き | 判断の方向性 |
|---|---|---|
| 伸びている途中 | 表示回数↑ クエリ数↑ CTR横ばい CV微増だが単価は改善 | 設計を微修正しつつ継続 |
| 頭打ち | 表示回数横ばい〜微減 CTR横ばい 指名検索も増えない CVも停滞 | 設計を抜本見直し |
| 崩れている | 表示回数↓ CTR↓ 滞在悪化 特定アップデート後に急落 | 技術・UXの復旧が先 |
やめるにしても“資産を殺さない”ソフトランディングの考え方
SEOを完全停止すると、「検索エンジンに評価されたページ」という資産を自ら壊してしまうケースが多く見られます。ソフトランディングのポイントは次の3つです。
-
「維持施策」と「成長施策」を分けて考える
- 継続: 既存コンテンツのリライト、内部リンク改善、技術的メンテナンス
- 止める: 大量の新規記事制作、無理な外部リンク獲得
-
コアページだけは守る優先順位付け
優先度付けの軸
-
自然検索経由のCVに貢献しているページ
-
指名検索・ブランドワードと相性の良いページ
-
外部から自然にリンクが集まっているページ
- 他チャネルとの“橋渡し設計”をしてから縮小する
- 上位表示ページに、メルマガ登録や資料ダウンロード導線を追加し、リマーケティングでフォロー
- オウンドメディアの記事から、SNSやYouTubeなど別チャネルへの導線を張り、SEO頼みの状態を緩和
この流れで縮小すれば、「SEO対策は一旦減らしたが、検索からの資産とブランド検索は維持されている」状態を作りやすくなります。広告やSNSへの予算シフトとも整合し、経営側の判断ともぶつかりにくい着地になります。
明日から変えられる、プロが地味にやり続けている「効くSEO」の習慣
派手なテクニックより、「毎月同じところを淡々と見る」人のサイトだけが、1年後にじわっと強くなります。SEO対策の効果を“見える化”しながら育てるために、現場で実際に続けている習慣だけを絞り込みました。
毎月のレポートで必ず見る“3つの数字”と、その読み方
毎月見る数字を増やすと、必ず迷います。プロが最低限押さえるのは次の3つだけです。
| 数字 | ツール | 何を判断するか |
|---|---|---|
| 自然検索セッション数 | GA4 | 「入口の量」が増えているか |
| SEO経由CV数/率 | GA4 | 「ビジネスの成果」に繋がっているか |
| 検索クエリ別の表示回数・CTR | サーチコンソール | 「伸びしろ」「危険サイン」がどこか |
ポイントは、「単月」ではなく3〜6ヶ月のトレンドで見ることです。
-
自然検索セッションだけ増加+CV横ばい
→情報系キーワード偏重のサイン。CV導線とキーワード設計を見直す。
-
表示回数増加+CTR低下
→タイトル・ディスクリプションと検索意図のズレ。クリックされる前に負けている状態。
-
指名検索クエリの表示回数が増えない
→SEOが「認知」まで届いていない。SNSや広告との連携が弱い可能性が高い。
私の視点で言いますと、半年やって「SEOは効果がない」と言われる案件の大半が、この3つを分けて見ていません。全部を「アクセス」という一言で潰してしまうと、打ち手を間違えます。
記事を増やす前に必ず見直す「サイト内の交通整理」
記事本数より、サイト内の動線設計が先です。ここを飛ばすと、「半年後に大改修」という地獄コースに入りがちです。
チェックすべき交通整理のポイントは次の通りです。
-
役割ごとのページがあるか
- 集客用(検索ボリュームが大きい悩み系キーワード)
- 教育用(サービス理解・比較系コンテンツ)
- 成約用(サービスページ・お問い合わせ・資料請求)
-
重要ページへの内部リンクが足りているか
- 情報記事から、必ず関連するサービス・事例・資料請求へリンクしているか
- パンくずリストやカテゴリ設計が、検索意図ごとに整理されているか
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回遊の“詰まりポイント”がないか
- 平均ページ滞在時間は長いのに、次のページへ進まず離脱していないか
- モバイルでの導線(ボタン位置・テキストリンク)が押しやすいか
交通整理のイメージとしては、「駅からホームまでの案内表示」を作る感覚に近いです。案内板(内部リンク)がなければ、どれだけ人(アクセス)が駅に来ても、ホーム(CVページ)にたどり着きません。
外注や社内制作チームとズレないための、シンプルな指示テンプレ
SEO対策の効果が出ない現場の多くは、「指示がふわっとしている」ことが原因です。専門用語を並べるより、制作側が迷わないテンプレを1枚用意した方が、長期的な成果は安定します。
記事制作の指示テンプレ例を挙げます。
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ペルソナ
- 誰に向けた記事か(職種・経験年数・悩み)
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検索キーワード
- メインキーワード+想定される関連サブキーワード
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記事の目的
- 読んだ後に取ってほしい行動(例:資料DL、関連記事へ誘導など)
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競合との差別化ポイント
- 他サイトにはない、一次情報・経験・具体例は何か
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内部リンクの指定
- 記事内で必ずリンクしてほしいページ(URLとアンカーテキスト)
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評価指標
- 公開後3ヶ月で見る指標(表示回数、CTR、滞在時間、CVなど)
このテンプレを共有しておくと、「文字数だけやたら多くて、どこにも繋がっていない記事」が激減します。外注・社内どちらでも、検索意図とサイト全体設計に紐づいたコンテンツ制作へと自然に寄せていけます。
執筆者紹介
主要領域はSEO投資判断とWeb集客設計。複数の業種・規模の企業から、SEO・アクセス解析・コンテンツ制作・サイト改修まで横断した相談を継続的に受けてきた実務家です。「3ヶ月で必ず上がる」といった約束はせず、トラフィック・質的指標・CV・事業インパクトの4階層で評価するフレームを用いて、担当者と経営層が社内で合意しやすい判断軸づくりを支援してきた経験をもとに、本記事の内容を整理しています。


