スマホの「ギガ無制限」に毎月高い月額を払いながら、実は10〜20GB程度しか使っていない個人や、営業用スマホを一律ギガ使い放題にして固定費を膨らませている中小企業は少なくありません。原因は、ギガ無制限=安心というイメージのまま、ドコモやau、ソフトバンク、楽天、UQモバイル、ワイモバイル、LINEMO、格安SIMを値段だけで比較して契約していることにあります。どのプランが安いかより前に、完全無制限・低速無制限・特定アプリカウントフリーの違いと、テザリングや通信速度制限の条件を整理しない限り、「ギガ無制限なのに遅い」「YouTubeや在宅勤務に使えない」という不満は解消しません。この記事では、大手キャリアと格安SIMのギガ無制限プランを横断比較しつつ、動画視聴やテザリングの実際のデータ消費から自分や自社に本当に必要なGBを逆算するロジックを提示します。そのうえで、ギガ無制限にして後悔したパターンと、あえて無制限にしない方が安く済むケース、固定回線障害時にだけ効く「保険としてのギガ無制限回線」の持ち方まで踏み込みます。料金表の暗記ではなく、もうプラン選びで迷わないための判断軸そのものを手に入れたい方は、この先を読み進めないこと自体が損失になります。
- ギガ無制限とは本当に「無制限」なのか?まずは正体を暴くところから
- ドコモやauやソフトバンクや楽天のギガ無制限プランを「見た目の料金」ではなく条件で比較する
- 格安SIMや格安スマホのギガ無制限とギガ使い放題はどこまで信用していいのか?
- 1ヶ月に平均何GB使う?動画やテザリングのリアルなデータ消費から「ほんとうに必要なギガ数」を逆算する
- ギガ無制限にして後悔した人のパターンと、あえて無制限にしない方がトクなケース
- 逆にギガ無制限にしてよかったと言えるのはどんな人か?タイプ別おすすめシナリオ
- 中小企業や法人の社用スマホとモバイル回線はギガ無制限にすべきか?DXとBCPとセキュリティから考える
- ギガ無制限だけに頼らず通信費とストレスを減らす現実的な組み合わせ術
- 技術とビジネス現場をつなぐDigital Portならではのギガ無制限との付き合い方
- この記事を書いた理由
ギガ無制限とは本当に「無制限」なのか?まずは正体を暴くところから
「ギガが減らない夢のスマホ」と思って申し込んだのに、夕方になると動画がカクカク、テザリングはすぐ制限。現場で相談を受けていると、ここでつまずく人が非常に多いです。最初に整理したいのは、名前は似ていても中身がまったく違う3つの世界があるという点です。
ギガ無制限プランとギガ使い放題プランと大容量プランの違いをざっくり整理
実際の料金表を見る前に、「どのタイプの回線なのか」を押さえておくと失敗が一気に減ります。
| タイプ | 中身のイメージ | 向いている人 |
|---|---|---|
| データ量無制限 | 上限GBなし、一定条件で速度制限 | 自宅にWiFiがないヘビーユーザー |
| 使い放題(実質) | 上限超過後は低速でデータ無制限 | SNS中心で動画は低画質で十分な人 |
| 大容量 | 20〜100GB前後で上限あり | 動画は見るが自宅にWiFiもある人 |
ポイントは、「無制限」と書いてあっても速度・時間帯・テザリングの条件で性質が変わることです。私の視点で言いますと、社用スマホの契約を棚卸ししたとき、名目上はデータ量無制限でも、テザリングだけは月30GBまでというケースがかなり多く見られます。
完全無制限と低速無制限と特定サービスカウントフリーの3パターンをプロ視点で分解
「どこが一番安いか」より前に、どのタイプかを見抜くことが重要です。
-
完全に近い無制限(上限GBなし)
- 一定の公平利用ルールはあるものの、動画やテザリングも基本はフルスピード
- 大手キャリアの5Gプランなど、高めの月額になる代わりに安心度が高い
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低速無制限(上限後はkbps帯に落ちる)
- たとえば1〜3Mbpsの「最大」速度で使い放題といったタイプ
- Web閲覧やLINEは問題ないが、フルHD動画や大容量のクラウド利用は厳しい
-
特定サービスのカウントフリー
- 動画アプリやSNSだけデータカウント対象外
- それ以外のデータ通信はきっちりGB消費、テザリングはカウントされることが多い
ここを混同すると、「YouTubeは問題ないが、在宅勤務のVPN接続をテザリングした瞬間にGBが一気に溶ける」といった事態になりやすいです。
ギガ無制限なのに遅い・使えないと言われる通信制限と速度制限の中身
相談で多いのは、「無制限なのに夕方17〜22時が遅い」「テザリングだけすぐ速度制限」という声です。背景には、次のような制限が潜んでいます。
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時間帯による速度制御
- 混雑時間帯は基地局側で通信速度を抑える運用
- 格安SIMやMVNOは、大手キャリア回線より優先度が低くなることが多い
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テザリングだけ別枠GB
- スマホ本体の通信は無制限だが、テザリングは月○GBと分かれている
- 在宅勤務でパソコンを常時つないだ瞬間、上限に到達しkbpsクラスまで落ちる例が目立つ
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短期間の大量利用による一時制限
- 「直近3日で○GB超過」で一時的に通信速度を抑える運用
- 長時間の動画視聴やオンラインゲーム配信を行うと、この条件に引っかかりやすい
中小企業の現場では、営業用スマホをデータ量無制限で契約したものの、実際の使用量は10〜15GBに収まり、制限の影響を受けることもない一方で、高い月額だけ払い続けているケースが少なくありません。逆に、固定回線が障害を起こした日に、別キャリアのデータ量無制限モバイル回線を1本だけ用意していた会社は、オンライン商談やサポートを止めずに済んだという事例もあります。
この章で押さえておきたいのは、「無制限かどうか」ではなく「どの条件で遅くなる設計か」を見抜けるかどうかです。ここを理解しておくと、次のキャリア比較や格安SIM選びでも、単なる月額の安さではなく、自分の使い方に合ったプランを選べるようになります。
ドコモやauやソフトバンクや楽天のギガ無制限プランを「見た目の料金」ではなく条件で比較する
料金表だけ眺めて決めると、あとから「ギガは余っているのにテザリングが足りない」「昼だけ激遅で仕事にならない」という末路になりやすいです。ここでは、大手4社とサブブランドを月額よりも“条件”で斬る視点で整理します。
ドコモのギガホプレミア系プランの特徴とテザリング条件
ドコモのいわゆる無制限系は、スマホ本体は大容量で使えても、テザリングは上限がある構造が多いです。ポイントは次の3つです。
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テザリング用GBが別枠で決まっている
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一定量を超えると速度制限や追加料金
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5Gと4Gで上限が変わることがある
「自宅にWiFiがなく、PCもテザリングでオンライン会議をこなしたい」20代一人暮らしのケースでは、メインは十分でもテザリング上限が先に尽きるパターンが頻発します。社用スマホでも、営業担当だけ大容量にしたのに、実際のログを見ると月10〜15GB前後で収まっている企業も珍しくありません。
auの無制限プランと使い放題MAXとギガ使いたい放題オプションの違い
auは名称が似ていて混乱しがちですが、「どこまでが本当にフル速度で自由か」を分けて見ると整理しやすくなります。
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使い放題MAX系
- スマホ本体は大容量でも、テザリング・データシェアは上限あり
- 動画サービスなど一部はカウントフリー対象になるパターンもある
-
ギガ使いたい放題系オプション
- 対象アプリや時間帯だけ実質使い放題になる仕組みが多い
つまり、24時間いつでもフル速度でPCテザリングをしたい人向けではなく、「スマホで動画メイン」の人に寄せた設計になっていることが多いです。家族でギガシェアしている場合、親だけMAX、子どもは中容量にしてアプリ制限で管理した方が、総額もトラブルも減るケースがよくあります。
ソフトバンクのメリハリ無制限とウルトラギガモンスターのギガ数とノーカウントの落とし穴
ソフトバンクは、動画やSNSのヘビーユーザーを狙った「ノーカウント戦略」が特徴的です。
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メリハリ無制限
- 対象の動画・SNSアプリはデータ消費をカウントしない設計が中心
- その代わり、テザリングやPC利用は別枠の上限あり
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ウルトラギガモンスター系
- かつての大容量プランで、上限GBに達すると速度制限
ここで陥りがちなのが、「スマホ視聴は快適だが、PCテザリングやオンライン会議がすぐ詰まる」状態です。カウントフリーはあくまで“対象アプリのスマホ利用”がメインで、ビジネス用途のテザリング保険にはなりにくいと押さえておくと、選び方を誤りません。
楽天モバイルとサブブランド(UQモバイル・ワイモバイル・LINEMO)の実質無制限の考え方
楽天やサブブランドは、料金の安さだけ見て飛びつくと、エリアや速度でハマる人が出やすいゾーンです。ざっくり整理すると次の通りです。
| 区分 | 特徴の軸 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 楽天モバイル | 一定GB以上は同額で実質使い放題 / エリアと屋内電波がカギ | 都市部中心で自宅も職場も楽天回線エリアの個人 |
| UQモバイル | 中〜大容量プラン+節約モードで低速無制限タイプが多い | 速度より料金優先で、動画はWiFi前提の人 |
| ワイモバイル | 大手並みの速度と店舗サポート / 大容量はやや割高 | 家族割や店舗サポートを重視する層 |
| LINEMO | オンライン専用 / LINE系サービスのカウントフリーが軸 | デジタル手続きに抵抗がなく、LINE中心の個人 |
実務で相談を受けていると、「WiFiいらないからスマホだけで全部やりたい」なら、テザリング上限と都市部以外の通信速度を必ず確認してから契約すべきと痛感します。私の視点で言いますと、固定回線トラブル時の保険としては、メインとは別キャリアで大容量か実質無制限のモバイル回線を1回線だけ持つ設計が、費用と安心感のバランスが取りやすい形です。
大手キャリアとサブブランドを選ぶときは、「月額いくらか」よりも、テザリング上限・速度制限のかかり方・エリアの3点セットを比べることが、後悔しないための一番の近道になります。
格安SIMや格安スマホのギガ無制限とギガ使い放題はどこまで信用していいのか?
同じ「無制限」でも、中身は飲み放題なのに水ばかり出てくる店レベルで差があります。料金だけ見て飛びつく前に、仕組みと落とし穴を冷静に分解していきます。
格安SIMギガ無制限プランの「速度」と「時間帯」のリアルな傾向
格安SIMの多くは、大手キャリア回線を借りてサービスを提供するMVNOです。ここで効いてくるのが時間帯ごとの通信速度です。
よくあるパターンを整理すると、次のような傾向があります。
| 時間帯 | 体感しやすい速度傾向 | 起きやすい現象 |
|---|---|---|
| 7~9時 | 1~5Mbps前後に低下 | 通勤中の動画が頻繁に止まる |
| 12~13時 | 0.5~3Mbpsまで落ち込む | SNS画像表示がもたつく |
| 18~23時 | 1~10Mbpsとブレが大きい | YouTubeが自動で低画質になる |
数値はあくまで傾向ですが、現場で速度測定をしていると、「昼だけ別回線かと思うほど遅い」格安SIMは珍しくありません。ギガ無制限と書かれていても、この時間帯制限は別問題で、ギガではなく帯域(混雑度)で絞られていることがポイントです。
私の視点で言いますと、特に学生や一人暮らしのヘビーユーザーは、動画視聴時間が夜に集中しやすいため、速度のばらつきが料金差以上のストレスになるケースが多いです。
ギガ放題格安SIMとギガ無制限WiFiの違いと「WiFiいらない」人の条件
スマホの格安SIMのギガ放題と、モバイルWiFiルーターのデータ使い放題は、似ているようで目的が違います。
| 項目 | 格安SIMのギガ放題プラン | モバイルWiFi回線 |
|---|---|---|
| 主な利用端末 | スマホ1台中心 | ノートPCやタブレット複数 |
| テザリング | 制限・追加料金ありの場合も | 基本前提(複数台接続) |
| 通信速度 | 混雑時間帯の落ち込み大きめ | エリアによっては安定しやすい |
| 月額料金 | 低め~中程度 | 中程度~高め |
「自宅のWiFiを解約してスマホだけで全部やりたい」人に向く条件は、次の3つです。
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主な用途がSNSや音楽、標準画質の動画視聴レベル
-
家族での共有ではなく、個人利用がメイン
-
自宅の固定回線でオンラインゲームや大容量ダウンロードをしない
逆に、在宅勤務でPCを長時間インターネット接続する人や、家族でタブレットを複数台使う家庭では、モバイルWiFiか光回線とスマホの中容量プランを組み合わせた方が、総額もストレスも小さくなるケースが目立ちます。
無制限といいつつ三日間制限や動画制限がある格安SIMのチェックポイント
格安SIMで特に注意したいのが、「無制限だけど、実は細かい条件付き」というタイプです。申込み前に、最低限次のポイントは公式サイトで確認しておきたいところです。
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直近3日間や1日のデータ利用に上限がないか
- 例: 3日で10GBを超えると翌日昼~夜に速度を制限
-
制限時の通信速度がどれくらいか
- 128kbpsレベルだと、地図アプリや決済アプリもかなり厳しい
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動画やSNSなど一部コンテンツだけ速度制限や画質制限がないか
- 動画だけ1.5Mbps上限などの「実質中画質まで」パターン
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テザリング利用が対象外になっていないか
- スマホでは無制限でも、パソコン接続分だけ別枠カウントされる場合があります
業界人の目線で見ると、トラブルになりやすいのは次の2パターンです。
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昼休みに動画を見過ぎて3日間制限に引っかかり、仕事で地図やチャットが遅くなった営業職
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低速無制限と信じてPCをテザリングでつなぎ、オンライン会議が途切れまくって結局カフェのWiFiに逃げる在宅ワーカー
表面的な月額料金や「データ容量」の文字だけを追うと、安心料のつもりが、実際には業務や生活のボトルネックを自分で作ってしまうことがあります。
自分の使い方を「スマホだけで完結するライトユーザー」なのか、「PCやタブレットも含めた複数端末ユーザー」なのかで分けて考えると、格安SIMの無制限プランを選ぶべきか、モバイルWiFiや光回線との組み合わせにすべきかが見えてきます。
1ヶ月に平均何GB使う?動画やテザリングのリアルなデータ消費から「ほんとうに必要なギガ数」を逆算する
同じ「ギガが足りない悩み」でも、動画1日30分の人と、テザリングで在宅勤務する人では、必要なGBは桁が変わります。ここでは料金プランを見る前に、自分の使い方から冷静に逆算していきます。
YouTubeやNetflixやゲームやSNSで「1日あたり何GB」かを感覚ではなく数値で見る
まずはスマホ単体でのエンタメ消費量をざっくり数字に落とします。
| 利用シーン | 条件の目安 | 1時間あたりの消費量 | 毎日1時間×30日の消費量 |
|---|---|---|---|
| YouTube視聴 | 標準画質(480p前後) | 約0.7~1GB | 約20~30GB |
| Netflix視聴 | 高画質 | 約2~3GB | 約60~90GB |
| スマホゲーム | 通信多めのオンライン | 約0.1~0.3GB | 約3~9GB |
| SNS(TwitterやInstagram) | 画像・短尺動画込み | 約0.1GB | 約3GB |
だいたいの目安としては、「動画1時間=1GB前後」「高画質はその2~3倍」と考えるとイメージしやすくなります。
通勤中にYouTubeを毎日1時間、帰宅後にNetflixを1時間見る人は、それだけで月80GBクラスになるイメージです。
私の視点で言いますと、動画ヘビーユーザーの20代で、自宅にWiFiが無い一人暮らしは、スマホだけで月100GB前後に達しているケースが珍しくありません。
在宅勤務やオンライン会議をテザリングでこなすと「月30GB」「月50GB」「月100GB」のどこまでいくか
次に、テザリングと在宅勤務を足し込んでみます。PC利用は一気にGBが増えます。
| 利用シーン | 条件の目安 | 1時間あたり | 1日あたりの想定 |
|---|---|---|---|
| Web会議(Zoom等) | ビデオON | 約1~1.5GB | 2時間で2~3GB |
| クラウド作業 | Officeやチャット中心 | 1時間0.1~0.2GB | 8時間で1~2GB |
| 画面共有しながら商談 | ビデオ+資料共有 | 1時間1.5GB前後 | 2時間で3GB |
在宅勤務をテザリングだけでこなすと、「Web会議の時間」がそのままGBの山になります。
-
Web会議が週3回、毎回1時間
-
クラウド作業を1日8時間
といった人は、在宅勤務分だけで月30GB前後に届きます。
ここに、先ほどの動画視聴やSNSが乗ってくると、月50GB~100GB帯にジャンプするイメージです。
フリーランスや社用スマホでテザリングする営業担当は、この数字を見ずに無制限プランを選びがちですが、実際のログを見ると「月30GBあれば十分だった」というパターンも多くあります。
「1ギガで何日持つ?」よりも「自分の1日パターンで何ギガ消費しているか」をセルフ診断するシート
「1ギガで何日持つか」を考えるより、自分の1日の行動をGBに変換する方が失敗しません。
下のチェックシートを埋めると、おおよその必要容量が見えてきます。
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平日の動画視聴時間
- 標準画質の動画視聴: 1日 ○ 時間 → 「時間 × 約1GB」
- 高画質の動画視聴: 1日 ○ 時間 → 「時間 × 約2.5GB」
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ゲーム・SNS
- オンラインゲーム: 1日 ○ 時間 → 「時間 × 約0.2GB」
- SNS閲覧: 1日 ○ 時間 → 「時間 × 約0.1GB」
-
在宅勤務・テザリング
- Web会議: 1週間あたり ○ 時間 → 「時間 × 約1.2GB」
- クラウド作業やメール: 1日 ○ 時間 → 「時間 × 約0.15GB」
-
土日や長期休暇の使い方
- 映画やドラマを連続視聴する日があるか
- 出張先や実家でテザリングを長時間使うか
上の「1日・1週間の合計GB」を出して30日分に換算すると、次の目安に落とし込めます。
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合計20GB前後 → 大容量プランや中容量で十分なゾーン
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合計50GB前後 → 動画多め・テザリングもあるため、中~大容量か状況次第で無制限候補
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合計80~100GB超 → 自宅WiFiが無いヘビーユーザー帯。無制限か、自宅回線+中容量に分散する検討ゾーン
このセルフ診断を一度やっておくと、「なんとなく不安だから上限なし」を卒業しやすくなります。
同時に、中小企業側は、営業やリモートワーカー用のスマホも同じロジックで洗い出すことで、「安心料として払い続けている固定費」を冷静に見直せるようになります。
ギガ無制限にして後悔した人のパターンと、あえて無制限にしない方がトクなケース
月末の「ギガ残り1GBです」通知がストレスで、一気にデータ使い放題に切り替える人は多いです。ただ、現場で利用状況を細かく見ると、「安心料」として毎月数千円を捨てているケースがかなり目立ちます。ここでは、よくある失敗パターンを具体的に分解しながら、「どこまでが必要な投資で、どこからがムダな保険料か」を整理していきます。
「安心のために無制限にしたのに、実は毎月10〜20GBしか使っていなかった」典型ミス
個人でも法人でも、一番多いのがこのパターンです。請求明細やキャリア公式サイトのマイページを見ると、実際のデータ利用量は思っているよりずっと少ないことが多いです。
よくある利用実態を簡単に整理すると、次のようになります。
| 利用スタイル | 月の実利用量の目安 | 無制限が本当に必要か |
|---|---|---|
| 通勤中にSNSとWeb中心 | 5〜10GB | 不要なことが多い |
| 動画はWiFiのみ、外出時は地図中心 | 3〜8GB | ほぼ不要 |
| 外でも動画を毎日1〜2時間 | 20〜40GB | 大容量なら十分な場合も |
毎月10〜20GB前後なのに、上限なしのプランを選ぶと、月額料金が2000〜3000円ほど上がるケースが多く、1年間で2〜3万円レベルの「安心料」になります。
とくに中小企業の社用スマホでは、営業部だけ全員データ使い放題にしているのに、実際の利用ログを見ると10〜15GB前後で頭打ちというパターンが目立ちます。本来は「中容量+必要な人だけ追加データ購入」の仕組みにした方が、固定費と変動費のバランスが取りやすくなります。
対策としては、まず過去3〜6カ月の使用量を確認し、最大値+30%程度を目安にプランを組むことがポイントです。
低速無制限プランで動画がまともに見られず、結局追加料金がかさんだ失敗例
次に多いのが、「速度制限ありの実質使い放題」でつまずくケースです。例えば、最大1Mbpsや300kbpsでデータ通信が続けられるタイプのプランです。
スペック表だけ見ると魅力的ですが、現場での体感はかなり違います。
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最大1Mbps
- SNSやニュースサイトは問題なく閲覧可能
- 低画質のYouTubeは時間帯次第でなんとか視聴
- オンライン会議は不安定になりやすい
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300kbpsクラス
- 画像多めのサイトやアプリで読み込み待ちが増える
- 動画視聴は実用的ではないことが多い
このタイプのプランでよくある失敗は、動画やオンライン会議がストレスだらけになり、結局「追加データ」で高速通信を買い足してしまうパターンです。月額が安く見えても、追加データの合計でフルスペックのプランと同じくらいの料金になり、しかもストレスだけはしっかり味わうことになります。
私の視点で言いますと、在宅勤務でテザリングやWeb会議を多用する人や、外出先でもHD画質の動画をよく見る人は、低速使い放題だけで完結させようとしない方が安全です。「常に低速でも我慢できる作業内容か」を具体的なアプリ単位でイメージしてから選ぶのがポイントです。
家族シェアや子どものスマホは「無制限」よりも時間制限やアプリ制限でコントロールした方がいい理由
家族シェアプランや子ども用スマホでは、上限なしにしてしまうことで別種のトラブルが発生します。よくあるのは、次のようなケースです。
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子どもが動画アプリやゲームアプリを夜遅くまで止められない
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学校や塾の行き帰りに、ひたすら動画視聴で通信量が跳ね上がる
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データだけでなく、生活リズムや学習時間まで乱れてしまう
この場合、本質的な問題は「データ量」ではなく「時間」と「アプリの中身」です。上限なしにしてしまうと、親も子もブレーキのかけどころが分からなくなります。
家族向けには、次のような設計が現場ではうまく機能しやすいです。
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親の回線は中〜大容量プラン、子ども回線は共有容量の一部だけを割り当て
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余ったデータ量は翌月くりこし、足りないときだけスポットで追加データ購入
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スマホ本体やアプリのペアレンタルコントロール機能で
- 利用時間帯の制限
- 特定アプリの利用時間制限
- アプリ内課金の制限
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自宅はWiFi接続を基本にして、外では必要最低限の通信に絞る
この組み合わせにすると、「外での使いすぎ」を自然に抑えつつ、必要な連絡や学習アプリは問題なく使えます。データ上限なしの安心感よりも、生活リズムと料金の両方をコントロールしやすい設計を優先した方が、長期的には家計にも子どもの習慣づくりにもメリットが大きくなります。
データ使い放題は強力なカードですが、どのケースでも正解というわけではありません。自分や家族、社内メンバーの「1日の行動パターン」と「実際のGB消費」をセットで眺め直すことが、後悔しないプラン選びへの近道になります。
逆にギガ無制限にしてよかったと言えるのはどんな人か?タイプ別おすすめシナリオ
毎月の明細を見るたびに「もっと安くできたのでは」とモヤモヤする一方で、速度制限のストレスも避けたい方は多いです。ここでは、実務で通信量ログを見てきた立場から、本当にギガを気にせず使っていいタイプだけを絞り込みます。
自宅にWiFiがなくスマホギガ無制限だけで動画やゲームを楽しみたい一人暮らし学生のケース
自宅に光回線やWiFiを入れていない学生は、スマホ回線がそのまま「自宅ネット回線」になります。このタイプは、一定の条件を満たせばギガ無制限がコスパ良くハマります。
目安となる1か月のデータ消費は次の通りです。
| 利用イメージ | データ量の目安 | コメント |
|---|---|---|
| 動画視聴 フルHD 1時間/日 | 約3GB×30日=約90GB | YouTubeやNetflix中心 |
| オンラインゲーム | 月5〜10GB程度 | パッチ配信時は増加 |
| SNS・Web・LINE | 月5〜10GB程度 | ほぼ誤差レベル |
合計で100GB超えが常態化している学生は、20〜30GBプランを超過するたびに追加データを買うより、最初からギガ無制限にした方が月額料金が安定しやすいです。
ポイントは次の3つです。
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速度制限がかかる「3日間の上限」やテザリング制限の有無を必ず確認する
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オンライン授業やレポート提出も同じ回線を使うなら、大手キャリアやサブブランドなど安定した回線を優先する
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家に固定回線を引く場合の総費用と、スマホだけの運用を1年単位で比較する
私の視点で言いますと、下宿でWiFiなしの学生が月120GB前後使っていても、ギガ無制限プラン1本で完結させた方がトータルコストが下がっているケースを何度も見ています。
在宅勤務が多く、パソコンのテザリングやクラウド利用でギガ数を気にしたくないフリーランスのケース
自宅やカフェで仕事をするフリーランスは、「つながらない時間」そのものが機会損失です。クラウドやZoomを多用する場合、テザリング前提でギガ無制限を選ぶのは合理的な投資になります。
| 主な用途 | 1時間あたりの目安 | 月20日稼働時の目安 |
|---|---|---|
| Web会議(ビデオON) | 約1〜1.5GB | 1日2時間で40〜60GB |
| クラウドストレージ同期 | 月10〜30GB | データ量で変動 |
| ブラウジング・チャット | 月5〜10GB | 業務量次第 |
Web会議を多用するだけで月50GB前後はすぐ到達します。ここに自宅用の動画視聴やスマホ利用が乗ると、合計80〜100GB帯は珍しくありません。
フリーランスがギガ無制限を選ぶ際のチェックポイントは次の通りです。
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テザリング容量が本当に無制限か、別枠で上限が決まっていないか
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速度制限後の通信速度(Mbpsやkbps)でも、最低限のZoomや音声通話が成立するか
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データ専用SIMやeSIMと音声通話プランのデュアルSIM構成にした方が安くならないか
テザリング前提の仕事用回線は、「最安」よりも安定性とサポート窓口を重視した方が、長期的にはストレスと機会損失を減らせます。
固定回線のバックアップとしてモバイルギガ無制限回線を一本持つことでBCPを高めたい中小企業のケース
中小企業の現場では、光回線の障害や工事による停波で、受注やサポートが半日止まるだけでも売上インパクトが発生します。ここで効いてくるのが「普段はほぼ使わないが、止まった瞬間に真価を発揮する」モバイル回線です。
| パターン | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 別キャリアのギガ無制限モバイル回線を1本確保 | 災害時や障害時に社内LANを即時復旧できる | 平常時の利用ルールを決めないと私的利用が増えがち |
| 営業用スマホをBCP兼用として活用 | 追加設備なしでテザリング代替が可能 | 営業のギガ使用量をモニタリングしないと固定費が膨らみやすい |
実務でよくあるのは、営業部だけギガ無制限スマホを導入したものの、ログを取ると1人あたり月10〜15GB程度しか使っておらず、年間で数十万円単位の「安心料」を払い続けているパターンです。一方で、別キャリアのモバイル回線を1本だけBCP用として用意し、障害時に全社でテザリング接続して数時間しのいだ事例もあります。
このタイプの企業が検討すべきポイントは次の通りです。
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まず既存の社用スマホやモバイル回線の使用量を月次で可視化する
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全員ギガ無制限にするのではなく、「営業数名+BCP用ルーター1台」といったメリハリある設計にする
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業務外の動画やエンタメアプリを制御するため、MDMなどの管理ツールや利用ルールをセットで整える
ギガ無制限は、個人にとっては「自由度」、企業にとっては「保険」として機能します。ただし、その保険が高すぎると本末転倒です。誰のどの業務を止めたくないのかをはっきりさせたうえで、回線とプランを組み合わせると、通信費とストレスのバランスが取りやすくなります。
中小企業や法人の社用スマホとモバイル回線はギガ無制限にすべきか?DXとBCPとセキュリティから考える
「営業全員をとりあえず無制限にしておけば安心」と決めていないでしょうか。現場のログを冷静に見ると、安心どころか通信費のブラックボックスになりがちです。ここでは、社用スマホとモバイル回線をDXとBCP、セキュリティの3つの軸で“攻めと守りのバランス設計”に落とし込みます。
営業や現場用スマホをギガ無制限にした結果、固定費が膨らみがちなパターンとその見直し方
営業向けにデータ使い放題プランを一律で入れると、次のような構図になりやすいです。
| 部署 | 平均データ利用量の傾向 | 契約プラン | ありがちなムダ |
|---|---|---|---|
| 営業 | 月10〜15GB前後が多い | 無制限 | 20〜30GB分の“安心料” |
| 事務 | 月5GB未満 | 中容量 | そもそも外出が少ない |
| 技術 | 月20〜30GB | 無制限 | テザリング以外は中容量で可 |
「外で動画を見るかもしれない」「オンライン商談が増えそう」といった“かもしれないリスク”に引きずられ、データ容量を盛りすぎるケースがよくあります。
見直しのコツは、実際の使用量ベースで3階建てにすることです。
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1階:事務・バックオフィスは5〜10GB程度の定額プラン
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2階:営業・現場は20GBクラスを基本に、上限超過時は追加データで調整
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3階:役員・全社バックアップ用に、本当に必要な回線だけ無制限枠
ここに「アプリ制御」と「テザリングルール」をセットで入れると、快適さを落とさず固定費を数十万円単位で圧縮できます。無制限をばらまくのではなく、誰に、何の業務目的で付けるのかを明文化することが第一歩です。
VPNやクラウドやオンライン商談などDXが進んだ結果、どこでギガ不足や速度不足が起きやすいか
DXが進むと、スマホは単なる電話ではなく「小さな業務端末」「モバイルルーター」の役割も担います。問題は、通信量の増え方と“詰まりやすいポイント”が読まれていないことです。DX支援をしている私の視点で言いますと、ボトルネックは次の3つで起きやすいです。
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VPN常時接続
社外から基幹システムへアクセスするため、常にVPNアプリをONにすると、パケットのオーバーヘッドで消費GBが増えます。体感として、同じ業務でもVPNなしより1〜2割多くなることがあります。
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オンライン商談・Web会議のテザリング
ノートPCをテザリングでつなぎ、1時間の会議を何本もこなす営業は月30〜50GBに到達しやすいゾーンです。ここは中容量プランが最も割高に感じやすい“沼”なので、重点的に把握しておきたいところです。
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クラウドストレージの自動同期
OneDriveやGoogle Driveを「WiFiのみ同期」にしていないと、現場写真や動画、設計図面がモバイル回線で大量送信されます。気付いたら上限に達し、速度制限で商談の画面共有がカクつく、といったトラブルにつながります。
DXで使うアプリごとのデータ量とピーク時間帯を洗い出し、「この業務はWiFi前提」「この業務はモバイル前提」と線引きすると、必要なGB数と通信速度の目安がクリアになります。
災害や回線障害時に備えるための別キャリアギガ無制限回線の置き方と社内ルールの作り方
BCPの観点では、「全員無制限」より「少数精鋭のバックアップ回線」をどう設計するかがカギになります。固定回線が止まったときに、別キャリアのモバイル回線1本で救われた企業は少なくありません。
| 用途 | おすすめ回線構成 | ポイント |
|---|---|---|
| オフィス全体の非常用回線 | 光回線A+モバイル回線B(別キャリア) | キャリア分散で災害・障害リスクを低減 |
| 役員・情報システム部門用 | 無制限に近い大容量+テザリング可 | 指揮系統と復旧担当の通信を確保 |
| コールセンター・サポート用 | 対応端末の一部のみ大容量SIM | 全席ではなく最低限の席を確保 |
このとき重要になるのが「平時の使い方ルール」です。
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非常用モバイル回線は、原則として日常業務では使わない
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接続できる機器を限定し、ID管理とログ管理を行う
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災害時に誰が開通操作を行い、どのSSIDを使うかをマニュアル化する
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テザリング利用時はVPN必須、業務アプリ以外のアクセスをUTMやMDMで制御する
BCP用に確保した大容量回線が、平常時の動画視聴や私物端末のWiFiとして“なんとなく開放”されると、一気に帯域逼迫や情報漏えいリスクが高まります。「安心のための1本」を「遊び放題の1本」に変質させないガバナンスが、経営目線では最も重要です。
社用スマホとモバイル回線を設計するときは、料金表を見る前に「誰のどの業務を、どのレベルの止まってはいけない通信に位置付けるか」を決めることが、結果的にコストとリスクを同時に下げる近道になります。
ギガ無制限だけに頼らず通信費とストレスを減らす現実的な組み合わせ術
「とりあえず大手キャリアのデータ使い放題にしておけば安心」と感じている方ほど、通信費を払いすぎているケースが多いです。ここでは、自宅やオフィスのWiFi、スマホのGB数、格安SIMやモバイル回線をどう組み合わせると、財布も通信速度もバランス良くなるかを整理します。
自宅やオフィスのWiFiとスマホギガ数と格安SIMをどう組み合わせるとムダがないか
ポイントは「重複している回線を削ること」と「ピーク時だけ太くすること」です。
代表的な組み合わせを整理すると、次のようなイメージになります。
| 利用スタイル | 回線構成 | 向いている人 | 無駄が出やすいポイント |
|---|---|---|---|
| 一人暮らしWiFiなし | スマホ大容量/実質使い放題プラン1本 | 動画ヘビーユーザー学生 | 自宅でもモバイル回線を酷使し混雑時間帯の速度低下 |
| ファミリー世帯 | 光回線+家族シェア20〜60GB | 自宅で動画視聴が多い家族 | 各回線を大きくしすぎて合計GBを余らせる |
| 在宅ワーカー | 光回線+スマホ中容量+予備データSIM | テレワーク中心の個人 | 予備回線を普段も使ってしまいコスト膨張 |
| 中小企業 | オフィス光+社用スマホ中容量+BCP用モバイル回線 | 外回りと在宅勤務が混在する会社 | 全員を使い放題プランにして固定費が跳ね上がる |
私の視点で言いますと、営業部だけデータ使い放題にしている会社でも、実際の利用量は多くて月15GB前後というケースがよくあります。まず自宅やオフィスのWiFiを基準回線に置き、スマホは「外出時に本当に必要なGBだけ」載せる発想を持つと、ムダが一気に見えてきます。
チェックしたいのは次の3点です。
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自宅と職場にWiFiがあるか
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平日の動画視聴が屋外か室内か
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テザリングをどのくらいの頻度で使うか
この3つを冷静に見ると、20GB〜30GBで足りる人と、50GB以上必要な人がきれいに分かれます。
eSIMやデュアルSIMでギガ無制限データSIMと通話用低容量SIMを分けるときの注意点
最近は、音声通話は大手キャリアやサブブランドの小容量プラン、データは格安SIMの大容量や実質使い放題プランという「二刀流」にする人も増えています。デュアルSIMやeSIMは強力な武器ですが、設計を間違えるとトラブルの温床になりがちです。
押さえておきたい注意点は次の通りです。
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どちらのSIMがモバイルデータ通信に設定されているかを常に確認すること
アップデートや再起動のタイミングで、意図しないSIM側で通信してしまい高額請求になった例があります。
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テザリング可能かどうか、公式サイトで必ず確認すること
データ専用SIMやMVNOの一部では、テザリングやデータシェアに制限があるプランがあります。
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VoLTEや5Gの対応バンドをチェックすること
通話用SIMのキャリアと、端末の対応バンドがずれていると「都会なのに圏外」という事態が起こります。
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MNPとeSIM発行のタイミングを逆算しておくこと
乗り換え日と開通日がずれると、仕事用電話が一日使えないなど業務影響が出ます。
特に法人やフリーランスの場合、通話番号が止まる時間はそのまま売上に直結します。データSIMと音声SIMを分ける構成はコストは下げやすいが、運用設計をミスるとリスクが跳ね上がることを前提に考えた方が安全です。
ギガ上限なしだけを追わず業務アプリやエンタメアプリのトラフィックを見える化する発想
「どれくらい使うか分からないから、とりあえず上限なし」という選び方は、個人でも法人でも失敗の元になります。本当に効くのは、何にどれだけデータを使っているかを見える化することです。
個人なら、スマホの設定画面でアプリ別のデータ使用量を1か月だけでも確認してみてください。よくあるパターンは次の通りです。
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動画アプリが全体の50〜70%を占めている
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SNSとブラウジングは合計でも数GB程度
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ゲームはアップデート時だけ一気に通信量が跳ねる
法人の場合は、MDM(モバイルデバイス管理)やUTM、ルーターのトラフィックレポートを使うと、社用スマホやノートPCがどのクラウドサービスやエンタメサイトにどれだけ通信しているかが見えてきます。
この見える化をした上で、次のように設計を変えると、通信費とストレスが同時に下がります。
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業務に関係ない動画やゲームの通信はWiFi接続時のみ許可する
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オンライン会議やVPNなど業務アプリの帯域を優先する設定にする
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社用スマホは中容量プランに抑え、固定回線障害時だけBCP用モバイル回線を開放するルールにする
ギガの上限そのものより、「誰が・いつ・どのアプリで帯域を使うのか」をコントロールできるかどうかが、DXとコスト削減の分かれ目になります。通信そのものを太くする前に、まず流れ方をデザインする感覚を持つことが、現場では一番効いていると感じます。
技術とビジネス現場をつなぐDigital Portならではのギガ無制限との付き合い方
スマホの料金表だけ眺めていても、会社の通信の悩みは片付きません。営業の足回り、在宅勤務、BCP対策までまとめて面倒を見る視点がないと、「安心なはずの大容量プランが、いつの間にか固定費爆弾」になってしまいます。
ここでは、オフィスインフラとDX支援の現場で見えてきた、攻めと守りのバランスが取れた回線設計のコツを整理します。
営業トークとしての無制限表現と実際の通信仕様とのギャップをどう読み解くか
販売側の「使い放題です」「気にせず動画もテザリングも」という言葉は、必ずしも技術仕様の説明ではありません。私の視点で言いますと、ここを読み解けるかどうかで、数年分の通信費と業務ストレスが大きく変わります。
まずは、営業トークでよく混ざるポイントを表に整理します。
| よくある表現 | 技術的な実態の例 | 確認したいチェックポイント |
|---|---|---|
| データ使い放題 | 一定GB超で通信速度が大幅低下 | 何GB超から何Mbpsになるか |
| 無制限テザリング | テザリングだけ別に上限あり | テザリング容量と追加料金 |
| 特定サービスカウント無し | 動画や音楽だけ対象 | 対象アプリと画質の制限 |
| ずっとお得な月額料金 | 期間限定割引込みの表示価格 | 割引終了後の実質料金 |
特に法人契約では、営業担当が「このプランなら営業全員、データは気にしなくて大丈夫です」と説明しがちですが、実際には混雑時間帯の通信速度やテザリング上限、VPN利用時の速度低下がボトルネックになります。
カタログではなく、公式サイトの詳細ページで「速度制限」「テザリング」「対象サービス」の欄を必ず確認する習慣が有効です。
オフィスインフラとDXの支援現場で見えてくる通信プラン選びで失敗する会社の共通点
中小企業でよく見かける失敗パターンは、次の3つです。
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営業部だけ大手キャリアの高額な大容量プランを入れたが、実際の月間使用量は10〜15GB程度
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在宅勤務が増えたのに、既存の光回線とWiFiの見直しをせず、モバイル側だけを大きなGB数に変更
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VPNやクラウド、オンライン会議が増えたのに「速度とレイテンシ」を見ず、容量だけでプラン比較した
営業のスマホは、地図アプリやオンライン商談の資料閲覧が中心で、動画視聴が少なければ中容量SIMで十分なケースも多くあります。その一方で、テザリングでノートPCを長時間つなぐ現場監督やフリーランスは、30GB〜100GBのレンジを平気で使います。
DXプロジェクトでは、次のような視点で棚卸しすると判断がぶれにくくなります。
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社用スマホごとの平均通信量とピーク時のGB数
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オンライン会議やクラウド利用が多い部署と、ほぼ通話とメールだけの部署
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社内WiFiでまかなえるトラフィックと、モバイル回線に逃がしたいトラフィック
通信速度のボトルネックがどこにあるかを把握しないまま、やみくもに「無制限」を増やすと、DXのつもりが単なる固定費増加になりがちです。
ギガ無制限を単独で選ぶのではなく、オフィス環境やセキュリティやBCPを含めて設計するという視点
会社全体で見たとき、モバイルの大容量プランは単独の商品ではなく、オフィスインフラの部品として設計する方が合理的です。ポイントは次の3軸です。
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インターネット回線とWiFi
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モバイル回線(スマホ・データSIM・モバイルWiFi)
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セキュリティとBCP(UTMやVPN、バックアップ回線)
おすすめは、次のような組み合わせ方です。
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通常業務は光回線と社内WiFiでカバーし、社用スマホは中容量プラン+必要部署だけ大きめGB数
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災害や回線障害に備え、別キャリアの大容量モバイル回線を1〜2本だけBCP用として確保
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テザリングやVPN経由のクラウド利用は、誰がどれだけ使っているかをログで可視化し、私的動画やゲームを抑制
BCP用のモバイル回線を1本持つコストは、全社員に過剰なプランを配るコストより小さくなることが多くあります。逆に、可視化とルールがない状態で大容量プランをばらまくと、私的なエンタメトラフィックが増え、結果的に業務アプリの通信速度が落ちるリスクもあります。
通信費の節約だけをゴールにせず、「営業が止まらないこと」「在宅勤務がストレスなく続けられること」「障害時にも最低限のオンラインサービスが動くこと」をセットで満たせるかどうか。
この視点で自社のGB数と回線構成を見直すと、本当に必要な大容量プランがどれかがクリアに見えてきます。
この記事を書いた理由
著者 – 平井 悠介 | 株式会社アクスワン 広報 / 『Digital Port』編集・運営
ここ数年、社用スマホやモバイル回線の相談を受ける中で、「とりあえずギガ無制限にしておけば安心だと思っていた」という声を何度も聞いてきました。実際に2023〜2025年にサポートした中小企業約40社を見直したところ、営業用スマホを一律ギガ無制限にしているのに、1回線あたりの平均利用量が月15〜25GBに収まっていたケースが少なくありませんでした。
一方で、在宅勤務が増えたタイミングで、私自身も「低速無制限プラン」でPCテザリングを行い、夕方のオンライン商談がカクついて商談を取り直した苦い経験があります。カタログ上は魅力的な言葉でも、通信仕様や制限条件をきちんと読み解かないと、コストも品質も中途半端になると痛感しました。
また、ある建設業のお客様では、災害時の固定回線障害をきっかけに、「保険としてのギガ無制限回線」が業務継続の最後の砦になりましたが、全回線を無制限にするのではなく、役割を分けて設計したことで、平時の通信費も抑えられました。
料金表の比較だけでは、こうした「もったいない」や「助かった」の違いは見えてきません。利用シーンとギガの中身を数字で把握し、安心とコストのバランスを現実的に取ってほしい。そのための判断基準を、支援現場での経験をもとに整理したいと考え、このテーマを取り上げました。


